
韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第5話(15)
Korean drama "You're Beautiful" Episode 5 (15)
アン社長の言葉に三人は突っ立ったまま固まっている。
ミニョは三人を見やった。シヌは目をそらした。
ジェルミはミニョに背徳の魔性を感じて怯えている。
淡々として立っているテギョン兄貴は頼めば大丈夫そう、と思ったミニョ。だが、目が合うとテギョンはタコのように唇をとんがらかし、拒否をアピールしてくる。ミニョはへこんだ。テギョンの表情を模して目をつぶった。しかし、落胆だけしているわけにもいかない。
伯母のためになることを自分が望んでいるかどうかは正直あいまいだ。兄のためか誰のためかわからないが、ここを離れがたい気持ちがないともいえない。そういった気持ちのありかを見定めるまでここにいたいとも思う。
ひとつ部屋でメンバーの誰かと何日か過ごさねばならないのは抵抗もあるが、今は何とかしてこの場をクリアするのが先決だ。
「強いて相手を選ぶなら・・・」
ミニョは切り出した。
人差し指におまじないをし、目をつぶってテギョンを指差した。
自分に指名を受け、テギョンは目を剥いた。
「俺か?」
シヌとジェルミはテギョンを見た。
テギョンを指差したまま、うんうん、とミニョは頷いた。
「よし、OK、OK、それがいい。部屋は一番広いし、一緒に使えばいい。OKだ」
「イヤだ。御免だ。コ・ミナム、お前もほんとはイヤなんだろ? 正直に言ってみろ」
ミニョは少しイヤそうにしたが、昼間過ごした時間などを思い浮かべすぐ懇願の目になった。
「でも、兄貴が気持ちも楽です・・・」
「はん、何言ってる。俺はちっとも楽じゃない」
「わかった、もういい! ミナム、うちへ来い。こうなったらお前は俺と一緒だ」
鶴の一声だったはずだが、今度はフニが両手を横に震わせた。訴える表情になった。
お前もか、と言いたげにアン社長はフニの肩に腕をまわした。
「俺も一人で退屈だったところだ。コ・ミナムは新しく迎えたメンバーだし、ほんとはこうするのが一番自然なことかもしれん。ちょうどいい。一緒にサウナに行き、運動などもして家族的交流を楽しく深めるついでで俺も少し若返ってみるとするか」
ミニョは慌てた。
「ヒョンニン(兄貴)!」
テギョンを見て叫んだ。
(お願いします・・・!)
しかしテギョンは目を背ける。
「ヒョンニン(兄貴)!」
ミニョは声を振り絞った。
(助けてください・・・!)
テギョンはミニョにやぶにらみの目を送る。
もともとは純朴な親分肌の気質を持つテギョンだ。見たが最後、急場に立ったウサギのようなミニョの懇願表情に耐えられるわけもない。
テギョンは無念そうに目をつぶった。
ミニョに何事もなく元の場所にお引取り願うには、悔しいがここはいったん自分が泥をかぶるしかない。
「コ・ミナム」
テギョンはすました顔に戻った。
カッコをつけ、スマートな声で切り出した。
「だから・・・俺の・・・俺の部屋に、来い」
それを聞いてミニョはほっとする。
フニもガッツポーズを取る。
「いいんだぞ」
アン社長は渋い表情をテギョンに向けた。
「無理などしなくとも」
テギョンは冷静な声で続けた。
「俺が一緒に・・・運動して、サウナにも行って、背中を流せば、きっと楽しい」
ミニョの口もとから白い歯がこぼれた。満面に嬉しさが広がる。
しかしテギョンと目が合うとその表情を逃げた。
ミニョはフニの手伝いで部屋の荷物をまとめた。
「あれほど部屋を追い出そうとしてたのに、テギョンはすっかり変わりましたね」
テギョンの純朴な心根に触れているミニョはフニの言葉を否定した。
「兄貴はいい人です」
「しかし・・・」フニは懐から何やら取り出した。「何はともあれ、用心は必要です」
ひげ剃り機みたいなものを見てミニョは訊ねた。
「何ですか、これ?」
手を伸ばしてさわろうとするのをフニはあわてて引っ込めた。
「おっと危ない。むやみにさわらない」
「?」
「・・・ないとは思いますがファン・テギョンが・・・」
ミニョは首をかしげる。
「つまり、もしも妹さんに」
「・・・?」
「その・・・」
フニはメガネを外した。
「目つきが急に・・・こんなのから」
フニは人懐っこい顔を妖しく怖く変貌させる。
「こんな風になってきたら押すんです」
フニの手もとからバチバチ電気の火花が散る。
ミニョは恐怖でのけぞった。機器を扱った当人も身体を萎縮させた。
「いいですね。こうですよ」
恐怖の表情のままミニョは頷いた。
(続く)
script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb