韓国ドラマ「30だけど17です」(連載203)
「30だけど17です」最終話(幸せの扉)①
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
ウジンはその書物をソリに差し出した。
「これを読んで見て。君の探してた答えが見つかるかも」
ソリは笑みを返した。傍らから同じ書物を取り出した。
「今日、音楽療法を見学したら、音楽祭のことや公園のおばあさんを―思い出したの」
「…」
「音楽には人を癒す力があると知って図書館で借りて来たのよ」
ウジンは真剣な目をソリに向けた。
「勉強してみたら?」
ソリの表情は沈んだ。
「音楽療法士になるには、たくさんの壁があるの」
「…」
「まず、大学院の卒業資格がいる。私は高卒認定試験から始めて、7〜8年はかかるのよ」
「7〜8年も?」
ウジンは頭に手をやった。ソリの代わりにため息をついた。
「それは大変だな」
ソリは決意を漲らせた。
「でも何か方法がないか調べてみるわ」
その頃、ソリとの友情を深めたリン・キムはソリに誘いのメールを送ってよこした。
「ベルリンで音楽を再開してみてはどう?」
迷っているソリにチン・ヒョンは言った。
「幻の留学を実現させるいい機会じゃありませんか」
ウジンは言った。
「重要なのは君がどうしたいかだ」
★★★
チン・ヒョンが専用パソコンを見てソリを呼んだ。
「ソリさん、メールが届いてますよ」
画面を覗き込んで言った。
「おっ! リン・キム監督からだ」
「ほんとに」
ソリは急いでデスクに戻る。メールを開く。
― 協奏曲の練習、頑張ってますか? 私はベルリンで勉強中です。正式な音大ではなく ― 音楽隙の教授たちが作った学校で自由に伸び伸びと楽しんでいます。
リン・キムは学内で声をかけられた。
「やあ〜、リン・キム。表情が明るいな。好きにやってるかい?」
「はい。教授のおかげです」
― ここにソリストとしてドイツ音大出身の教授がいます。ソリさんのことを話したら、いろいろ調べたらしく、オーディションの動画を見て思い出してそうです。
ソリもその時のことを思い出した。
― その教授が面白い提案をされました。ソリさんもここで学ばないか、と。― 学位や資格は取れないけど、音楽は存分に楽しめます。せっかくだから、ベルリンで音楽を再開してみては? 私もソリさんの力になりたいんです。それにソリさんの音楽的才能を―埋もれさせるのは私も惜しいので。よく考えてみて連絡を。
「…」
リン・キムからの棚ぼたみたいな誘いにソリの思いは舞い上がってしまった。これからの長い苦労や設計はいらない。今までの苦労が一瞬にして報われる気がした。
ボーっとしているソリの後ろにウジンがやってきて立った。
「どうかした?」
ソリはウジンを見た。我に返った。
仕事を終え、自宅に戻ってウジンに相談した。
「どう思う?」
「そうだな」
ウジンの意見ははっきりしていた。
「僕の考えより、君がどうしたいかの方が重要だ」
「…」
「君がどんな選択をしても、僕はそれを尊重する」
「…」
「だから僕のことは気にせず、自分のやりたいことに沿って決断してほしい」
「でも…それは無理よ」
「僕は一生、君といる」
ソリの表情はほころぶ。
「君がドイツに行くなら会いに行くよ―広場で待ち合わせして一緒に公演を観よう。一緒に、アメリカンドッグも食べる」
ソリは小さく笑い声をあげる。
「君が、これをいい機会だと思うなら、諦めずやりきってほしい。これが僕の答えだ」
ソリは頷いた。
「私も自分の答えを探してみる」
「幻の留学を実現させるいい機会じゃないですか」
職場でひと息入った時、チン・ヒョンは言った。
「行った方がいい」
「そうね…」
思案に沈んだまま、ソリは頷く。
「せっかくのチャンスを逃したらバカよね」
「ソリさん」
代表も言った。
「事務所の心配なら、気にしなくても大丈夫よ」
「…」
「優秀な人材を失うのは惜しいけど、何とかするから」
カン・ヒスも事務所の煩雑な仕事にソリを巻き込むより、バイオリニストとしての才能を埋もれさせるのは惜しいと見ているようだった。
「だから何も心配しないで、ソリさんのやりたいことだけを考えて決断してほしいの」
「…」
ウジンを含め、周囲はみな自分の背を押してくれる。背を押されてみると気持ちの方でブレーキがかかる。若かったあの頃のようにス〜イと飛んでいく気にはなれない。
自分の気持ちが大事と言われても、あの頃と今とでは置かれてる事情も年齢もずれてしまっている。素直に乗っていいものかどうか…。
ソリの心ではどっちがやりたいことなのか次第に分からなくなってきた。
昔抱いていた夢と現実を比較してソリはメモを取った。
「音楽療法 ― 一発で合格できた場合…高卒認定試験に1年。学部4年に修士課程2年。最低で7〜8年かかるから…」
ソリは指折り数えた。思わず大きな声が出た。
「2026年までかかるの?」
トックを抱いてソリは思案に沈んだ。
「今から勉強を始めても資格を取る頃には〜、38歳になってる…」
出るのは大きなため息だった。
「やっぱり、年齢を考えるべきかしら」
近くで別のため息が聞こえ、ソリは思わずそっちを見た。
チャンの姿が目の先にある。
「そこにいたの?」
チャンの言葉も同じだった。
「何? おばさんも悩み事?」
ソリは萎れた表情になった。
「チャン君も?」
「うん…」
2人は大きくため息をついた。
「30だけど17です」最終話(幸せの扉)①
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
ウジンはその書物をソリに差し出した。
「これを読んで見て。君の探してた答えが見つかるかも」
ソリは笑みを返した。傍らから同じ書物を取り出した。
「今日、音楽療法を見学したら、音楽祭のことや公園のおばあさんを―思い出したの」
「…」
「音楽には人を癒す力があると知って図書館で借りて来たのよ」
ウジンは真剣な目をソリに向けた。
「勉強してみたら?」
ソリの表情は沈んだ。
「音楽療法士になるには、たくさんの壁があるの」
「…」
「まず、大学院の卒業資格がいる。私は高卒認定試験から始めて、7〜8年はかかるのよ」
「7〜8年も?」
ウジンは頭に手をやった。ソリの代わりにため息をついた。
「それは大変だな」
ソリは決意を漲らせた。
「でも何か方法がないか調べてみるわ」
その頃、ソリとの友情を深めたリン・キムはソリに誘いのメールを送ってよこした。
「ベルリンで音楽を再開してみてはどう?」
迷っているソリにチン・ヒョンは言った。
「幻の留学を実現させるいい機会じゃありませんか」
ウジンは言った。
「重要なのは君がどうしたいかだ」
★★★
チン・ヒョンが専用パソコンを見てソリを呼んだ。
「ソリさん、メールが届いてますよ」
画面を覗き込んで言った。
「おっ! リン・キム監督からだ」
「ほんとに」
ソリは急いでデスクに戻る。メールを開く。
― 協奏曲の練習、頑張ってますか? 私はベルリンで勉強中です。正式な音大ではなく ― 音楽隙の教授たちが作った学校で自由に伸び伸びと楽しんでいます。
リン・キムは学内で声をかけられた。
「やあ〜、リン・キム。表情が明るいな。好きにやってるかい?」
「はい。教授のおかげです」
― ここにソリストとしてドイツ音大出身の教授がいます。ソリさんのことを話したら、いろいろ調べたらしく、オーディションの動画を見て思い出してそうです。
ソリもその時のことを思い出した。
― その教授が面白い提案をされました。ソリさんもここで学ばないか、と。― 学位や資格は取れないけど、音楽は存分に楽しめます。せっかくだから、ベルリンで音楽を再開してみては? 私もソリさんの力になりたいんです。それにソリさんの音楽的才能を―埋もれさせるのは私も惜しいので。よく考えてみて連絡を。
「…」
リン・キムからの棚ぼたみたいな誘いにソリの思いは舞い上がってしまった。これからの長い苦労や設計はいらない。今までの苦労が一瞬にして報われる気がした。
ボーっとしているソリの後ろにウジンがやってきて立った。
「どうかした?」
ソリはウジンを見た。我に返った。
仕事を終え、自宅に戻ってウジンに相談した。
「どう思う?」
「そうだな」
ウジンの意見ははっきりしていた。
「僕の考えより、君がどうしたいかの方が重要だ」
「…」
「君がどんな選択をしても、僕はそれを尊重する」
「…」
「だから僕のことは気にせず、自分のやりたいことに沿って決断してほしい」
「でも…それは無理よ」
「僕は一生、君といる」
ソリの表情はほころぶ。
「君がドイツに行くなら会いに行くよ―広場で待ち合わせして一緒に公演を観よう。一緒に、アメリカンドッグも食べる」
ソリは小さく笑い声をあげる。
「君が、これをいい機会だと思うなら、諦めずやりきってほしい。これが僕の答えだ」
ソリは頷いた。
「私も自分の答えを探してみる」
「幻の留学を実現させるいい機会じゃないですか」
職場でひと息入った時、チン・ヒョンは言った。
「行った方がいい」
「そうね…」
思案に沈んだまま、ソリは頷く。
「せっかくのチャンスを逃したらバカよね」
「ソリさん」
代表も言った。
「事務所の心配なら、気にしなくても大丈夫よ」
「…」
「優秀な人材を失うのは惜しいけど、何とかするから」
カン・ヒスも事務所の煩雑な仕事にソリを巻き込むより、バイオリニストとしての才能を埋もれさせるのは惜しいと見ているようだった。
「だから何も心配しないで、ソリさんのやりたいことだけを考えて決断してほしいの」
「…」
ウジンを含め、周囲はみな自分の背を押してくれる。背を押されてみると気持ちの方でブレーキがかかる。若かったあの頃のようにス〜イと飛んでいく気にはなれない。
自分の気持ちが大事と言われても、あの頃と今とでは置かれてる事情も年齢もずれてしまっている。素直に乗っていいものかどうか…。
ソリの心ではどっちがやりたいことなのか次第に分からなくなってきた。
昔抱いていた夢と現実を比較してソリはメモを取った。
「音楽療法 ― 一発で合格できた場合…高卒認定試験に1年。学部4年に修士課程2年。最低で7〜8年かかるから…」
ソリは指折り数えた。思わず大きな声が出た。
「2026年までかかるの?」
トックを抱いてソリは思案に沈んだ。
「今から勉強を始めても資格を取る頃には〜、38歳になってる…」
出るのは大きなため息だった。
「やっぱり、年齢を考えるべきかしら」
近くで別のため息が聞こえ、ソリは思わずそっちを見た。
チャンの姿が目の先にある。
「そこにいたの?」
チャンの言葉も同じだった。
「何? おばさんも悩み事?」
ソリは萎れた表情になった。
「チャン君も?」
「うん…」
2人は大きくため息をついた。
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