雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「プレーヤー」(連載73)



韓国ドラマ「プレーヤー」(連載73)


☆主なキャスト&登場人物

○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)
○アン・セホ➡(メン・ジフン 係長)
○ユ・イェビン➡(チュ・ヨニ)


 プレーヤー」第5話→(俺たちの妹)③


★★★


「ところで」
 ぐいと酒をあおって1人がナム社長に訊ねた。
「ペク・ソンとパク社長の関係は、どういう関係なんだ?」
「昔から取引をしていたと聞きました」
 ナム社長は酒ビンを握り、皆に振る舞う。
「こんなお偉方にはなかなかお会いできませんので」
「謙遜しないでいい」と1人が言う。「選挙資金の管理もそっちでやるのか?」
「はい。最善をつくします」
「そうでないとな―さあ、こうして家族になった記念に乾杯しよう」
「いいね」
「やりましょ」
 ナム社長らはもう一度大きな声で乾杯した。
 この後、赤いネクタイの男が話題を変えた。
「他に何か楽しみはないのか? 最近、さっぱりやる気が出なくて」
「うっふふふ」と頭取たち。
 ナム社長がもちろんとばかりに応じた。
「楽しみはすでにこちらで用意しています」
「さすがだ」
 ネクタイ姿の連中は嬉しそうに笑った。
「やっぱり裏切らないね」と赤いネクタイの男。「さあ、もう一度乾杯だ」


★★★


 ハリはアジトに戻った。
 ジヌンらは先に戻っている。
「顔にパックとはお気楽だな」
「おっ、来たか」とジヌン。「豆腐を買っておいたぞ」
「義理もくそもあったものじゃないな」
 ジヌンとともにソファにぐったり寝そべっているビョンミンがクールに応えた。
「義理も何も、各自、生きていくだけだ」
 透明なシールみたいのを顔に貼りつけたジヌンも目をつぶったまま言う。
「警察に捕まるのは初めてじゃないだろ」
「まったく…お前たちには期待してないよ」
 冷蔵庫から飲み物を取り出してハリは2人の前に戻ってくる。
「チョ・サンムは?」
「お前とは違う。もう、捕まえたよ」
 ビョンミンが応え、ジヌンも続く。
「プロだからな」
「わかったから、また出かけるぞ」
「今からどこに行くんだよ」
「金の行方を探さないとな」
「あとはチャン検事にまかせようよ」
 ビョンミンは面倒くさそうな顔をする。
「金もいただいたし、パク社長も検挙したじゃない」
 ジヌンも同調する。
「そうだ。ヤクザと関わらずにこのへんで手を…」 
「ダメだ」ハリは断定口調になった。「必ず俺たちでやりきる。行こう」
「何を言ってるんだ」とビョンミン。「必ずやるって俺は部下じゃない」
「…」
「なぜなんだ? 借金でも作ったのか?」
「信用がないから無理だ」とジヌン。
「お前が行け」とビョンミン。
「俺はこれがあと5分残ってる」とジヌン。
「いいから、早く行けよ」
「お前が先に行け」
 ビョンミンはジヌンを見た。
「1人で行かせよう」
 

 考え込んでいたチャン検事は机を叩いて立ち上がる。
「みんな注目しろ」
「はい、注目」とメン係長。
「パク社長の件については口をつぐもう。外部には知られないよう…」
 その時、いきなりドアが開いた。カン次長検事が血相変えて乗り込んできた。チャン検事の前に立った。
「出しゃばるなと言っただろう」
「何がですか」
「なぜ勝手に追加捜査をする」
「もう終わりました」
「何だと?」
「パク社長の件は終わりました。何か問題でもありますか?」
「…」
「みんな帰っていいぞ」
「では、帰ろう」
「お疲れ様です」
「また明日」
 部下たちは挨拶しあって出て行く。
 みなに続いてチャン検事も帰り支度に取りかかる。
「私もこれで失礼します」
 そう言って部屋の明かりを消した。
 出口に向かいながら言った。
「カン次長は帰らないんですか?」
 傍らを通り過ぎたところで足を止めた。
「すみません。僕たちはお先に失礼します。では」
 チャン検事を見送ってカン次長検事はぼやいた。
「いったい、何を企んでるんだ…」


 捕まえた男の横でハリとジヌンがもめている。
「やめろと言ってるだろ。おい、話を聞け」
「いや、絶対に殺してやる」
「待てって。お前、今年に入って何人目だと思ってる。本当に死刑になるぞ」
「1人や2人増えたって変わらない。俺は殺す」
 捕まった男は身体を震わせている。それでも精一杯突っ張って言う。
「こんなことをしたら生きて帰れないぞ。手に負えないぞ」
「うるさい」
 ジヌンは男を蹴り飛ばした。蹴られた男は悲鳴をあげてそこから落下して消えた。
「ダメだって」 
 ハリは頭を抱えて叫んだ。
「同じことばかり言いやがって」とジヌン。
 ハリはもう一人の男の前に来た。
「見たか? あいつはやばい。俺も止められない」
 振り返って言う。
「こっちに来るぞ。だから早く終わらせよう」
 男は身体を震わせていう。
「俺は本当に知らないんだ」
 ジヌンがやってきた。
「俺が思い出させてやるよ。来い」
「し、知らないんだって」
「おい、やめろ」とハリ。
 ジヌンは男を階下に突き落とすつもりで引っ立てていく。
「どこにやった!」
 頭にすっぽり布切れをかぶせられた男は震え上がって言った。
「分かった。話すよ」
「さあ、話せ」
「ペク・ソン。あいつがぜんぶ持っていったんだ」
「本当か?」とハリ。
 ジヌンも怖い顔で睨む。
「ああ、本当だ。あいつが”洗濯”して…」
「洗濯して?」
「借名口座に」
「それから?」
「借名…」
 ジヌンは男を蹴り落とした。男は悲鳴を残して下に消えた。
「今、蹴ってはダメじゃないか」
 ハリはジヌンに文句を言う。
「無駄話が多いからだ」
「ほんと、怒りっぽいヤツだ」
 2人は下を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
 男たちはすぐ下で転がっている。
 ハリたちは顔を見合わせ笑い声を立てた。

 ビョンミンは下でOKマークを指で出している。3人は満足そうに笑い合った。



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