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韓国ドラマ「病院船」から(連載162)

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  韓国ドラマ「病院船」から(連載162)



「病院船」第15話➡脅威にさらされた手術⑦



★★★


 手術室を出たヒョンは拘束されているスタッフの場所へやってきた。
 弱々しい声で事務長が訊ねる。
「クァク先生、手術は?」
 ヒョンとサブリーダーを見て、
「何してる?」
 とジェゴル。
 ヒョンはみんなの前で血液採取のお手本を見せた。採取した自分の血液袋を一味の配下に渡し、手術室に届けるように伝える。配下は反発した。だが、事情を知るサブリーダーは同調した。
「行け」
「おい、何してるんだ」とジェゴル。
 ヒョンは説明する。
「O型とB型の血液が要る」
「私たちに血液を提供しろというのですか?」
 看護師が質問した。
「はい」
「この姿を見てください。…いやです。誰の血も渡しません」
「おい」
 一味の配下。
「何よ。殴りたければ、どうぞ」
「…」
「やりなさいよ」
「このアマ!」
「やめろ」とヒョン。
「俺はB型だ」とジェゴル。
「よして先生」
「俺はO型だ」
「よしなさい」と看護師。「輸血しても感謝してもらえないんだから。私たちを助ける気もない人たちよ。だから」
「だけど、やるんだ」
 看護師はジェゴルを見る。ジェゴルは答える。
「助ける理由は分かるだろ。患者は選んじゃいけないんだ。…たとえ、凶悪犯でも治療する」
 サブリーダーは苦笑しながらも黙って聞いていた。
「戦場では」
「ええ、私だってわかってます。戦場では敵兵でも救わねばならない…それが医療従事者に課せられた使命です」
「…」
「分かっていても…悔しい。悔しいんです」
 そう言って、看護師は口惜しさで泣き出す。
「そういわずに」と甲板長。「ここは病院船じゃないか」
 ヒョンはサブリーダーを見た。
「採決するから拘束を解いてくれ」
「…」
「早く」
 サブリーダーは頷く。
「まず女たちからだ」
 ヒョンは言った。
「ジヨンさん、採血を頼む」


★★★


 看護師のジヨンは応じた。
「はい、やらせてください」
 傍らのミヒャンが涙目で言った。
「私からやって。私はO型よ」




 ジヨンの段取りに従い採血が始まった。採血された血液はヒョンとジュニョンを通じて手術室に運ばれた。
 最後はジヨンからミヒャンが採血した。
 最後の血液分を手渡す時、ヒョンはジュニョンに訊ねた。
「これで足りそうか?」
「足りない」
 ジュニョンは答えた。
「分かった」
 手術室のドアを閉めて引き返して行く時、ヒョンは一味のサブリーダーの前で足を止めた。
「僕たちはこれ以上、採血できない」
「だから?」
「…」
「何だ?」
 
 結局、一味の男たちも採血に加わりながら困難な手術は続いた。臓物をひとつ取り出したところでウンジェは訊ねた。
「残り時間は?」
 ゴウンが答えた。
「40分です」 
「あとは血管の吻合ね」
「時間はあるから、落ち着いて」とヒョン。




 手術の制限時間は過ぎた。手術を行ったスタッフが事務長たちの前に現れる。ジュニョン、ゴウン、アリムの順で、両手を縛られている。
 ジェゴルはそばにきたジュニョンに訊ねる。
「手術はどうだった?」
「成功したよ。だけど」
「だけど?」
「見りゃ分かるだろ。患者を救っても解放するわけないさ」
「ソン先生とヒョンは?」
 3人は黙っている。
「2人はどうした?」
 ジュニョンは話すのをためらう。
 ジェゴルはアリムを見た。
「話して」
「私たちも知りません…」
 


 ウンジェたちはボスの命令に従い、手術を行ったボス(患者)を担架にのせて移送の準備を施した。
 終えると一味の配下たちが担架を運び出していく。
 ボスを乗せた担架が通路に出てウンジェはほっと息をついた。その瞬間、最後に残ったサブリーダーがウンジェの腕をつかむ。
 ウンジェは悲鳴を上げる。
「何をする!」

 ヒョンはサブににじり寄る。サブはウンジェに銃を向けた。
「黙って薬をカバンに詰めろ。―ソン先生はこのまま連れていく」
「話が違う」ヒョンは言った。「僕らは約束を果たした」
「だから、仲間は生かしてやったろ。こっちも保険が必要だ」
「…」
「もし警察の姿が少しでも見えたら ― 先生の頭に弾をぶち込んで
海に捨てるからな」
 ヒョンはウンジェを見た。
「通報しないと約束する」
「そうだ。そうでなくちゃ―な」
「だから」
「だが、先生は連れていく。親分を診る医者が必要だ」
「だったら、僕が行く。術後管理は内科医の方が適してる」
「クァク先生」
 ウンジェは首を横に振る。
 ヒョンはウンジェを見たまま言う。
「ソン先生を離せ」
 サブリーダーに目をやる。
「僕が行く」
 サブは詰め寄ったヒョンに銃を向けた。立ち止まったところを足蹴にした。ヒョンは後ろに吹っ飛んだ。
 サブは倒れこんだヒョンの前に立った。
「こいつ、生意気なヤツだ。調子に乗るなよ」


 銃を握ったまま足蹴を続けようとするサブにウンジェは悲鳴を上げた。サブは蹴るのをやめて振り向く。
「やめてください。薬は私が用意するから。彼に手を出さないで」
 ウンジェは自分のバッグのところに走り寄った。急いで薬や医療具を詰め込みだした。
「誰かいるか!」
 サブは叫ぶ。
「いたらこいつを縛れ」




 その時、無線が鳴った。
「どうした?」
「兄貴、大変です」
 配下のことばだけでなく、外の異変は無線機を通じても伝わってきた。
 
 外では海洋警察の巡視艇が煌々と明かりを照らして病院船に接近してくる。
 まばゆいサーチライトを浴び、配下たちは両手を上げて無抵抗の意を伝えるしかなかった。

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