雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「青い海の伝説」第4話④







韓国ドラマ「青い海の伝説」第4話④
Korean Drama "Legend of the Blue Sea" Episode 4 ④
 


第4話③

 イルジュンは答えた。
「もう少し我慢してくれ。頑張って、いつの日か豪勢な生活させてやる。着るものは全部ブランド品で着飾れるようにな」
 モランはグーを握った。
「絶対だからね」
 念を押してほがらかに笑った。
「さあ、食べましょ」

 追想に浸っているイルジュンにシネが訊ねた。
「お口に合わない?」
 イルジュンは我に返った。
「いや、美味しいよ。君も食べてみろ」

★★★

 ジュンジェは水族館で女(人魚)と再会した。
 しかし彼は彼女によってこれまでの記憶を消されていた。過去のいっさいの記憶を消されていた。
 彼は彼女に歩み寄った。間近で見つめ合った。
 女は涙を浮かべながら彼の言葉を待った。
「俺を知ってるのか?」
 女は黙って答えない。
「もう一度訊く。俺を知ってるか?」
 ジュンジェを見つめ返し、答えたい気持ちを必死でこらえていると、女の背後で男の声がした。
「その女を捕まえてください」
 男たちが息急きながら彼女を追って駆けて来る。
 彼は逃げようと慌てる彼女の腕をつかんだ。
 女は彼の腕を振り切ろうとしなかった。彼の意に従った。
「ありがとうございます」
 追っ手はジュンジェたちの前に立った。
「不法侵入者なんです。取調べが必要ですので…」
「分かってます」
 ジュンジェは答えた。
「えっ?」
 意外な返事に水族館の職員は戸惑う。
「警察です」
 ジュンジェは擬似名刺を職員の前に突き出した。
「通報を受けて駆けつけました」
「通報ですか?」
 職員はスタッフを振り返った。
「通報は誰が?」
 スタッフにしたと答える者はいない。
「した者は」
 いない、と応接しかけたところで一人が言った。
「保安部では?」
 ジュンジェはすかさず畳みかけた。
「責任者ですか?」
「あ、はい」
 職員は懐から名刺を取り出す。
「こういう者です」
 名刺を受け取ってジュンジェは答える。
「目的はまだわかりませんが、内部の者が手引きした可能性があります。その際はご協力ください」
 ジュンジェのなりきり度に隙はない。
「わかりました」
 ジュンジェは女(人魚)に向かって言った。
「ご同行願います」
 女はちらと彼に向けて笑みをもらした。
(相変わらずのことやってるのね…)
 ジュンジェは女の腕をつかみ、背を押した。出口に向かってスタスタ歩き出した。
 二人を見送りながら責任者の男はつぶやいた。
「何か釈然としない。狐につままれたみたいだ…」







 二人きりになったところでジュンジェは女と向き合った。
「助けたわけじゃないぞ。俺の質問に答えてくれ」
 懐から携帯を取り出す。携帯画面に旅行先の写真を引っ張り出した。彼女に見せた。
「なぜ、俺と一緒にいた?」
 女は画面を覗きこむ。示された携帯画面に自分の姿が映っている。
 それを見て驚く。
「ジュンジェと私が板切れの中に…?」
 ジュンジェは奇異な気分に駆られる。この女は何なのだ?
「何で俺の名を知ってる?」
「…」
「君は俺を知ってるな?」
 彼女は首を振る。
「知らない?」
 首を振り続けるものの、知らないとは口にしない。
「どっちなんだ?」
 ほんとに妙な女だ。知ってる表情をかもし出しながら否定している。
 ジュンジェは断定した。
「君は俺を知ってるはずだ。写真で見た通り、スペインで一緒にいた」
「…」
「だが、俺はそれを覚えていない」
 ジュンジェは女に顔を近づける。
「君は誰だ?」
 女は黙ってジュンジェの顔を見つめ返す。
 まばたきを一回する。
 ジュンジェはため息とともに目を落とす。
「いいだろう」
 ジュンジェは頷く。
「君の名前は?」
「…名前はないわ」
 ジュンジェは鼻で笑う。
「名前はない?」
「うん」
 女はちらと上目遣いになった。
「名前がなくても変じゃないと言ったわ」
「誰が?」
「気持ちの優しい人が…」
 ジュンジェはあらぬ方へ目をやった。
「誰かは知らないが、その人も変な人間だったようだな」
「…」
「君の言動はまったく意味不明だ…韓国語が苦手なのか?」
 そこへ巡回警備の人たちが通りかかる。
 ジュンジェはすかさず女の肩に腕を回し、彼らをやり過ごす。
 さすがにここにいるのはまずい。女の手を取って走り出す。
 ジュンジェに手を取られて走りながら、女はスペインの海辺の出来事を思い返した。
 あの時もこうして人に追われて駆けたのだった…。
 二人は水族館を抜けだした。そのまま街の歩道も駆け続けた。水族館のビルからだいぶ遠ざかってから、ジュンジェははっと我に返る。現実に戻る。
 握った女の手を離して訊ねた。
「最後の質問だ」
「…」
「俺たち、スペインで何があった? なぜかは分からないが、俺は君のことを覚えてないんだ」
 ジュンジェと目が合った。女は下を向いた。
「俺は事故にでも遭ったのか?」
 女はやっぱり何も答えない。
 ジュンジェは顔をしかめる。
「話す気がないのか?」
「…」
 ジュンジェは苛立つ。
「君は俺の質問に答える気がないってわけだな。なら、こうして一緒にいる意味もない」
 言い終えるや背を返した。女の前から大またで歩き去ろうとする。
 しかし、やっと捜し出した相手である。女は彼の後ろをそろそろとついて歩いた。



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