雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載56)



韓国ドラマ「30だけど17です」(連載56)



「30だけど17です」第6話(開かない天窓)⑦
☆主なキャスト&登場人物




○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)



★★★

 食後、飲み物でくつろぎながらソウルの夜景に目をやった。
「ココアが美味しい」とチャン。
「その年だ。何でも美味しいだろ」
 ウジンはチャンを見た。
「確かに」
 頷くチャンにウジンはクスンと笑う。
 チャンは大きく息をつく。
「ミスター・コン…」
「ん?」
「誰とも関わりたくないのは知ってるけど…俺はもっと関わりを持って生きてほしいな」
「…」
「必要な時間かもしれないけど…俺に免じて―帰ってきてくれない?」
 チャンはウジンを見た。
「叔父さん」
 ウジンは答える代わりに腕を伸ばした。チャンの頭を撫で撫でする。
 チャンははにかみ笑いする。
 ウジンは手を放した。下を向いた。
 昼間、ソリから言われた言葉が脳裏をよぎる。
「そろそろ帰らないと」
 チャンは立ち上がる。ウジンを見る。
「可愛いピヤクが待ってるから。じゃあ、行くね」
 行こうとするチャンに少し遅れてウジンはいう。
「車で送るよ」
「いいよ」
 チャンは太股を叩いた。
「走る方が早いさ」
 数歩歩いて、チャンは振り返る。
「帰って来るの…、待ってるから」
 ウジンは黙ってチャンを見送った。


★★★


 チャンが事務所に戻って来ると携帯が鳴った。
 取引先からだった。
「ご連絡した通りメールが届きません」
「確かに送ったんですけどね。もしかして、迷惑メールに分類されていませんか?」
「迷惑メールですか? 今、確かめてみます」
 ウジンはマウスを動かした。メールボックスを開いた。
「ああ、ありました。迷惑メールになってました」
「どうりで…でも、どうして…作業が遅れてしまうところでした」
 ウジンはふとソリの言葉を思い浮かべた。
「申し訳ありませんでした。内容を見て、ご連絡します。よろしく」
 電話を終えて、ウジンはソリの言葉を思い浮かべた。
「だから目を背けてるんですね。お詫びをしようと何をしようとおじさんの眼中に私たちはいないんですね、おじさん」
 ソリの言葉をしみじみ思い返し、ウジンはマウスに手をやった。送られてきたメールを読もうとしたら机上の携帯が鳴った。
 ユ・チャンからのメールだった。


― 写真を見て笑い方を思い出して。それで練習して。


「写真?」
 ウジンは近くを見回した。写真を見つけて手にする。子供だったユ・チャンと撮ったスナップ写真だった。
 ウジンは苦笑いを浮かべた。




 ソリは電柱から剥がしてきた募集の紙切れを目の前で並べた。
 それからウジンあてに手紙をしたためだす。


― おじさん、好き勝手を言って―ほんとにごめんなさい。おじさんに助けられたのに、責めたててすみませんでした。口では突き放してもいい人だと分かっています。今までお世話になりました。
 
 書き上げた手紙をウジンの部屋に持っていった。机の上に天窓を開けるラバカップと一緒において階下に戻った。
 愛犬のペンに餌を与えているとジェニファーが声をかけてきた。
「10分後に食事です」
 ソリは明るい声で返事してペンを見た。
「ペン、私からの最後の食事よ。たくさん食べて」
 頭を撫でてやる。
 その時、ドアが鳴った。ペンは走り出す。
 玄関を入ってきたのはウジンだった。ペンは悲しげに鳴いてウジンにすり寄った。ウジンはペンを抱き寄せる。
「トック、元気にしてたか?」
 ソリもそばに立った。顔を上げたウジンと目が合う。
 ウジンは言った。
「これからは吸収力をあげる粉末をエサに混ぜてやって」
「えっ? はい…」
 ウジンは腰を上げ、ソリの横を通り抜ける。
 その時にハッと気づいた。
「えっ!」
 ジェニファーが顔を出した。
「おかえりなさい」
「ええ。お弁当、ありがとうございました」
「お味は…」
「美味しいけど量が…」
「多かった」
「容器は…」
「明日にでも持ってきてください」
 話は嚙み合わずに終わった。
 ウジンが階段下に立つとユ・チャンがおりてくる。
 チャンはウジンを見て感激する。
「戻って来たの? ミスター・コン」
 駆け下りて来てウジンに抱き着く。
 身体を離して言う。
「遅かったね、もう」
 ウジンは苦笑する。
 チャンは頬に人差し指を立てる。
「ほら、昔みたいにプーして」
 ウジンは笑ってチャンの髪に手をやる。
「その前にシャワーを浴びろ」
 ウジンはそう言って階段を上がり始める。
 チャンも一緒について上がり始める。


「これからは…これからは…これからは…」
 ソリの脳内でウジンの言葉がグルグル回り始める。
「これからは…」
 ソリは両手で口を押えた。笑顔が両手からはみ出た。そうなって彼女は我に返った。慌てて駆けだした。


 ウジンは自分の部屋に戻った。テーブルに妙なものが立てて置かれている。
 ウジンはそれを手にした。
「何だ、これは…? ラバーカップ? ん?」
 何か、紙切れも張り付けてある。
 何が書かれているのか読もうとしたらソリが部屋に飛び込んでくる。
「ストップ、ストップ!」
 びっくりしてウジンは振り返る。その隙をついてソリはテーブルにダッシュした。
 張りつけた紙を手ではがし、丸めて口に放り込んだ。
「えっ、何? なぜ紙を口に?」
 口をもぐもぐさせながらソリは弁解する。
「わ、私はヤギ年なので…」
「いや、ヤギ年なんてないけど…?」 
 その隙に放り込んだ紙を手に戻す。ウジンの手を見てすかさず言った。
「それはプレゼントです。お礼とお詫びの印です」
「お礼とお詫びにスッポンを贈るとは珍しい。”ウンコおじさん”にスッポン、僕を何者だと…?」
「それは…」
 ソリは天窓を指さした。
「天窓を開けるためです」
「あそこが開くの?」
 ソリは頷いた。
「はい。開くんです」
「これで?」
「ええ、それで」
 ウジンは耳に手をやり、怪訝そうにする。
「あれは採光用だから開かないんじゃ…?」
 ソリはしてやったりの顔をする。
「やっぱり知らなかったんですね」
「…」
「13年前まで私の部屋だったでしょ」
 ソリは得意満面で言った。
 天窓のエピソードを思い出しながらソリは言った。
「あの天窓は開くんです」 



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