ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇『バブルと失われた20年』(坪井秀人)と『キッチン』(吉本ばなな)

今日は、一日、なんだかんだとバタバタしていた。

バタバタしているにもかかわらず、ちょっと調べたいことというか確認したいことがあって、以前に読んだ坪井秀人編の『戦後日本を読みかえる』の4巻目『バブルと失われた20年』を再読していた。

改めて、面白かった。 

確認したかった個所は、吉本ばななの『キッチン』、そのタイトルの海外翻訳について、作家の文意を反映しているか否かの比較論である。

『キッチン』は、私も大好きな作品。
坪井は、冒頭の1行「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。」について書いている。

<引用>
「私は『この世でいちばん好きな場所は台所だと思う。』と思う」という、自己の嗜好と欲望に関わるメッセージを自ら他者化して観察する、相対主義的な自己語りであるからだ。(下線は私が引きました。)

ここである。

この指摘は『キッチン』にとって、もっとも重要なポイントだと思う。

そして、この吉本ばななの"相対主義的な自己語り"を、イタリア語、英語、ドイツ語、フランス語、ヘブライ語、中国語、トルコ語、ヴェトナム語等々、世界の多数の言語に翻訳されているが、適確にタイトルに反映したいたのはフランス語訳だけだという。
フランス語以外の国の言語では、"I think……"が消されてしまっているというのだ。

これは、明らかに、作品に通底する、冒頭に1行の文意を理解しているか、どうかの差違だろうと思う。

以前は、何気に読んでいた個所だが、こちら側にちょっとした問題意識があると、「おや、おや、そうでしたか!」という感じなる。
それが、面白い。

"相対主義的な自己語り"とは、なんと適確な表現だろうか!!

と言って、読み耽っている場合じゃないのだけれど。


追記
<今日の晩ごはん>
今日は、あっという間に晩ごはんの支度の時刻になっていました。
それで、冷蔵庫を覗いて、あり合わせで作りました。

手抜きのオムライスです。😎  
見た目、かなり雑ですね😂 
ケチャップで味付けをしたチキンライスは、夫の大好物です。


札幌は、終日、雪。
















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