韓国ドラマ「青い海の伝説」第17話①
韓国ドラマ「青い海の伝説」第16話⑬
★★★
開いたドアの前にセファが立っている。
驚く間もなくマ・デヨンは腕を取られた。セファは屋上の端っこまでマ・デヨンを引っ張ってきた。
握ったマ・デヨンの手首を離さないでセファは言った。
「あなたの記憶をすべて消し去ってあげる」
マ・デヨンは慌ててセファの手から逃れようとする。しかし逃れることはできない。
「罪を思い出せないのに、罰を受け続ける地獄を味わうのよ」
そう言ってセファは目をつぶった。
セファの念力は手を伝ってマ・デヨンの脳内へ流れ込んでいった。マ・デヨンの記憶はセファの胸に回収されてすべての発端に向けて巻き戻されていく。それらの記憶に巡り合いながらセファは涙を流し続けた。
この時、セファは本当のことを知った。
『二人は幸せに暮らした―病気もケガもせず、子宝にも恵まれて…末永く幸せに暮らしたんだ』
とジュンジェは話してくれた。しかし、そうではなかった。ジュンジェが見て語った夢は自分を気遣っての嘘だった。マ・デヨンの意識に残っていた記憶こそが事実だった。
「またウソを…ウソだったのね…」
セファは屋上に立ち尽くして泣き続けた。
★★★
泣き崩れているセファにマ・デヨンは訊ねた。
「お前は誰だ?」
セファは答えない。
「俺はここで…何を?」
セファはマ・デヨンに歩み寄った。
「あなたは多くの人を殺したのね」
「…?」
「色んな人の悲鳴を聞いたわ」
「何のことだ? 俺が誰を殺したって?」
「誰をかって? 生まれて祝福を受け、大切に育てられ、愛する人と楽しい未来を思い描いていた人たちよ。あなたはその未来を一瞬で奪い去った」
「俺は知らない…」
マ・デヨンは後ずさりした。
「私は奪い去る」
セファは一歩にじり寄った。
「あなたから人生のすべてを」
「…」
「犯した罪を知らないまま罰を受け続けなさい」
マ・デヨンはセファの覇気に怯えた。屋上の塀に追い詰められた。怯える者は手にした武器も役に立たない。セファは刃物を握るマ・デヨンの手首をつかんだ。
刃物はマ・デヨンの足元で金属音を響かせた。その瞬間からわずかに残っていたマ・デヨンの記憶はみるみるセファに奪い取られていった。タムリョンと共に自分の身体の奥深く貫いた銛の記憶が蘇った時、セファは思わず手を離した。重い痛みがセファの胸をえぐったからだった。
セファは怒りの目をマ・デヨンにぶつけた。それから足元に崩れ落ちた。
マ・デヨンはセファの怒りと憎悪に恐れおののき、セファの前から逃げ去った。
マ・デヨンが逃げ去った後もセファは立ち上がれない。こみ上げる悲しみに必死で耐えた。
マ・デヨンは夜の街中を逃げ続けた。セファに追われる恐怖心で逃げ続けた。ひたすら逃げ続けて周囲の者が目に入らない。
気が付くと誰かを弾き飛ばしていた。
「どこ見て走ってるんだ!」
起き上がった男は文句を並べるためにマ・デヨンを見た。
「…あれっ? お前はマ・デヨンじゃ…? だよな」
男が何を言ってるのか彼は分からない。返事も答えもせず、走り去った。
男は慌ててポケットから携帯を取り出す。
「もしもし…警察ですか? マ・デヨンを目撃しました…はあ? 殺人犯のマ・デヨンですよ」」
その頃、ジュンジェは粘り強く父親の説得を続けていた。
「もう一度だけ言う。いや…、頼むよ。頼むから俺を信じて…俺と一緒にここを出てくれ」
「行かない」
イルジュンは受け入れない。
ジュンジェは説得を諦めた。父に背を向け、帽子をかぶった。
父親の部屋を出たジュンジェのところへナムドゥがやってきた。
「どうして大声を出したんだ?」
ジュンジェは答えずに部屋を離れる。
「作業を終了しました」
階段をおりたナムドゥは家政婦に報告する。
家政婦は怪訝そうにジュンジェを見た。
「薬を飲んだ虫がもがいて出てくると思います。ではこれで失礼します」
ジュンジェの言葉に真実を感じつつ意地を張ったイルジュンは、ベッドに腰をおろしたまま涙に暮れた。
いまさら後戻りはできない。それがイルジュンのせめてものプライドのようだった。
カン・シネはジンジュの企んだウソの会合の席へ顔を出した。
開いたドアの前にセファが立っている。
驚く間もなくマ・デヨンは腕を取られた。セファは屋上の端っこまでマ・デヨンを引っ張ってきた。
握ったマ・デヨンの手首を離さないでセファは言った。
「あなたの記憶をすべて消し去ってあげる」
マ・デヨンは慌ててセファの手から逃れようとする。しかし逃れることはできない。
「罪を思い出せないのに、罰を受け続ける地獄を味わうのよ」
そう言ってセファは目をつぶった。
セファの念力は手を伝ってマ・デヨンの脳内へ流れ込んでいった。マ・デヨンの記憶はセファの胸に回収されてすべての発端に向けて巻き戻されていく。それらの記憶に巡り合いながらセファは涙を流し続けた。
この時、セファは本当のことを知った。
『二人は幸せに暮らした―病気もケガもせず、子宝にも恵まれて…末永く幸せに暮らしたんだ』
とジュンジェは話してくれた。しかし、そうではなかった。ジュンジェが見て語った夢は自分を気遣っての嘘だった。マ・デヨンの意識に残っていた記憶こそが事実だった。
「またウソを…ウソだったのね…」
セファは屋上に立ち尽くして泣き続けた。
★★★
泣き崩れているセファにマ・デヨンは訊ねた。
「お前は誰だ?」
セファは答えない。
「俺はここで…何を?」
セファはマ・デヨンに歩み寄った。
「あなたは多くの人を殺したのね」
「…?」
「色んな人の悲鳴を聞いたわ」
「何のことだ? 俺が誰を殺したって?」
「誰をかって? 生まれて祝福を受け、大切に育てられ、愛する人と楽しい未来を思い描いていた人たちよ。あなたはその未来を一瞬で奪い去った」
「俺は知らない…」
マ・デヨンは後ずさりした。
「私は奪い去る」
セファは一歩にじり寄った。
「あなたから人生のすべてを」
「…」
「犯した罪を知らないまま罰を受け続けなさい」
マ・デヨンはセファの覇気に怯えた。屋上の塀に追い詰められた。怯える者は手にした武器も役に立たない。セファは刃物を握るマ・デヨンの手首をつかんだ。
刃物はマ・デヨンの足元で金属音を響かせた。その瞬間からわずかに残っていたマ・デヨンの記憶はみるみるセファに奪い取られていった。タムリョンと共に自分の身体の奥深く貫いた銛の記憶が蘇った時、セファは思わず手を離した。重い痛みがセファの胸をえぐったからだった。
セファは怒りの目をマ・デヨンにぶつけた。それから足元に崩れ落ちた。
マ・デヨンはセファの怒りと憎悪に恐れおののき、セファの前から逃げ去った。
マ・デヨンが逃げ去った後もセファは立ち上がれない。こみ上げる悲しみに必死で耐えた。
マ・デヨンは夜の街中を逃げ続けた。セファに追われる恐怖心で逃げ続けた。ひたすら逃げ続けて周囲の者が目に入らない。
気が付くと誰かを弾き飛ばしていた。
「どこ見て走ってるんだ!」
起き上がった男は文句を並べるためにマ・デヨンを見た。
「…あれっ? お前はマ・デヨンじゃ…? だよな」
男が何を言ってるのか彼は分からない。返事も答えもせず、走り去った。
男は慌ててポケットから携帯を取り出す。
「もしもし…警察ですか? マ・デヨンを目撃しました…はあ? 殺人犯のマ・デヨンですよ」」
その頃、ジュンジェは粘り強く父親の説得を続けていた。
「もう一度だけ言う。いや…、頼むよ。頼むから俺を信じて…俺と一緒にここを出てくれ」
「行かない」
イルジュンは受け入れない。
ジュンジェは説得を諦めた。父に背を向け、帽子をかぶった。
父親の部屋を出たジュンジェのところへナムドゥがやってきた。
「どうして大声を出したんだ?」
ジュンジェは答えずに部屋を離れる。
「作業を終了しました」
階段をおりたナムドゥは家政婦に報告する。
家政婦は怪訝そうにジュンジェを見た。
「薬を飲んだ虫がもがいて出てくると思います。ではこれで失礼します」
ジュンジェの言葉に真実を感じつつ意地を張ったイルジュンは、ベッドに腰をおろしたまま涙に暮れた。
いまさら後戻りはできない。それがイルジュンのせめてものプライドのようだった。
カン・シネはジンジュの企んだウソの会合の席へ顔を出した。