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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載83)
「30だけど17です」第10話(取り戻したい時間)②
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
顔を洗って二人は落ち着きを取り戻した。
「やっと人心地ついたわ」
「ほんとひどい目に遭った」
2人は顔を見合わせた。屈託のない笑い声を何度も交わし合った。
「冷たい風に当たるといい」
「外は雨ですよ」
ウジンは外の気配を窺った。
「やんだみたいだよ」
「すぐにやみましたね」
「そうだね」
2人は外に出て雨上がりの夜空を眺めた。
ソリは訊ねた。
「どうして一階に?」
夜空を見つめてウジンは答えた。
「お礼を言いたくて」
「…」
「ヒスの言うとおりです。今日はありがとう」
「…」
「本心です」
ソリは下を向いた。
「大したことでもないのに」
「…手は大丈夫?」
「ええ。…私、嘘をつきました」
「…?」
「泣いたのは玉ねぎのせいじゃないんです。監督が演奏する姿を見て―羨ましかったんです。そして悔しかった」
「…」
「”私も素敵なドレスを着て舞台に立てたはずなのに”、”何事もなければ”、って、そう考えると涙が止まらなくて」
「いったい、君に何が…」
その時、風で木立がざわめいた。
ソリはウジンを見つめた。ウジンの顔を見つめたまま歩み寄る。ソリの顏は間近に迫ってくる。
顔が触れんばかりになった時、ウジンは思わず待ち人のような表情になった。思わず目をつぶった。
ソリの視線は時計の12時の方向に向いた。右手指がウジンの頭髪から何かをつかんだ。
それをウジンに見せた。
「髪に花びらが」
「…」
ソリが見せたのは百日紅の花びらだった。
勘違いしたウジンは照れくさそうに頷いた。空を見上げて言った。
「夜だから真っ暗だ」
ソリも空を見上げた。
「星も見えない」
「…」
「でも、空気は澄んでる」
横を見やるとソリは少し動いて背を向けている。百日紅の木を見上げている。
「大きくなったわ」
感無量の声で呟いた。
★★★
「何が?」
ウジンは訊ねる。
「あっ」
ソリは小さく声をもらした。木の根元に手を押し込んだ。文字を書き込んだ石を取り出した。
「百日紅?」
ソリ 138・7
サルスベリ 205
「その数字は何? 205?」
「サルスベリの木です」
ソリは答えた。
「私が7歳の時、父が植えました―数字は身長です」
ウジンは頭に手をやった。
「木の?」
ソリは頷く。
「私と同じ身長の木を植えて―毎年、誕生日に成長を記録したんです」
「そうなの…」
ソリは成長した百日紅を見上げた。
「10年前に植えたから…違った。23年前だったわね」
ウジンは黙って百日紅を見上げた。
「ずいぶん大きくなった…私は昔のままなのに」
ウジンはソリの横顔を見つめた。百日紅の小枝は風に揺れて紅い花びらを散らした。
朝になった。
ジェニファーはチャンの部屋に顔を出した。
「チャン君、朝食よ」
しかし、部屋にチャンの姿はない。
「oh my God! あの子が朝食抜きで学校へ? 信じがたい。ところであれは何?」
ジェニファーはマジックを探して手にした。キャップを取った。
チャンは雨の降りしきる中へボートを漕ぎだしていた。
― ピアカ。お前とおばさんは違う。
チャンはピアカの前に立った。
「ピアカ。俺は決めたぞ。お兄ちゃんは―、いや兄貴は…とにかく目標が出来た。全国大会で優勝しておばさんに告白するんだ」
ノートに書き付けた目標を大きな声で口にした。
「前進あるのみ。ドント・シンク・フィール」
ドクスとヘボムは傘をさしてボートを漕いでいくチャンを眺めた。
ドクスは言った。
「日が昇る前から出てきて―こんな大雨でも練習するなんてどういうことだ」
ヘボムは応じた。
「最近、別人みたいだな」
「俺たちが知ってるチャンはどこに行った? あれじゃ身体を壊しちゃうぞ」
「金魚のエサやり? 誰か探すよ」
チン・ヒョンは事務所に出勤してきた。
電話をすませる。
「エサやりか…」
携帯を切って雨空を眺めた。
「変な天気だな」
傘をたたんでリズムを取る。
― 雨が降っても景気をつけて♪
後ろに立ったウジンが調子を合わせる。
― ドンツクドン
剽軽なウジンを見かけてヒスはびっくりする。
「あらあら、どうしちゃったの?」
ヒョンはウジンを見て声を失った。
「違ってたら、ごめん」
そう答えてウジンは事務所に入って行った。
ヒョンはしばらく動けない。
「今のは何だ? 変なキノコでも食べてきた?」
ソリも朝から気分がよかった。朝早くから出勤して鼻歌を響かせ、植木の世話に精出していた。
そこにウジンが入ってきた。ウジンを見てソリは昨夜の出来事を思い起こした。
頬をあからめ、はにかみつつ挨拶をする。
「おはようございます」
それはウジンも同じだった。いや、今までとは違うウジンだった。
「おはよう」
屈託なく挨拶を返して給湯室へ入って行った。
給湯室で爽やかな心でドリップコーヒーを作る。今日のウジンの心は一点の曇りもなかった。
ヒスがドアを押して入ってきた。
「辞表? ロトでも当たった?」
ウジンは首をひねる。
「何のことか意味が分からない」
ヒスはウジンの肩を叩いた。
「ちゃんと答えなさい」
ウジンは左肩を押えた。
「バレーの選手にでもなったら」
「あんたが一緒に決めポーズを?」
「…」
「またクロアチアで放浪しようと浮かれてるの? まだ早いわよ」
「心配するな。行かない」
ウジンはショルダーを握って出て行こうとする。
「行かせない」
ヒスはウジンの前に立ちはだかる。
「あんたがご機嫌だなんてありえないわ」
「ご機嫌だった? なぜだ?」
「…?」
「そうか。雨がやんだからだ」
そう答えてウジンは給湯室を出ていった。
「30だけど17です」第10話(取り戻したい時間)②
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
顔を洗って二人は落ち着きを取り戻した。
「やっと人心地ついたわ」
「ほんとひどい目に遭った」
2人は顔を見合わせた。屈託のない笑い声を何度も交わし合った。
「冷たい風に当たるといい」
「外は雨ですよ」
ウジンは外の気配を窺った。
「やんだみたいだよ」
「すぐにやみましたね」
「そうだね」
2人は外に出て雨上がりの夜空を眺めた。
ソリは訊ねた。
「どうして一階に?」
夜空を見つめてウジンは答えた。
「お礼を言いたくて」
「…」
「ヒスの言うとおりです。今日はありがとう」
「…」
「本心です」
ソリは下を向いた。
「大したことでもないのに」
「…手は大丈夫?」
「ええ。…私、嘘をつきました」
「…?」
「泣いたのは玉ねぎのせいじゃないんです。監督が演奏する姿を見て―羨ましかったんです。そして悔しかった」
「…」
「”私も素敵なドレスを着て舞台に立てたはずなのに”、”何事もなければ”、って、そう考えると涙が止まらなくて」
「いったい、君に何が…」
その時、風で木立がざわめいた。
ソリはウジンを見つめた。ウジンの顔を見つめたまま歩み寄る。ソリの顏は間近に迫ってくる。
顔が触れんばかりになった時、ウジンは思わず待ち人のような表情になった。思わず目をつぶった。
ソリの視線は時計の12時の方向に向いた。右手指がウジンの頭髪から何かをつかんだ。
それをウジンに見せた。
「髪に花びらが」
「…」
ソリが見せたのは百日紅の花びらだった。
勘違いしたウジンは照れくさそうに頷いた。空を見上げて言った。
「夜だから真っ暗だ」
ソリも空を見上げた。
「星も見えない」
「…」
「でも、空気は澄んでる」
横を見やるとソリは少し動いて背を向けている。百日紅の木を見上げている。
「大きくなったわ」
感無量の声で呟いた。
★★★
「何が?」
ウジンは訊ねる。
「あっ」
ソリは小さく声をもらした。木の根元に手を押し込んだ。文字を書き込んだ石を取り出した。
「百日紅?」
ソリ 138・7
サルスベリ 205
「その数字は何? 205?」
「サルスベリの木です」
ソリは答えた。
「私が7歳の時、父が植えました―数字は身長です」
ウジンは頭に手をやった。
「木の?」
ソリは頷く。
「私と同じ身長の木を植えて―毎年、誕生日に成長を記録したんです」
「そうなの…」
ソリは成長した百日紅を見上げた。
「10年前に植えたから…違った。23年前だったわね」
ウジンは黙って百日紅を見上げた。
「ずいぶん大きくなった…私は昔のままなのに」
ウジンはソリの横顔を見つめた。百日紅の小枝は風に揺れて紅い花びらを散らした。
朝になった。
ジェニファーはチャンの部屋に顔を出した。
「チャン君、朝食よ」
しかし、部屋にチャンの姿はない。
「oh my God! あの子が朝食抜きで学校へ? 信じがたい。ところであれは何?」
ジェニファーはマジックを探して手にした。キャップを取った。
チャンは雨の降りしきる中へボートを漕ぎだしていた。
― ピアカ。お前とおばさんは違う。
チャンはピアカの前に立った。
「ピアカ。俺は決めたぞ。お兄ちゃんは―、いや兄貴は…とにかく目標が出来た。全国大会で優勝しておばさんに告白するんだ」
ノートに書き付けた目標を大きな声で口にした。
「前進あるのみ。ドント・シンク・フィール」
ドクスとヘボムは傘をさしてボートを漕いでいくチャンを眺めた。
ドクスは言った。
「日が昇る前から出てきて―こんな大雨でも練習するなんてどういうことだ」
ヘボムは応じた。
「最近、別人みたいだな」
「俺たちが知ってるチャンはどこに行った? あれじゃ身体を壊しちゃうぞ」
「金魚のエサやり? 誰か探すよ」
チン・ヒョンは事務所に出勤してきた。
電話をすませる。
「エサやりか…」
携帯を切って雨空を眺めた。
「変な天気だな」
傘をたたんでリズムを取る。
― 雨が降っても景気をつけて♪
後ろに立ったウジンが調子を合わせる。
― ドンツクドン
剽軽なウジンを見かけてヒスはびっくりする。
「あらあら、どうしちゃったの?」
ヒョンはウジンを見て声を失った。
「違ってたら、ごめん」
そう答えてウジンは事務所に入って行った。
ヒョンはしばらく動けない。
「今のは何だ? 変なキノコでも食べてきた?」
ソリも朝から気分がよかった。朝早くから出勤して鼻歌を響かせ、植木の世話に精出していた。
そこにウジンが入ってきた。ウジンを見てソリは昨夜の出来事を思い起こした。
頬をあからめ、はにかみつつ挨拶をする。
「おはようございます」
それはウジンも同じだった。いや、今までとは違うウジンだった。
「おはよう」
屈託なく挨拶を返して給湯室へ入って行った。
給湯室で爽やかな心でドリップコーヒーを作る。今日のウジンの心は一点の曇りもなかった。
ヒスがドアを押して入ってきた。
「辞表? ロトでも当たった?」
ウジンは首をひねる。
「何のことか意味が分からない」
ヒスはウジンの肩を叩いた。
「ちゃんと答えなさい」
ウジンは左肩を押えた。
「バレーの選手にでもなったら」
「あんたが一緒に決めポーズを?」
「…」
「またクロアチアで放浪しようと浮かれてるの? まだ早いわよ」
「心配するな。行かない」
ウジンはショルダーを握って出て行こうとする。
「行かせない」
ヒスはウジンの前に立ちはだかる。
「あんたがご機嫌だなんてありえないわ」
「ご機嫌だった? なぜだ?」
「…?」
「そうか。雨がやんだからだ」
そう答えてウジンは給湯室を出ていった。
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