ロイターの原文を、よく読んでみると、全てが推測という立ち位置に立脚しているのにもかかわらず、密告者が特定できたとして個人名が挙げられている。
歴史的な事実として興味深い問題ではあるが、不快感がぐつぐつと湧き上がる。
実は厳密な証拠があるのかも知れない。
それをオープンにできない事情があるのかも知れない。
それなら、密告者特定と個人名を出すべきではないと思う。
戦時中のユダヤ人社会、ユダヤ人評議会について、ロイターはこのような調査内容を記している。(赤文字はロイター通信を自分で和訳したものを引用)
「調査チームのメンバーであるPieter van Twiskによれば、新しい証拠の決定的な部 分は、戦後の古い調査書類で見つかったアンネの父オットーについての無署名のメ モであり、そこでは具体的にはヴァンデンバーグの名前を挙げ、彼が情報を渡した と断言しているという。このメモによると、ヴァンデンバーグは、アムステルダムの戦時中のユダヤ人評議 会のメンバーとしてユダヤ人が隠れていた住所を把握することができ、そのような 住所のリストをナチスに渡して自分の家族を救ったとのことである。」
しかし、オットーが存命中、そのメモについて、なんらひと言も発していないという。それについては、ロイターによると、下記にあるように、ヴァン・トウィスクの推測にのっとているのである。
「ヴァン・トウィスクの推測によれば、フランクが沈黙している理由は、それが真実 であると確信できないこと、さらなる反ユダヤ主義を煽る可能性のある情報を公開 したくないこと、そしてヴァン・デン・バーグの3人の娘たちが 彼らの父がしたか もしれないことのために非難されることを望まなかったのであるという。」
更にロイターをこのように発信している。
オットーは「アウシュビッツにいた」とヴァン・トウィスクは言う。 「彼は、困難 な状況にある人々が道徳的に正当化できないことをすることがあることを知ってい た。」
なにをか況や、である。
人は、困難な状況にあるとき、道徳的であることが極めて困難であることは自明ではないか。
更にナチは、強制収容所に収容されているユダヤ人へ、その監視、作業管理のすべてに、ユダヤ人のヒエラルキーをつけていたのだから。
数日後には自分の姿かも知れぬと思いながらも、ナチに命じられガス室へ同胞を誘導せざる得なかったのだから。
そのような無念を抱きながらも一日でも生きのびることを選択せざる得ない状況があったのだ。
私が読んだアンネ関連の諸々の資料に於いては、ユダヤ人評議会が、アンネ・フランク一家の隠れ家についてサポートしたり関与した記載を見たことがない。
勿論、それは私の調べ方に限界があったり、不備があったりしているのかもしれないが、少なくともミープ・ヒースの記録には、一切記されていない。
こういう問題は、確固たる論拠なくして、いうべきではないと私は思う。
不快。
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