韓国ドラマ「30だけど17です」(連載100)
「30だけど17です」第12話(インターミッション)①
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
音楽祭の「ワークショップ」でリン・キムは挨拶に立った。
「音楽祭らしく人々が聴きなれた曲や―一緒に盛り上がれる曲などで構成してみました。たとえば…」
プロジェクターから映し出された画面の項目を見て、ソリは「あっ」と声をだす。
だが、画面に指をさしかけて思いとどまる。
「待って」
組織委員長はソリを見た。
「何か言いたいことでも?」
「何でもありません」
「話があればどうぞ」
「ああ、いえ、大したことでは…」
ソリは画面を指さした。
「”おもちゃの交響曲”はハイドンの作曲ではなく、ハイドンの弟がモーツアルトの父の曲から一部を抜粋し、編曲した者です。ですので本当の作者はレオポルド・モーツアルトかと」
リン・キムが言った。
「スタッフのミスのようです。修正しておきます」
ソリを見た。
「ありがとう」
「私も見逃すところだった」と組織委員長。「君のおかげで助かったよ」
すかすず、カン・ヒスは言った。
「彼女はうちのスタッフです」
★★★
一台の車がコン家の前にやってきて止まった。
チャンたちが出かけようとしていた時だった。
車からおりてきたキム・ヒョンテを見てヘボムが言った。
「あっ、いつかソリさんを訪ねてきた医者だ」
ヒョンテを見てチャンはソリの言葉を思い出した。
「病院から連絡が来ても―いないと言ってください。必ずですよ」
”叔父さんを捜しだすまで病院には戻りたくない”
とチャンはソリの気持ちを受け止めていた。
”まずいな”
とっさに思った。
”ソリさんがここにいるのを知られてはまずい”
「行こう」
ドクスが促す。。
「いや、待っててくれ」
チャンは家を訪ねようとしているヒョンテに駆け寄った。
「どなたですか?」
ヒョンテはインターホンを押すのをやめた。
「ここは僕の家ですが」
「私は名刺を渡した者です。前の住人は来てませんか?」
「誰のことかな…」
チャンは首を傾げて見せる。
「ああ、あの人か」
大げさに思い出した振りをする。
「あの人ならあれ以来、顔を出しません」
ヒョンテはため息をつく。
「そうですか」
「…」
「もし来たら、僕に連絡」
「近く、家を売る予定です」
チャンは言った。
ヒョンテは顔を上げる。
「ここはそのうちビルになります」
ヒョンテは家を見た。
「でも」
「じきに引っ越すのでここに来られても意味ないですよ」
チャンのつっけんどんな説明にヒョンテは落胆した。
仕事で来ていたソリはウォーミングアップでバイオリンを奏でていた女性に声をかけた。
「よかったです。クライスラーの曲は大好きなんです」
女性は嬉しそうにした。
「練習中の演奏に耳を傾けていただいてありがとう」
ソリはバイオリンを見て言った。
「いいバイオリンですね。響きもいいし、弦との相性もばっちりみたい」
「あら」
女性の表情は変わった。
「あなたもバイオリンを?」
「いいえ、別に…」
ソリははにかんで目を落とした。
「とにかく素敵でした」
頭を下げて行こうとするソリに女性は声をかけた。
「よかったら、弾いてみませんか?」
ソリは振り返る。バイオリンを見る。
リン・キムは会場にやってきたバイオリニストのチョン・ミョンファンに声をかけた。
「先生」
「おお、久しぶりだなテリン。元気にしてたか?」
頷くリン・キム。
「いや、リン・キム監督だったな」
「やめてくださいな、先生」
「ワークショップは?」
「はい。無事に終わって打ち上げをしてます」
頷くミョンファン。
その時、バイオリンの音色が響いてきた。ミョンファンの耳はピクンと反応した。目を閉じ、耳を澄ませる。
この曲は…? その音色にミョンファンはすぐにソリの演奏を思い返した。審査委員を務めた時に聴いた少女の演奏だった。
演奏を一度聞いて、ミョンファンは第二バイオリンとして彼女に声かけたのが昨日のことのように蘇ってくる。
ソリはあの時の感触と手ごたえを思い返しながらバイオリンを奏でた。
たまたまそこにウジンが通りかかった。足を止めてソリの演奏に耳を傾けた。
ウジンはソリの演奏を聴きながらソリの言葉を思い返した。リン・キム監督の演奏を一緒に聴いた後に聞かされた話だった。リン・キム監督のバイオリン演奏を聴きながら彼女は涙を流していた。
「30だけど17です」第12話(インターミッション)①
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
音楽祭の「ワークショップ」でリン・キムは挨拶に立った。
「音楽祭らしく人々が聴きなれた曲や―一緒に盛り上がれる曲などで構成してみました。たとえば…」
プロジェクターから映し出された画面の項目を見て、ソリは「あっ」と声をだす。
だが、画面に指をさしかけて思いとどまる。
「待って」
組織委員長はソリを見た。
「何か言いたいことでも?」
「何でもありません」
「話があればどうぞ」
「ああ、いえ、大したことでは…」
ソリは画面を指さした。
「”おもちゃの交響曲”はハイドンの作曲ではなく、ハイドンの弟がモーツアルトの父の曲から一部を抜粋し、編曲した者です。ですので本当の作者はレオポルド・モーツアルトかと」
リン・キムが言った。
「スタッフのミスのようです。修正しておきます」
ソリを見た。
「ありがとう」
「私も見逃すところだった」と組織委員長。「君のおかげで助かったよ」
すかすず、カン・ヒスは言った。
「彼女はうちのスタッフです」
★★★
一台の車がコン家の前にやってきて止まった。
チャンたちが出かけようとしていた時だった。
車からおりてきたキム・ヒョンテを見てヘボムが言った。
「あっ、いつかソリさんを訪ねてきた医者だ」
ヒョンテを見てチャンはソリの言葉を思い出した。
「病院から連絡が来ても―いないと言ってください。必ずですよ」
”叔父さんを捜しだすまで病院には戻りたくない”
とチャンはソリの気持ちを受け止めていた。
”まずいな”
とっさに思った。
”ソリさんがここにいるのを知られてはまずい”
「行こう」
ドクスが促す。。
「いや、待っててくれ」
チャンは家を訪ねようとしているヒョンテに駆け寄った。
「どなたですか?」
ヒョンテはインターホンを押すのをやめた。
「ここは僕の家ですが」
「私は名刺を渡した者です。前の住人は来てませんか?」
「誰のことかな…」
チャンは首を傾げて見せる。
「ああ、あの人か」
大げさに思い出した振りをする。
「あの人ならあれ以来、顔を出しません」
ヒョンテはため息をつく。
「そうですか」
「…」
「もし来たら、僕に連絡」
「近く、家を売る予定です」
チャンは言った。
ヒョンテは顔を上げる。
「ここはそのうちビルになります」
ヒョンテは家を見た。
「でも」
「じきに引っ越すのでここに来られても意味ないですよ」
チャンのつっけんどんな説明にヒョンテは落胆した。
仕事で来ていたソリはウォーミングアップでバイオリンを奏でていた女性に声をかけた。
「よかったです。クライスラーの曲は大好きなんです」
女性は嬉しそうにした。
「練習中の演奏に耳を傾けていただいてありがとう」
ソリはバイオリンを見て言った。
「いいバイオリンですね。響きもいいし、弦との相性もばっちりみたい」
「あら」
女性の表情は変わった。
「あなたもバイオリンを?」
「いいえ、別に…」
ソリははにかんで目を落とした。
「とにかく素敵でした」
頭を下げて行こうとするソリに女性は声をかけた。
「よかったら、弾いてみませんか?」
ソリは振り返る。バイオリンを見る。
リン・キムは会場にやってきたバイオリニストのチョン・ミョンファンに声をかけた。
「先生」
「おお、久しぶりだなテリン。元気にしてたか?」
頷くリン・キム。
「いや、リン・キム監督だったな」
「やめてくださいな、先生」
「ワークショップは?」
「はい。無事に終わって打ち上げをしてます」
頷くミョンファン。
その時、バイオリンの音色が響いてきた。ミョンファンの耳はピクンと反応した。目を閉じ、耳を澄ませる。
この曲は…? その音色にミョンファンはすぐにソリの演奏を思い返した。審査委員を務めた時に聴いた少女の演奏だった。
演奏を一度聞いて、ミョンファンは第二バイオリンとして彼女に声かけたのが昨日のことのように蘇ってくる。
ソリはあの時の感触と手ごたえを思い返しながらバイオリンを奏でた。
たまたまそこにウジンが通りかかった。足を止めてソリの演奏に耳を傾けた。
ウジンはソリの演奏を聴きながらソリの言葉を思い返した。リン・キム監督の演奏を一緒に聴いた後に聞かされた話だった。リン・キム監督のバイオリン演奏を聴きながら彼女は涙を流していた。
― 羨ましかったんです。とても悔しかった。”私もステキなドレスを着てあんな舞台に立てたはず、何事もなかったら”って考えると…。
演奏の安定さを保てず、ソリの演奏は中断した。 最後まで演奏を続けられなかった自分にソリはため息をつく。これが今の自分なのだ。
「ダメだわ…」
ソリはバイオリンを弾かせてくれた女性を見た。バイオリンを返しながらお礼を述べた。
「ありがとうございました」
そこを離れるソリの顏には演奏を完走できなかった悔しさがにじんでいた。
バイオリンをソリから返された女性は不思議そうに自分のバイオリンを触り、眺めまわした。どこからあんなきれいな音色が出てきたんだろう、との顏で…。
その女性の前にミョンファンは立った。
「失礼ですが、君がシューマンの”三つのロマンスを”を?」
「いいえ」女性は答えた。「知らない女性がここで引きましたけど」
女性の話にミョンファンはかすかに首を傾げた。