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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載35)

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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載35)


「30だけど17です」第4話(壊れたバイオリン)⑤
☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)



★★★


 門の前でしゃがんで考え込んでいると声がかかった。振り向くとチャンだった。
「ああ、チャン君」
 立ち上がろうとして、ソリは後ろに尻もちをついてしまう。
「おばさん」
 チャンはあわてて駆け付ける。腕を取る。
「大丈夫?」
 強引に身体を起こしてあげる。
 ソリは痛そうに唸った。
「ひょっとしてケガを? どこが痛いの?」
 ソリは顔を歪めている。
「医者だ。医者に行こう」
 チャンはソリを背負う態勢に入る。
「違う違う」
 ソリは弁解する。
「脚がしびれたの。まだしびれてる」
 ソリは子供の頃の魔法で脚をさすりしびれを追い払う。
 そんなソリにチャンは訊ねる。 
「本当に大丈夫?」
「大丈夫よ。あ、パソコンを使わせて」




 パソコンを借りてソリが始めたのは仕事探しだった。


★★★
 
 2Fの休憩コーナーで検索をかけているとチャンが部屋から出てきた。ソリに音楽教室の求人リストを差し出した。
「ここからも探してみて」
 ソリがリストを見ているとチャンはつぶやく。
「待てよ~、連絡先を俺の携帯にしたらまずいかもな。部活中には出られないし…どうしようか」
 するとそこにジェニファーが顔を出した。
「”010-094-74xx”。私の携帯番号です」
 そう伝えてさっさと背を返す。ソリは大きな声でお礼を伝える。
「ありがとうございます」
「えっ? 何番だって?」とチャン。
 指先の器用なソリはジェニファーの携帯番号をノートパソコンに素早く打ち込んだ。
 ソリの記憶のよさと事の素早さにチャンは感心した。
「やること速い。天才だよ」
「…」
「どれどれ見せて」
 チャンはソリの作り上げた履歴書を覗き込む。
 
”ヘイン高校入学。ドイツ音大合格”


 チャンはため息をついた。
「履歴書にしては―内容がちょっと寂しいね」
 ソリは苦笑いを浮かべる。
「大会で1位を取ったことは…?」
「ないです…」
「…」
 ソリは弁解した。
「譜面に忠実じゃなく感じたままに弾いていたから」
 チャンは目を落とした。
「感じたままにか…」
 履歴書をあらためて見て声をあげた。
「あれ! ドイツ音大? 俺はドイツ生まれです」
 2人は目を合わせる。
「叔父さんもドイツの学校に」
「そうなの? 私はベルリンの音大に受かったの」
「おっ、ベルリンなら俺も住んでた」
 チャンは画面に目をやった。
「そういえば音大の名前に聞き覚えがある…」
「もしかしてコンツエルトハウスの近く?」
 チャンはソリの目を見た。
「詳しく覚えてないけど、広場の近くだったみたい」
「…」
 チャンは頭に手をやった。
「10歳で韓国に戻ったから細かい記憶はないんだ」
「…」
「あっ」
 チャンは指を鳴らした。
「何か思い出した?」
「はっきりと覚えているのは…うまいアメリカンドッグの店」
「アメリカンドッグですか…?」
 今度はソリに記憶がなかった。そんなのまだなくてそれもそのはずだったが…。




 ウジンが帰ってきたのを見てソリは駆け下りてきた。
「叔父さん…」 
 ウジンの前に立った。
「ドイツの学校に行ってたんですって?」
 笑顔での話しかけがウジンにはピンと来ない。馴れ馴れしさを感じるだけだ。今まで誰ともこういう話題で盛り上がったことはなかった。
 ウジンはソリを一瞥して部屋に向かおうとする。
「私もベルリンに向かう予定でした」
「…」
「コンツエルトハウスには?」
「…」
 ソリはウジンについて2階に向かう。
「あそこに行くのが夢だったのに…ドイツ語も話せますよね? 私も留学前に猛勉強を―使えなかったけど」
「それにしてもなぜドイツに?」


 部屋のドアを握ろうとしたウジンはそこで足を止めた。ドアノブを握った手も止めた。
「留学のためですか?」
 ウジンはソリを振り返った。
「子供なのか?」
「えっ?」
 ソリの笑顔はさっと消えた。
「返事がないのは”やめてくれ”ってことだ。いい年してそれもわからないの?」
 ソリはウジンのきつい言葉に戸惑った。
「あの~、私はただ…」
「トックの命の恩人だけど、じっとしているという約束を守ってください」
「わかりました」
 ウジンは冷たい表情を残して部屋に消えた。
  
 
 おしまいのやりとりを聞いていたチャンはソリに歩み寄った。
「今の言葉は気にしないで」
 ソリは顔を上げた。
「私の不注意でした。嬉しくなって、ずっと話しかけちゃって…」
「叔父さんは他人と話したがらない人だから」
「…」
「昔はそうじゃなかったけど…」
 ソリは黙った1階に戻っていった。




 チャンはウジンの部屋をノックしてドアを開いた。
「チャンか、どうした?」
「大好きな叔父さんを見たくて」
「…」
「行くね」
 ウジンの小さな返事を聞いてチャンはドアを閉めた。
 閉めてからチャンは考え込んだ。
「いつからなのかな…? 昔はああじゃなかったのに」
 


 その夜、ウジンは寝付けなかった。引きこもりになった頃の記憶に呼び戻された。
 自分がそうなってしまったのは好きだった女の子が交通事故で亡くなったからだった。あの日以来、ウジンは他人との余計な折衝を拒むようになってしまった。父にも母にもその理由は話せなかった。
「ウジン、ドアを開けなさい。いったい何があったんだ? 父さんに話してくれ」
「理由を言って。今日も学校を休むの? ウジン、聞いてる? 返事して」
 ウジンは悲しみに暮れ、何日も学校を休んだ。
 他人との折衝を拒んで選択したのがドイツ留学だったのだ。
 ウジンは目を開けた。大きくため息をついた。
「ウ・ソリ…」

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