![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/07/18122c24d2995e07920266b44316e5ec.jpg)
「チャン・チョルス」
アンナは訊ねた。
「私が出ていったと思ったの?」
「朝っぱらから姿が見えないからだ。誰でもそう思うだろ」
「・・・出ていったと思った割には喜んでないのね」
「そ、それは・・・お前が戻ってきたからじゃないか」
「あんたには悪いけど、まだ出ていく気はないわ。残念ながら、ほかに居場所がないの。犬を捜してたのよ」
アンナはコッスンを引いてチョルスの横を通り過ぎた。
「サンシリッ!」
チョルスはその背に話しかける。アンナは振り返る。
「出て行く時は、”私は出て行く”と、ひとこと、メモを残して行け」
「それで何が変わるの?」
「そうすれば、お前を捜さなくてすむんだ」
「あんた・・・私を捜してたの?」
チョルスは減らず口を叩いた。
「お前が犬を捜したように俺も出てきたんだ」
「じゃあ、私は犬と同じってこと?」
「そうだ。それにコッスンは・・・たまにデートに行くから捜す必要はない」
チョルスはそう言って先に家に戻っていった。
アンナはコッスンに腹を立てた。
「あんた、デートしてたの? 留守番もせずにデート?」
犬小屋に紐を短く縛り付け、コッスンに言いつけた。
「そうして、家を守りなさい」
部屋に戻ってきてチョルスはぼやいた。
「ああ、まったく・・・心配して損したよ」
しかし、ふと自分の気持ちにぶちあたった。
「俺が、出て行くあいつを心配してどうする? わけがわからん・・・」
アンナの携帯をもってるのを思い出す。あわてて元あったところに投げ返す。
「そうさ・・出て行くのは当然だ。それでいいんだ」
しかし、気分はどうもイマイチ吹っ切れない。
「今日はアンナに会いに行くぞ」
ビリーは新たな意気込みに燃えていた。
鏡の前に立ち、自分の服装を確認する。
後ろにアンナが姿を見せる。いつもそうだった。彼女のセンスに自分は合わせてきた。
彼女はビリーに向かってつぶやく。
「悪くないわ」
「もちろんだろう」
ネクタイを締める。
「締めすぎるのは嫌いよ」
「そうだった」
少し緩める。
次に香水。ささっとふる。
「多い。2回だけよ」
アンナのイメージに沿って盛装は成る。
「これがアンナの目を引く最終兵器だ」
ビリーはご機嫌になる。
「プリンセース」
script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb