<script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb2db9
韓国ドラマ「30だけど17です」(連載33)
「30だけど17です」第4話(壊れたバイオリン)③
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
★★★
仕事中、ウジンはふいに立ち上がった。
「ちょっと出かけて来る」
ヒスとヒョンにそう言い残して事務所を出ていく。
ヒョンは首を傾げた。
「今から?」
「心配するな。30分以内に戻る」
出て行くウジンに向けてヒスは叫ぶ。
「ちょっと、今から会議する、って言っても出て行くのよね…」
ヒスは手にしたファイルをうちわ替わりに扇いだ。
「ヒョン、焼酎はある?」
「ああ、飲むには早い時間ですよ」
「いっそ、クビにしたいけど、仕事はできる」
「確かに仕事はできますから、仕方ないでしょ」
★★★
一階のフローリングでウ・ソリはトック相手に遊んでいる。じつに楽しそうである。
「ペン、こっちにおいで」
後ろに立って見ていたウジンはわざと咳ばらいする。
ソリは驚く。慌てて立ち上がる。
「もうお帰りですか?」
「いや、用事で戻っただけだ」
「さっきは言えなかったけど、ここに居させてくださり感謝します」
ソリはペコンと頭を下げた。
ソリが顔を上げるとウジンはさっと引き出しを閉める。フロアに腰をおろす。出したのはトックのおやつだった。
お椀に入れてトックを呼ぶ。
「おいで」
トックを抱いて膝の上におく。
「食べないから免疫力が落ちたんだ。これは栄養剤だから食べようね」
しかし、トックは嬉しそうにしない。食べようとしない。
そのかわり、勢いよくゲップをした。
「あっ、やっと消化したみたい」
ソリが嬉しそうにする。
「消化?」
ウジンは訊き返す。
「さっきまでたっくさん食べてたんです」
ソリは両手を広げて答えた。
「たっくさん、って…どれだけ食べたの?」
ウジンは信じられない表情で訊く。
ソリは指を折り曲げて答える。
「鶏肉、ツナ、パプリカ、キュウリ、鶏の首…」
「鶏の首?」
「ええ」ソリは左手を加えて数える。「それに干し肉とそれから…」
「もう、いいです」
「まだあるのに?」
「いいんです」
ウジンは信じられない顔でトックの顔色をうかがった。
今までは食が細かった。そんなに食べるなんて、いったいどうしたのか…?
信じられない気持ちでトックを寝床に戻す。
立ち上がって二階に向かう。
いつも通り普通に歩いて、脚を思い切り何かにぶつける。
「イテッ!」
悲鳴が出た。見ると鉢植えに膝をぶつけたのだった。膝を押さえてウジンは言った。
「なぜ、ここにこれが?」
ソリが答えた。
「枯れてるのでここに動かしました」
「…」
「昔からここに置くと元気になるんです。日当たりがよく風も通る最高の場所なんです」
ソリは親指を突き出す。
「…ともかく邪魔だから元に戻して」
ソリは笑った。思い出して言った。
「私が住んでた時は、萎れた葉っぱも見違えるほどに…」
「そこまで!」
ウジンは叫んだ。
ソリは両手を広げたまま動きを止めた。
ウジンに睨まれ、広げた手も畳んだ。
そろそろと動き出し、鉢植えを廊下の横に引っ張っていく。
ウジンは顔を顰めて膝を押さえた。
「やめて、ダメよ」
しばらくするとソリはまたトックと遊びだした。トックは尻尾を振ってソリにまつわっている。
「やめて、ペン」
トックがソリになつくのはどうにも忌々しい。
その結果、トックと一緒にソリを気にする流れも生じた。
ウジンは水を飲み終えた後、トックとソリの間をわざと歩き通った。
ソリは気にせず立ち上がった。
「お出かけですか? いってらっしゃい…ませ」
ウジンは黙って行ってしまう。
顔を上げたソリは頭髪を分けてつぶやく。
「聞いてなかったわね…」
ドアが音を立ててしまると、ソリの脳内に明かりが戻った。
ソリは階段横から萎れかかっている鉢植えを階段前に引っ張り出した。
しかしその時、後ろで人の気配が…ソリは恐る恐る後ろを振り返る。
果たしてウジンが立っている。
「あの…こうすれば葉っぱが見違えるほどに…」
ウジンは黙ってソリを見つめる。
ソリも黙ったまま鉢植えを階段横に引っ張っていった。
ウジンは忘れた車のキーを握ると再びドアを鳴らして出ていった。
ウジンが出ていったのを確かめるとそりはまたまた階段前に鉢植えを引っ張り出した。
”萎れた葉っぱを元の姿に戻してあげなくちゃ…必ず元気は戻って来るんだもの”
鉢植えを窓から射しこむ日差しの下において、ソリは両手をパッと広げた。満足そうに微笑んだ。
外に出たウジンは立ち止まって家中の方を振り返った。
「トックがゲップだなんて…」
思わずため息が出た。
「ああ、しかし…、ともかくひと月の辛抱だ」
車に向かおうとしてまた立ち止まる。
「鉢植えも何であそこに…」
今度は目をつぶった。
「まあいい。ひと月の辛抱だ…」
車で事務所に向かうまでの間、ウジンは何度も”ひと月の辛抱”の呟きを繰り返した。