昨日の夕方、飛行機に乗る前に羽田の本屋さんで買った。
それから、ずっと読み続けて、今日の夕方、読み終わった。
親子四代に渡る物語。
教育というテーマを、戦後、まだ学習塾などというものが珍しい頃に、塾を始めた夫婦の物語が主軸をなしている。
戦中の軍国主義、戦後の民主主義、ベビーブームの大人数のすし詰め教室と高校受験戦争、高度経済成長からバブルの塾産業の盛況、ゆとり教育と少子化、そして現代の大きな問題となっている子どもの学力格差と貧困。
これらの説明っぽくなるような問題を、親子四代にわたる人間の生き様で描くことによって、それが森絵都はさすが、467ページの大長編を、脇目もふらず読ませてしまうのだ。
人が、ちゃんと描かれている作品というものは、やはり読み手を惹きつけるものだと思った。
登場する人たちは、個性的だが、あまり濃くなく、ほぼ欠点もあり、あれれ?って思うほど、正義感にあふれているわけでもない。
そこはかと、人間の弱さと強さが相まって、不思議なことに、妙に淡泊な魅力が漂っているのだ。
描かれる時代には、私の記憶と重なることも多く、改めて自分が歩んだ時間を、アルバムをめくるような感じで読んでいた。
あの時代、ほんと、親たちは教育熱心だったのだ。
私も、塾、行っていたもんなぁ。
ところで、おしまいあたりに登場する直哉の「あたぼうよ」が、いい。
今日も春の嵐。ゲルトルート。
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