ビンボウゴヤ

子供の頃、私は、
小さい小さい田舎町に住んでいました。

ソコには、ビンボウゴヤと言う屋号の
商店がありました。
子供ながらに、ビンボウゴヤなんて云われる店じゃ、
きっとすごく貧乏なんだろうな。カワイソウニと、思っていました。

ところが、ふと、気が付いたんです。
なんだか、私んちの方が貧乏くさいぞ…？
私は、悲しくなってしまいました。

ある日、母に、その旨を話しました。
母は、暫し、絶句。
「ヒロちゃん、あんた、勘違いしてるよぅ。
　ビンボウゴヤじゃなくて、文房具屋だよ！」
ご親切に、文房具屋の何たるかも話してくれました。
（もっと早くに教えてくれよ～母さん！）
カルチャーショック！！

小さい私は、傷心し、
すごすごと、庭の隅の、お気に入りの
ポプラの木のマタに登り、遠くの景色を眺め、
その後これも、庭の隅に何故か無造作に置いてあった
大きい赤石の上でフテ寝したフリしてたら
ホンとに寝てしまい、気が付いたら、夕暮れ時でした。

他にも、かなり、変なフウに覚えてしまっていた事が
沢山有ったような気がします。大人が話しているのを
耳で聞いて色々な言い回しなんかを身につけていったので。
歯茎を「ハブキ」とか。　ああ、勘違い！