さて寝ようか、と思ったところでFOOD・SCIENCEで連載中の松下和紀さんの記事【松永和紀のアグリ話●納豆も週刊誌も、売るためには真実を書かないのか】には、月曜に書いた「週刊ポスト」の納豆に関する言及があって興味をそそられ一読。「ウソは書かないが、事実の一部を欠落させることで、本質とは異なる扇情的な内容にする週刊誌の熟練の手技」で<下品極まりないトンデモ記事>と一刀両断!欠落させた事実というのは「現在市場に流通している遺伝子組み換えダイズが、国による食品安全性評価が行われた上で認可されている」ということだ。オレが抱いた違和感は納豆のみを問題視する<バランス感覚のなさ、恣意性>だったけれども、松永さんは遺伝子組み換え食品の安全性評価について「疫学調査がされていないことを以って安全性に疑問」という消費者団体の主張に対して「疫学調査が行われていないからいけない、という論理がまかり通れば、食べられる食品はない。例えば、野菜の多くに発がん物質が含まれているが、疫学調査などだれも要求していない。ダイズのホルモン作用も、最近米国などで問題になっているが、日本人はだれも気にせず平気で何百年と食べてきたはずだ。納豆の遺伝子組み換え問題を取り上げるなら、実質的同等性という概念に賛否両論あるにせよ、国が組み換え大豆は非組み換え大豆と同等に安全と認めているという事実は、必ず書かなければならないだろう。それが記事にはない」 ←確かにその通りだと思う。行政の怠慢、危険の扇動は記事の見出しになりやすいし、インパクトもある。確かに100%の安全は担保されていないかもしれないが、それはどんな食品でも同じことだ、ということはなかなか正面切って言いにくい。そういう面倒な議論は嫌われるし、適切に安全性を論じる本より、危険本の方が売れやすい。最新号の「食品と暮らしの安全」によれば、同基金発行の新刊:『新・食べるな、危険』『使うな、危険』が各8万部で計16万部に達したという。Dr.M氏は【「新・食べるな、危険」の危険性】でキノコの農薬使用に関する記述で徹底反論。少なくとも氏はこの分野では専門家で、説得力はあるかにある。『買ってはいけない』から見れば、スタッフの地道な調査は伺えるものの、どうも“坊主憎けりゃ袈裟まで”の類に見える記事も散見する。ま、12月には『買っては・・・』の第3弾も出るから、熟読してやろうとは思ってる。消費者運動には大企業悪で告発、身内の論理に甘いダブルスタンダードがどうしても付きまとう。それを克服しない限り、幅広い層の支持を得るのは夢のまた夢だろう(1:28更新)。
ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!