タイトルにもあります
「日本の森をなんとかしたいなら、CLTや木造ビルディングなどに力を入れたら??」
以前、上場企業の社長さんに直接言われた言葉です。
この言葉の背景をお伝えします。
日本の国土は約3,730万ha、内、森林面積は約2,505ha(林野庁平成29年3月31日現在)となり、日本の国土の実に67%は森林面積となります。
この森林面積の内、41%(1,020万ha)が人工林と言われています。
つまり日本の国土の約3割(27%)が人工林ということが言えます。
そしてこの人工林のほとんどが高齢化や国産木材価格の下落により適切な管理が行き届かない状況と言われています。
私は、以前の設計事務所時代や大地を守る会在籍中に、日本の森林を適切に管理できる仕組みづくりについてとても関心があり、当時から私が設計する建物に使われる木材は森に直接おカネが落ちる仕組みで森が適切に伐採や間伐、植林ができる仕組みづくりに力を注いできました。
なぜ適切な管理が必要か、と申しますと、杉や桧は成長期ほど二酸化炭素の吸収量は高く(杉の場合、0~40年生程度までは4t/ha・年程度と言われています)、50年以上の樹木の二酸化炭素の吸収量は減少(杉の場合、50~80年生で1~2t弱/ha・年)すると言われています。
加えて、適切に管理されていない森林は災害に非常に弱くなるとも言われています。昨今の大雨の後に山崩れなどの土砂災害の一因とも言われています。
また、間伐材と言われる直径30㎝未満程度の木材の利用促進という視点からも木材を有効利用する目的で、CLTや集成材などの利用促進は有効ではないか?と言われています。
これらの内容が背景にあり、その社長さんは「新井さん、日本の森林をなんとかしたいならば、木材を大量に消費できるCLTや集成材、木造ビルディングなどへ力を注いだらどう?」と仰ったことと思います。
私はCLT技術や集成材、木造ビルディングに対して、とても興味がありますし魅力的に感じております。
しかし一方で、私はいまのところその技術は使わないだろうな、という結論に至っております。
その理由は2つあります。
ひとつめは、化学物質やその納まりです。
CLTに使われている接着剤は「水性高分子イソシアネート系接着剤」もしくは「レゾルシノール樹脂接着剤」となっております。
それらのカラダや環境に対する安全性や火災時などの安全性について、もちろんその資料(安全データシート)や実験データは目を通しております。
すごい技術だなと思いながら私はお客様に対しておススメする気持ちはいまのところ持っておりません。
その理由はふたつめの理由と重複します。
ふたつめの理由は、その技術や安全性は本当に数年後、数十年後も担保されるでしょうか?という視点です。
みなさんは
「アスベスト」
という建材はご存じでしょう。
実はこのアスベスト、開発された当初は夢の建材と言われていました。
耐火性があり、断熱・保温・吸音に適しており、丈夫なため摩擦のある場所にも使え、軽くて、安価。
これだけ聞けば「夢の建材」と言われたということも想像に難くありませんね。
しかし今では健康被害のある建材として使用を禁止しています(実際には重量の0.1%未満のものは現在も使用されています)。
またシロアリ防蟻剤として使用されてきました有機塩素系、有機リン系などの薬剤。
当時は安全と言われてきた薬剤がその毒性があきらかになり、禁止されてきた歴史があります。
現在、白アリ防除として主に使われているネオニコチノイド系や合成ピレストロイド系薬剤を私が使用しない理由もここにあります。
大手建築業者が利用してきた輸入木材の変遷も頭にあります。
建築業界の話からはそれますが、マーガリンの話なども当時は健康によいと言われたおりましたが現在は反対にカラダによくないと言われています。
このように当時は安全、健康によいと言われていた素材や技術が時代を経ることにより、全く正反対の結果になっている事柄があります。
それにCLTや大規模木造建築で使われる木材はきちんと森に還元される仕組みとなっているのでしょうか?その点も不明です。
そこで私個人が出した結論は『いまある技術で安心・安全な家がつくれるのならばそれが一番ベストなのではないかま?』
ということです。
・通常の国産無垢の木材を利用して、
・人工的な化学物質や電磁波の影響がなく、
・地震の揺れを半減させ、
・ヒートショックなどの心配もなく、
・かつ最近の研究であきらかになりつつある杉のもつ新たなリラックス効果や睡眠の質の向上などを兼ね備えた
家をつくることができるのであれば、私はそのようなお家をお客さまには提供したい。
またそれらを適正価格で提供できる工務店さんと一緒に仕事をしたい、というのが私の結論です。そのようなお家に興味がありましたらお気軽にご連絡ください。
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