韓国映画「ビューティ-・インサイド」から⑤
「またここへ連れて来られてがっかりしましたか?」
イスは含み笑いを返す。
二人は小さなテーブルで向き合い食事を始める。イスはウジンの差し出した輪ゴムを借り、長い髪を後ろで束ねる。
「どうして食べてる途中に結ぶんですか?」
「さあ、これから本格的に食べるぞって…!」
快活な笑い声を響かせてからイスは訊ねる。
「ここでどんなお仕事を?」
ウジンは動かしていた口を止める。間合いを置いて答える。
「デザイン…みたいなものを」
「ここのデザイナーやってるんですか?」
イスは口元を手で押さえる。驚きを覗かせる。
黙って頷いた時、入口あたりの照明が点った。
誰かと電話をしながら中に入ってくる。
「僕のマネー…、君のマネー…、同じじゃない…」
物陰に隠れた二人は息を殺しながら笑いをこらえる。
「だからさ…君のマネー、僕ハッピー…、ああ、OK…!」
サンテクはウジンたちの食事してた場所へやってきた。テーブルにテーブルに目を止めた。
「まったく…食べ散らかしたままだ」
そのまま製作品の方へ歩いていく。
ぶつぶつと独り言を始める。
「…元気にしてたか? 会いたかったよ…愛し合う恋人たちのラブチェアか…」
製品のカバーをはずした。
「ふっふふ…熱い夜を届けてくれそうだぜ」
ラブチェアの上に這い這い状態でのしかかる。
「こんな風に…」
セクシーな喘ぎ声で揺すり始める。
「あっあーっ、もう……、あつあっ、やめてっ、やめてーっ!」
イスは目をそらす。目をつぶる。聞くに堪えない表情で下を向く。
そっと目を開け、ウジンに人差し指を向ける。
(あれはあなたがデザイン…?)
ウジンは真顔で手を横に振る。
(自分じゃないです!)
サンテクはテーブルの前に戻る。
「こうして残して…俺が残り物を食うとでも? 醤油につけて寿司を食うだろう、ってか? よしてくれよ」
文句を並べ、寿司をつまんで口に放り込んだ。もぐもぐ口を動かしながら「美味いって言うとでも? …けっこう美味い」
入れ物ごと手にし、出て行った。
彼が引き上げた後、二人はラブチェアの前にきた。
ラブチェアを揺らしてイスは大笑いする。
「こんな感じなのか…」
イスを家に送った後、ウジンはサンテクに電話をかけた。つながるまでかけた。
眠らないための時間つぶしだが、電話口に出たサンテクは声を荒げた。
「今頃何だ!? 眠れないじゃないか」
「面白いアイデアはないか?」
「寝入りばなだ! お前もさっさと寝やがれ!」
電話は切れた。
ウジンは一人で睡魔に耐えた。何度もあくびをした。涙も染み出るようになった。幾度も目じりを伝った涙は乾くのを繰り返し、やがて顎に達した。水滴としてぶら下がった。
それでもウジンは夜通し睡魔に耐えた。
約束の場所にやってきたウジンは眠い目をこすりながらイスがやって来るのをまった。
「待たせてごめんなさい」
いきなり出現したイスの声にウジンはっと目を開ける。我に返る。
眠い目をこすり、自分をつくろった。
「いえ、そんなに待ってません。…2時間?」
「ごめんなさい」
ウジンはイスの後ろ側を指さす。二人は歩き出す。
ウジンがイスを連れて行ったのは母親の営む店だった。もちろんそれを彼女には説明していない。
説明してやってきても母親は自分の姿に気づきもしないだろう。
店の中を覗いてイスは訊ねる。
「どうやってこの店を知ったの?」
イスは含み笑いを返す。
二人は小さなテーブルで向き合い食事を始める。イスはウジンの差し出した輪ゴムを借り、長い髪を後ろで束ねる。
「どうして食べてる途中に結ぶんですか?」
「さあ、これから本格的に食べるぞって…!」
快活な笑い声を響かせてからイスは訊ねる。
「ここでどんなお仕事を?」
ウジンは動かしていた口を止める。間合いを置いて答える。
「デザイン…みたいなものを」
「ここのデザイナーやってるんですか?」
イスは口元を手で押さえる。驚きを覗かせる。
黙って頷いた時、入口あたりの照明が点った。
誰かと電話をしながら中に入ってくる。
「僕のマネー…、君のマネー…、同じじゃない…」
物陰に隠れた二人は息を殺しながら笑いをこらえる。
「だからさ…君のマネー、僕ハッピー…、ああ、OK…!」
サンテクはウジンたちの食事してた場所へやってきた。テーブルにテーブルに目を止めた。
「まったく…食べ散らかしたままだ」
そのまま製作品の方へ歩いていく。
ぶつぶつと独り言を始める。
「…元気にしてたか? 会いたかったよ…愛し合う恋人たちのラブチェアか…」
製品のカバーをはずした。
「ふっふふ…熱い夜を届けてくれそうだぜ」
ラブチェアの上に這い這い状態でのしかかる。
「こんな風に…」
セクシーな喘ぎ声で揺すり始める。
「あっあーっ、もう……、あつあっ、やめてっ、やめてーっ!」
イスは目をそらす。目をつぶる。聞くに堪えない表情で下を向く。
そっと目を開け、ウジンに人差し指を向ける。
(あれはあなたがデザイン…?)
ウジンは真顔で手を横に振る。
(自分じゃないです!)
サンテクはテーブルの前に戻る。
「こうして残して…俺が残り物を食うとでも? 醤油につけて寿司を食うだろう、ってか? よしてくれよ」
文句を並べ、寿司をつまんで口に放り込んだ。もぐもぐ口を動かしながら「美味いって言うとでも? …けっこう美味い」
入れ物ごと手にし、出て行った。
彼が引き上げた後、二人はラブチェアの前にきた。
ラブチェアを揺らしてイスは大笑いする。
「こんな感じなのか…」
イスを家に送った後、ウジンはサンテクに電話をかけた。つながるまでかけた。
眠らないための時間つぶしだが、電話口に出たサンテクは声を荒げた。
「今頃何だ!? 眠れないじゃないか」
「面白いアイデアはないか?」
「寝入りばなだ! お前もさっさと寝やがれ!」
電話は切れた。
ウジンは一人で睡魔に耐えた。何度もあくびをした。涙も染み出るようになった。幾度も目じりを伝った涙は乾くのを繰り返し、やがて顎に達した。水滴としてぶら下がった。
それでもウジンは夜通し睡魔に耐えた。
約束の場所にやってきたウジンは眠い目をこすりながらイスがやって来るのをまった。
「待たせてごめんなさい」
いきなり出現したイスの声にウジンはっと目を開ける。我に返る。
眠い目をこすり、自分をつくろった。
「いえ、そんなに待ってません。…2時間?」
「ごめんなさい」
ウジンはイスの後ろ側を指さす。二人は歩き出す。
ウジンがイスを連れて行ったのは母親の営む店だった。もちろんそれを彼女には説明していない。
説明してやってきても母親は自分の姿に気づきもしないだろう。
店の中を覗いてイスは訊ねる。
「どうやってこの店を知ったの?」