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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「朱蒙」第13話

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 師匠を失った朱蒙は自責の念が嵩じた挙句、酒びたり女漁りの生活に陥ってしまう。女と床を取っていても、師匠が矢で射抜かれている夢を見る始末だ。
 この話を聞いた召西奴は、遊ぶ金を用立ててマリたちに握らせていた。ヨミウルは、男として生まれていたら一国の王の器だ、と言ったが、彼女の太っ腹が発揮された場面だった。
 プヨンはそんな朱蒙の身をひたすら案じていた(このあたり、プヨンの繊細さと召西奴の太っ腹が対照的で、プヨンをユリ王の母にする流れは確かに感じられる。これが崩れたのは彼女の演技云々より、ドラマの人気が大爆発したせいでなかろうか。そのため、話を膨らませる必要が生じた。朱蒙をヘモスのように水に浮かべるというアイデアは誰が出したのであろうか。イエソヤをユファのように登場させ、それを恋にさせなかった設定は人生の妙というか話の機微というか・・・そのせいで、ひっそりステージをおりていったプヨンは何ともいえない魅力を残した。誰もががんじがらめの世界で、彼女だけはどこにも属さず、まるで空気のように消えていったのであるから)。

 朱蒙が遊んでいる賭場に金蛙王直属配下のソンジュが姿を現す。
「王子様、宮にお戻りください」
「私は王子ではない。帰れ」
「王子様。王子様をお連れしろとの陛下の命令です」
「陛下が? 私はまだ王子の道理を果たすに足りないと伝えろ」
 ソンジュはしばらく朱蒙の様子を眺めていた。
 金蛙王の前に戻ったソンジュは自分の見たありのままのことを報告した。
 
 朱蒙とムソンは酒の酔いを残したまま帰路についた。するとそこに立ちはだかった者がいる。朱蒙の命を狙うトチの手の者だった。
 彼らを相手に戦いだしたところに、供を連れた金蛙王が通りかかる。助けに出ようとしたソンジュを彼は制した・・・。
(第12話より)


 金蛙王は刺客団の襲撃をものともしない朱蒙の立ち回りに驚く。おそらく若き日のヘモスを見る思いがしたのであろう。
 太刀打ち出来ないと知った刺客団は尻尾を巻いて逃げ去った。その前に現れた金蛙王を見て、ムソンはひれ伏す。
 二人は酒場で酒を酌み交わしあった。ふがいない自分を語る朱蒙の話に金蛙王は黙って聞き入った。
 最後に切り出した。
「お前の母が病に伏したままだ。早く宮へ戻って母を守ってやりなさい。天が見捨てても、わしが見捨てない限り、お前はわしの息子だ」
 誰の呼びかけにも反応しなかったユファ夫人は、朱蒙の呼びかけに目を開いた。
「朱蒙や・・・」

 陛下が朱蒙を連れて宮に戻ってきました、とヨンポは王妃と帯素に報告した。
 朱蒙をつけまわし命を狙い続けていたヨンポに帯素は言った。
「これからは、朱蒙を始末することだけに力を注ぐな。奴とは堂々と勝負を受けてたってやればいいんだ」

 朱蒙が宮に戻ったことを知ったマリとヒョッポは、自分たちの将来が開けたとばかりにご機嫌だった。朱蒙に距離を置いているオイは浮かれている二人を呆れて見やった。

 

 こんこんと眠り続ける母の手を握り、朱蒙はそばから離れなかった。そして、師匠の言葉を思い返していた。
「私は大業を成し遂げると乗り出したが、一生守ると言った女との約束を守ることができなかった」
 ヘモスは朱蒙の手を強く握った。
「お前はそうしてはいけない。そばにいる一人を守れない者が数万人の民を守れるものか・・・お前のお母さんは賢くて美しい方だろう? お前が守ってあげなければならない」
 目を覚ましたユファは、寝床にうずくまるようにして眠っている朱蒙を見てヘモス将軍とのやりとりを思い浮かべた。
「朱蒙に会います。朱蒙にヘモス様のことを全部話します」
「アガシー(お嬢様)、これからも朱蒙の父親は金蛙王です。何もしてあげなかった私がいまさら父と言えません」
「これからは朱蒙とともに余生をともにします」
「いけません、アガシー。私が夫余に現れたら混乱を招くだけです。アガシーと朱蒙を守ってきた金蛙王のために、私は夫余を離れるべきなのです」
 ユファは悲しみを振り払うように身を起こした。
「母さん・・・」
「戻って休みなさい」
「大丈夫です。心配しないでください」
「朱蒙や」
「はい、母さん」
「お前にやりとげるべき大業があると言ったが、覚えているか」
「はい」
「大業を成し遂げるためには強くならなければならない。今の試練と苦難は小さな山に過ぎない。超えるべき山はまだまだたくさんある」
「私が成すべき大業とはいったい何ですか。教えてください」
「まだ言えない。自分自身を治め、民を治める準備ができれば、わかるようになる」
「母さん。今は母さんをお守りすることが私の大きな望みです。私が握ったこの手を二度と離しません」

 それがヨンタバルの抱きこみ作戦とも知らず、強い剣をつくる炒鋼法の秘密を教えてもらうため、モパルモは連日ヨンタバル商団の本拠地におしかけていた。しかし、それは今日もラチがあかなかった。

 朱蒙は気力を取り戻したユファ夫人のことを金蛙王に報告した。
 金蛙王は朱蒙に訊ねた。
「お前を殺そうとする者たちは誰だ。宮から追い出された時も、腹を刺されて身を隠したとも聞いた。これほどお前を執ように狙う者はいったい誰だ」
「陛下。それは私にもわかりません」
「心当たりもないのか」
 わかっていても答えることのできない朱蒙はあいまいに頷いた。
 金蛙王はしばらく考えて言った。
「お前が刺客たちと戦うのを見た。武芸が上達したようだが、修練したのか」
「宮の外にいる間、師匠に出会い、武芸を習いました」
「短期間であれだけの武芸を教えた師匠はいったい誰だ。一度、会ってみたい」
「すでに亡くなりました。陛下。昔、師匠は陛下とともにハンナラ軍に対抗して戦ったそうです」
 金蛙王の表情が変わった。
「もしかして、その人は両目を失った人か?」
「はい・・・陛下。私が師匠の便りを陛下に伝えましたが、どういうわけか約束の場所に現れたのは師匠を殺そうとする刺客たちでした。・・・私の師匠をご存知でしたか」
「一緒にタムル軍を率いた同志だった・・・」

 金蛙王は天の啓示を覚えていた。
「ヘモス。お前の気運と武功が朱蒙に伝授されたな。たしかに天地神明の啓示だ。私がその啓示を奉じて未完の大業を成し遂げる」

 金蛙王は王妃、ユファ夫人、帯素、ヨンポ、朱蒙、ヨミウル、主だった忠臣を一同に集めた。
 その場で太子の話を切り出した。
「お前たちは夫余のため、持てる能力を競え」
 王妃は異論を唱えたが、金蛙王は息子たちに訊ねた。
 帯素は、陛下の意に従います、と応じた。
 ヨンポは、私などは、とためらったが、夫余の王子がそれほどの野心もないのか、と挑発され、やむなく受け入れた。
 金蛙王は朱蒙にも気持ちを質した。
「朱蒙よ」
「はい」
「お前が宮の外に出ている間に、テソとヨンポには任務を与えた。兄たちと張り合うにはお前にも任務が必要だろう。希望を申してみよ。求める任務を与えてやろう」
「陛下。恐れ入りますが、もう一度宮の外に私を出してください」
「理由でもあるのか」
「私はこれまで、陛下の庇護の元で軟弱に生きてきました。数えられないほど罪を犯し、鉄器工房の事故も重罪です。外に追い出されることがなかったなら、今も何も知らないまま生きていたでしょう」
 金蛙王は言った。
「好きなようにしなさい」

 帯素がなるものと思っていた太子の座を、競争で決める、と金蛙王に宣言され、王妃は怒り心頭で荒れ狂った(彼女の立場から考えれば無理もない)。
 ヨンポは、その気はなかった、と兄に弁解した。
「遠慮することはない。いつでも受けて立つぞ」
 王妃はため息をついた。
「兄上も何とかしてください」

 プドウクブルは朱蒙を見てヨミウルに言った。
「驚きました・・・兎が宮を出て虎に豹変したようです」
「亡きヘモス将軍の気運を受けたようです」
「朱蒙王子はヘモスの息子なのですか」
「いくら私が神女でも、その内幕まではわかりません。陛下とユファ夫人だけが知ることです」
 ヨミウル、とプドウクブルは呼びかけた。
「ヘモスの死でまだ私に怒っているようですね。・・・競争で太子を冊立するという陛下の方法を正しいと思いますか」
「方法を論ずる前に見過ごせない問題があります。そんな重大な決定を神女の私に相談しなかったことです」

 弁明しようとする朱蒙にユファは言った。
「話さなくていい。私はお前の決定を信じる。堂々と出るので宮にはいつでも戻れる。思うとおりにやってみなさい」

 四出道が兵を引き連れ、宮入りした。王妃の意を受けて出向いてきたようだ。
 四出道最高の実力者である王妃の叔父は姪の不満を聞き入れて忠言におよぶが、帯素にその資格があるならそれだけの能力を見せるはず、と金蛙王に軽くいなされて引き下がる。
 
 夫余の太子を競争で冊立するという報はヨンタバルのもとにも届いた。
 この話を聞いた召西奴は朱蒙や帯素との出会いを思い浮かべた。これは面白いことになりそうという表情をした(先に朱蒙のことを思い出したところをみるともはや朱蒙の方に心を奪われ出しているか?)。

 トチの商団は武器の密売を行おうとしたが、何者かの襲撃を受けて退散した。

 数日後、金蛙王のもとにヤンジョンから早馬の親書がもたらされた。当方が武器裏取引の現場を押さえたとの文面だった。
 鉄器工房の責任者モパルモが金蛙王の前に引っ立てられた。ヨンポと宮廷使者のことは朱蒙から止められている。それが言えず、モパルモは苦しむ。
 モパルモを助けたのは、今は犯人探しをやっている場合ではありません、とのヨミウルの言葉だった
 
 武器取引の失敗を責め、トチはハンダンに殴る蹴るの暴行を加えた。このハンダンとプヨンはともかく虐待される場面が多い(二人の見どころはそこである)。人間のしがらみの極地を見るようで、それなりの存在感と魅力をたたえている(途中でプヨンは弟たちを連れて去るが、寂しさがありながら解放された地に向かうようでどこかに清々しさも感じられた。じつはプヨンとプブンノの番外編を創作したいとひそかに考えている)。
 そのトチをヨンポがやってきて責め立てた。トチは、許してください、とヨンポの前で手を合わせた。ヨンポは話を聞いていたプヨンを脅して立ち去った。



 ハンナラと交易の摩擦が生じ、夫余では塩騒動が持ち上がった。
 事態を打開すべく、帯素は金蛙王に、ヤンジョンに会うためヒョント城に行かせてくれと申し出る。
 ユファは朱蒙を呼んだ。帯素が事態を打開するためヒョント城に向かうようだ、交渉が成功すれば陛下はこれを讃えるだろう、お前は何をするか、と訊ねた。
「私もそろそろ宮を出る時が来たようです」
 帯素は大勢の供を連れ、朱蒙は一人でひっそり宮を出た。

 塩をどう確保するかの競争が帯素、ヨンポ、朱蒙の間でいよいよ始まった。

 朱蒙の顔を見て、オイ、マリ、ヒョッポの三人は、俺たちも宮に入る日が来たとばかり喜ぶが、ヨンタバルと会った朱蒙は、私をここで使ってください、と申し出た。
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