雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「青い海の伝説」第7話②







 
 韓国ドラマ「青い海の伝説」第7話②

 Korean Drama "Legend of the Blue Sea" Episode 7 ②

 

第7話①
 

 タムリョンは言った。
「セファが生きていれば生かしてやる」
「一体、誰のことです?」
 タムリョンは首にあてがった剣先をピクと動かす。
「知らなくても――お前は死ぬ」
「…」
「私がセファを見つけられない時も――お前は必ず死ぬ」

 夫人はセファの居所を吐いた。タムリョンは夫人の案内で蔵へやってくる。セファは縄をかけられて眠っていた。
 目の前にザルが置かれ、たくさんの真珠が溜まっていた。

★★★

 ヤン氏夫人(妾)は集まってきた村人に向かって叫んだ。
「みんな聞いて! 県令は人魚に惑わされ、村を滅ぼすつもりだ。災いをもたらす人魚を助けているのだ」
 夫人は県令の方を見た。
「そこから一歩でも進めば民が黙っておりませぬぞ」
 タムリョンは黙ってセファのそばに歩み寄った。真珠の溜まったザルを手にした。外へ出てきてザルの中の真珠をぶちまけた。
 一瞬驚いた村人だったが、ぶちまけられたのが真珠と知って形相が変わった。争って真珠を拾い始める。
「これはみんな私のよ」
 夫人(妾)も村人に負けまいと真珠を拾おうとする。
 しかし、役人が夫人(妾)の腕をつかんでそれを許さない。
 タムリョンはそれらにかまわずセファのもとへ歩み寄った。セファの前でしゃがみこみ、顔にかかった髪をよけてやる。
「すまない…駆けつけるのが遅くなった」
 セファの閉じた目は開かない。
 タムリョンは腕をセファの身体に回した。抱え上げて外へ出た。真珠を拾い続ける村人を尻目に海を目指して歩いた。
「そなたは私の夢の話が好きだったな」
「…」
「聞いているか?」
「…」
「夢の中で私たちは…再び出会い、ともに過ごしていた。そなたは遠い海から私を訪ね――私はそなたを忘れていたが、初めから慕っていた」
「…」
 「セファよ。話の続きを聞きたくないか?」




 



 セファは言った。
「そしたらあなたは私のもの? 降伏したってこと?」
「何?」
「ああ、もう」
 セファは雪の上に寝転んで悔しがる。
「初雪の日に私からあなたにいうつもりだったのに…まさか先に言われるなんて」
 セファは顔を近づける。
「もう私が何を言っても信じるのね」
 ジュンジェは身体を起こす。
「何を言ってるんだ?」
「”愛してる”ってそういう意味でしょ?」
 セファはジュンジェの言った言葉を覚えていた。

”愛するということは降伏するってことだ”
”降伏って何?”
”負けるってことだ。誰かを愛するとそいつのすべてを信じてしまう。ほんとうに危ないことだぞ”
”どうして”
”そいつの生き方に合わせるようになってしまうからだ。だから、(愛してる)なんて簡単にいうな”
”嫌よ”
”まだ分からないのか。それはダメだ。ダメだよ。相手のものになるって意味だぞ。相手のすべてを受け入れることになってしまうんだ”

「それが愛だって聞いたわ」
「まったく…」
 ジュンジェは呆れた。顔を背けた。
「誰がそんな馬鹿げたことを?」
 ジュンジェは立ち上がる。セファも立ち上がる。
「いるわ。優しい人よ」
 ジュンジェは咳払いして背を返す。
「そいつは誰だ?」
 そう言って歩き出す。
 セファは追いついてジュンジェに肩を並べる。
「ええ、男よ」
「そうか。男ね…クレイジーなやつだ」
「クレイジーって?」
「飛び切りのバカだ。きっと女ったらしのクズ野郎だぞ」
「それ、悪口でしょ?」
「もちろんだ。そんな男とは絶対付き合うな」
「…」
「そいつに優しくされたのか?」
「一緒に傘をさして手を握ってくれた…」
「手をね~。やっぱり女ったらしだ」
「ラーメンも作ってくれた」
「ラーメンだ? ラーメン…家でか?」
「…」
「わぁ~、まったくもっていやらしい奴だ」
「そんなことないわ。いい人よ」
 足を止めてセファを見る。
「だったら、そいつの所へ行けよ」
「…」
「誤解のないように言っておくが、さっき俺が言った言葉は、お前に言わせるために言っただけで…俺は」
「愛してる」
 セファはいきなり言った。
 ジュンジェは続きの言葉を失った。失ったままセファを見つめた。
 言葉を失ったままセファを置いて歩き出した。
 セファは慌てて追いかける。
「もう一度」
「もういい」
「言えるわよ」
「言うな。言わなくていい」
  ジュンジェは早足になり、セファも早足でその後に続いた。



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