ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇『世界とキレル』 佐藤まどか著  あすなろ書房

 

世界と切れるとは、どういうことなのかなと興味津々に読み始めた。
そうだ!
そうなのだ!!
と、主人公森舞ちゃんに同感!!!

今の世の中、スマホやパソコンが使用不可になったら、本当に世界と切れる!のだ。

私は、去年の年末、1ヶ月間の長旅から帰国した翌日の12月27日、突然にスマホの画面が真っ暗になってしまった。
アリエナ〜イ!と大声で叫び、大慌てで、しかも吹雪の中、スマホを手にdocomoショップに走った。

とにかく、友人、知人、仕事関係の、名前、住所、メールアドレスが全部、消えてしまったら、大変なことになる。

画面だけじゃなく、目の前、真っ暗、頭の中、真っ白!! 

モリブーは雨降る森の中!!だったけれど、私は信号の色も黙視できないほどの猛吹雪の年の瀬!!
私の世界は、ブラックアウトにホワイトアウトのW攻勢ぜよ!!

で、どうにか、こうにか、登録者の名前とメールアドレスだけ、救出できましたが、それ以外、旅の写真なども、全て Oh my God!

パソコンだって、ある日、なんの予兆も無く、突然真っ暗になるのです。
ですから、私は、今は、必ずハードディスクにバックアップしています。

これらの機器類への依存度は、コロナ禍でますます増加の一方だが、佐藤まどかさんの作品のテーマは、ここではない!!

生身の人間との友人関係か、SNSで繋がる仮想の人間関係か、という問題。
実際、私はこのブログもそうだけど、ツィッターもしている。
ああ、この人の書いていること、共感できるなとか、趣味が同じだなぁとか、この人のブログは勉強になるなとか、実際の声も顔もしらなくても、何気になにか通じるものを感じる。

それはそれで、いいんだと思う。

しかし、世界は、それ以外にも面白いことがいっぱいあるし、興味を持つこともいっぱいあるし、腐れ縁のような友だちとワイワイ騒げる日もまた、きっとやってくるに違いない。

食材の味を感じる食事も、樹木の匂いを感じることも、森を甘く見ちゃいけないことも、すっごく意味があると思う。
北海道じゃ、ウチの近くの山にさえヒグマが出没するし、沢の水を飲んではキタキツネがまき散らすエヒノコックスに感染してしまう危険もある。沢の水だけじゃない。ここいらの公園の砂場で遊ぶのもキタキツネがおしっこをしている可能性があるので、ヤバイ。

そういうことって、やっぱり、頭で解っていても、経験値にはかなわない。
経験値で得ることって、いっぱいあるよっていう、そのことを感じる物語なのだと思うのです。

人は経験してナンボ、体感してナンボ。
読書も、SNSも、隣にいるクソガキも、金持ちのボンボンの苦悩も、自分よりはるかに美形で頭が良いヤツも、そんなこんな、生身だからこそ良いも悪いも識ることが沢山あるんだよってことを、伝えたい物語なのだと思うのです。


そして、もっとも重要と思われることは、人にはそれぞれの個別の日々があり、個別の悩みがあり、そこには個別の物語が、実は、あるのだ!ということを識る物語だということです。
画一的な見方や、ステレオタイプの分類なんぞ、クソッ!!です。


今の社会、画一であることが、大きな価値観となって、子どもから大人を支配しているように思えてならない。
そんな状況に、一石かな。この作品は。

佐藤まどかさんって、ほんと、画一とか統一行動とか、絶対に嫌いそう!!(^_^)v(^_^)v(^_^)v
なのに、情に厚いところがあって、佐藤まどかさんらしい、作品でした。

 

 

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