ペンギン通信

一橋大学体育会バスケットボール部 公式ブログです。
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自己紹介 小林泰久   親父、ミルクをくれ!

2022-05-25 02:52:16 | weblog2022

 

練習前の泰久が座ったまま微動だにしないことに違和感を感じていた全ての人々に、この物語を捧げる

 

 

Ep.1 小林泰久は動かない

 

私の名は小林泰久である。渾名はまだ無い。

私には悩みがある。凡人とは異なる思考回路を持つが故、私の行動を理解してもらえないということだ。つい先日もこんなことを言われた。

 

水上:「泰久さー、練習前ずっと座ってボーッとしてるけどシューティングしないん?」

 

此奴、何もわかっていないようだ。ボーッとしているのではない。体を休めながら練習で最大の成果を発揮できるように集中力を高めているのだ。

 

 

今回は特別に普段の私の集中力を最大にするためのルーティーンワークを教えよう。

 

練習開始20分前に私は体育館の奥側の壁に背を向け胡坐を組み、動きを止める。ボーッとしているかというと勿論否だ。脳内ではショパンの練習曲 エチュード10-3「Tristesse」が流れ出す。美しい旋律に溜息がこぼれる。徐々に眠っていたからだが覚醒していくのを感じる。

 

 

それと同時に脳内で島崎藤村の初恋を諳んじる。情緒豊かな喩えようのない素晴らしい詩である。美しい日本語で脳内が刺激され力が沸々とみなぎってくるのを感じる。

 

 

ちなみに私が部の中で一番好きなのは藤村だ。理由は島崎藤村と名前が同じだからである。

 

 

まだあげ初めし前髪の

林檎のもとに見えしとき

前にさしたる花櫛の

花ある君と思ひけり

 

 

やさしく白き手をのべて

林檎をわれにあたへしは

薄紅の秋の実に

人こひ初めしはじめなり

 

 

わがこゝろなきためいきの

その髪の毛にかゝるとき

たのしき恋の盃を

君が情に酌みしかな

 

 

林檎畑の樹の下に

おのづからなる細道は

誰が踏みそめしかたみぞと

問ひたまふこそこひしけれ

 

 

 

嗚呼、やはり素晴らしい。軽くイってしまいそうだ。

暗唱を終えた私の思考はこれ以上ないほど深く研ぎ澄まされている。

 

ふと目を開けると集合時間に間に合わなかった西村隆佑が大冨先輩に怒られているのが目に入った。

最近、小川、西村、加藤の遅刻が非常に多い。同学年の部員として非常に憂うべき事態である。まあ私には関係のないことだが、と思考を巡らせていると、私は一つ不自然な点に気が付いた。

怒られている西村が反省している振りをしながら、どこか満足げな笑みを浮かべていることを。そういえば以前に小川が遅れてきたときも、その前に加藤が二日連続で遅れてきたときも、奴らは何かをやり切ったような充実したような表情を浮かべていた。

どういうことだ?何か裏に深い事情があるように感じられた。

ここでいったん状況を整理しよう。

 

 

4/30  加藤遅刻

5/1   下等遅刻

5/4  西村遅刻

5/6  小川遅刻

5/8  西村遅刻

5/10 西村遅刻

 

 

ほぼ一日おきに三人のうちの誰かが遅刻しているという規則性が存在している点が非常に気になる。そして、彼らが遅刻するのは決まって18:00練習スタートの日。18:00に何かあるのか。この近くで18:00が関係する場所は・・・私立お日さま園。お日さま園は身寄りのない子供や、戸籍のない子供を日中預かってくれるNPO法人である。18:00に子供を引き取りに行く必要がある。まさかな・・・。

 

 

バシィッ。記憶がフラッシュバックする

そういえば西村と加藤がこんな話をしていた気がする

加藤「お前、おひさまだろ?誰推し?」

西村「もちろん箱推しだぜ」

 

 

おひさま? やはり私立お日さま園に関わっているのか。それに箱推しとは・・・。確かにお日さま園には身長の低い幼女がたくさんいるが、西村よ、お前は身長の低さのコンプレックスから自分より小さい幼女しか愛せなくなってしまったのか・・・。

 

バシィッ。さらに記憶がフラッシュバックする

 

加藤「お前、金色の長い毛がズボンについてるぞ、女か?」

西村「いや、女と言えば女だが、おまえが思っているようなもんじゃない。もっと大切な何かさ」

加藤「ぐへへっ、金髪。」ゴクリ。(生唾を飲み込む音)

 

西村の髪の毛は黒なので彼のものではない。当時は気にも留めていなかったがあの西村の意味深な発言が今になって俄然重要な意味を帯びている。お日さま園には外国籍のビザのない不法滞在の子供がたくさんいるのだ。もしや・・・

 

私の思考はいよいよ深みを増し、もとの世界に戻ってくることが難しいくらいだ。

 

 

バシィッ。再度記憶がフラッシュバックする。

 

小川「俺とマシュー時間勘違いしてて遅れちゃったよ」

西村「それは草www」

小川「おまっ、それ特大ブーメランだぞ」

 

 

小川とマシューという人物が同時に遅れた?それ即ち行動を共にしていたということではないか。マシュー(Matthew)は中南米、特にメキシコのヒスパニックに多い名前。洋書に精通している私でなければこれは分からない。小川がマシュー(Matthew)をどこかに送り届けていたのだろうか?

 

 

バシィィィ!灰色の脳細胞に閃光が走った。様々な状況証拠が一つにつながった。恐らく奴らは不法滞在をしている女の子を匿っているのだろう。髪色は金髪名前はMatthew。森鴎外の舞姫(注1)を愛読しているからこそ浮かぶインスピレーションだ。フフッ。わずかな手がかりから真実を見抜く自分のあまりの洞察力に自然と笑みがこぼれ落ちる。

 

 

 

彼らはおそらく善意でやっているのだろう。しかし、不法滞在は犯罪である。そして部活にも迷惑が掛かっている。見過すわけにはいくまい。だが、問い詰めても彼らはしらばっくれるだけであろう。仕方がない、ここは現場を直接抑えるしかあるまい。そう結論を出した私は目を開くと静かに立ち上がった。

「おい、泰久が動き出したぞ・・・」

 

周りがざわつき始めた。

 

 

 

 

※注1 明治時代でドイツに留学した日本の優秀な青年が現地の金髪の貧しい少女を養って一緒に暮らす話(多分教科書に載ってる)

 

 

 

Ep.2 小林、動きます

 

バアァーーン!!

西村家の扉を蹴破り、

 

「そこに不法滞在の女の子をかくまっているのは知っている!しらばっくれても無駄だ!一緒に警察に行こう!」泰久が力強く呼びかけると・・・

 

 

そこには西村が一人、椅子に座って陰毛をヘアアイロンでまっすぐに伸ばしながら、ブリーチ剤を塗っていた。

 

「あ、あのズボンについていた長い金髪は…」

 

 

 

もうお分かりだろう、普段銀髪の西村は就活で髪を染められない鬱憤を晴らすため、陰毛を金に染めていたのである。ブリーチに思ったよりも時間がかかってしまい、遅刻してしまっていたのだ。

 

 

Matthewではなく真周である。泰久はマネージャーを髪の長さだけで識別していたため、名前を憶えていなかったのだ。

 

「おひさま」というのは日向坂46のファンの愛称である。正確に言うと西村は箱推しではないらしい。西村の推しが誰なのかは彼のペン通を読んで確認しよう

 

Eprogue

あれから、さらに特に理由のない遅刻を重ねた西村、加藤、小川は大冨先輩の逆鱗に触れ、毎回練習20分前に来て、座禅を組まされるという罰を受けた。今、部活に行くと、練習前に泰久含めた四人が仲良く並んで胡坐をかいてぼーっとしているのを見ることができる。

 

 

そしてもう一人、新人川島も練習前、虚ろな目でひたすらぼーっとしている。

 

 

 

 

れおくん「シンプルに時間を間違えていたんだね。前日に教えてあげればよかったのに・・・・」

 

 

バリバリバリッ・・・教えねぇよ! 

 

 

泰久じゃなくて水上でした。早速自己紹介します。

 

 

 

自己紹介

 

水上皓介

学年 4

学部 商

出身 大阪府立北野高校

最近の悩み  同期三人以上でジャン負けおごりのゲームをするときに自分以外が負けた瞬間に自然となかったことにされること

やってみたいこと 夜の大学で逃走中

最近のマイブーム 溜息をつくときに、ふぅではなく、明るい気持ちでWho~⤴って言ってみること

気になる一年生 れおくん。最近一人でいるところをよく見かけるけど、いつもどことなく悲しげな顔をしているよね。

 

今年は副将を務めさせていただくこととなり、改めてその責任の重さをひしひしと痛感しております。副将としてチームの上位進出に向け、力の及ぶ限り精進してまいります。どうぞ応援のほどよろしくお願い致します。

最後になりますが、チーム一丸となり遅刻をなくしていきましょう

 

文責 水上

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