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皆さんは川北くんを覚えているだろうか。
彼はバスケ部の記憶から少しずつ消えさられようとしている。
僕は悲しい。
彼は忘れてはならない人物なのだ。
私には、彼の親友として、このバスケ部に刻む使命がある。
このペンギンズ通信連載企画を通じて二三、エピソードを記したい。
そして今は亡き川北氏に捧げたい。
1 川北食堂事件
ラーメン屋店主川北氏はバスケ部に在籍している頃からそのビジネスの才を遺憾無く発揮していた。
それは1年の夏の頃。
「おら、あのデブに騙されたんごねえ」
日本語覚えたてのうさぎは拙い日本語でこう語る。
彼は西村の許可なく、勝手にご飯を提供し、料理代を請求したのだ。
しかもその料理は残り物で構成されたもの。
なんという新規ビジネス。流石としか言い様がない。
さらに驚くことなかれ。彼は近所に住んでいた加藤開も自宅に招き、追加で500円の集金に成功した。
このビジネス力はバスケ部の雰囲気には馴染まなかった。
『ただのデブ』から『ケチなデブ』へと変わっていった。
2 川北ヒステリック事件
川北を語る上で欠かせないのがその器の小ささであろう。
1年時のリーグ戦の時期だったであろうか。
彼は元より恐ろしいひちやに怯え、自発的に職務に全うする小心者であった。
一方で全く仕事を行わないものもいた。広島が産んだ怪物「じゃけえ」(名誉のため仮名でお送りする)である。
彼は空気が読めないことで度々同期をイラつかせていた。そんな彼の能天気さが小心者の心を刺激した。
雑巾を持って帰って洗濯する作業を決めるジャンケンの時間。
日頃仕事をしないじゃけえに仕事をするよう促す川北氏だが、じゃけえは耳は難聴である。仕方ないのでジャンケンで決めることにした。
そして、川北氏は敗北した。
するとその時、川北氏はその巨体を震わせこう叫んだ。
「なんでだよおおおおお」
リーグ戦会場に響き渡る声はカイジ藤原竜也を彷彿させるものであった。
彼のギャンブラーの才はここで開花したのだ。
3 ギャンブラー川北最後の大勝負事件
一橋バスケ部には桂さん・れいさんを初めとする屈強なセンター陣を擁しており、川北は控えに甘んじていた。
そんな彼は気がついた。
自分にもなにか武器が必要であると。
彼は模索した。
そして辿り着いたのがスリーポイントであった。
川北氏の昼練はスリーポイントの練習に費やした。
周りの皆はこういった。
「試合で打たないシュートは打つな」
「そんな変なシュートフォームじゃ無理だ」
「川北は同期で1番ランクが低い」(ひちや談)
そんな悪評をものともせず練習に励んだ。
なぜこんなことをするのか、私は堪らず彼にきいたのだ。
彼はいった。
『邪魔するな、これはおれの最初で最後の大勝負なんだ』
彼の横顔は成功者の顔つきをしていた。
僕は確信した。こいつは成功者になる。
その数ヶ月後彼は部活を辞めた。
もちろん大勝負は大敗だった。
いかがだっただろうか。
ちなみに彼は今、大学を辞め、ラーメン屋を開業しているようだ。
やはり成功者は違った。
もし彼を見かけた折には、暖かい目で彼を見守って欲しい。
文責 福井
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