電磁波は目に見えません。そのためSNSでは様々な情報があふれています。
私は一級建築士で、化学物質過敏症の方や電磁波過敏の方のお家づくりのお手伝いをさせていただいておりますが、多くの過敏症の方とお会いし、相談にのらせていただきましたので、知識としては理解しているつもりでおります。
今回、高磁場(磁場が高い)の場所に長時間滞在する機会をいただき、電磁波過敏の身体的な症状、精神的な症状を体験することができたことは、私にとりましてはとてもよい経験となりました。
詳細は以下のblogに書かせていただきましたのでこちらも読んでいただけましたら幸いです。
そのような中で追加情報としまして、頭では知識としては理解していたことを実体験で体験したことをお伝えしたいと思います。
■離れて身体が楽になれば、電磁波や化学物質の可能性を考えてみましょう。
年末に「不定愁訴」というタイトルでblogを書かせていただきましたが、なんとなく身体が重い、頭がぼやっとするという症状がある方がいらっしゃいましたら、場所を変えることでその症状が緩和するなどはございませんか?
例えば、家から離れるとその症状がなくなる、または楽になる、反対にこの場所に行くと症状が出る、または重くなるなどですね。そのような場合は、その場所に原因がある可能性があります。
あくまで可能性ですが、電磁波や化学物質の可能性を考えてみるというのも一案です。
要はみなさんの症状が楽になればそれでよいのです。楽になる方法を考えましょう。
今回の私の個人的な体験では、床暖房が温度上昇をしているときに頭に圧迫感を覚えた際に、床暖房が施工されていないであろう、部屋の隅、壁際に場所を移したところ、頭の圧迫感がなくなり楽になりました。
電磁波にしましても化学物質にしましても、その原因がなくなれば、その症状は緩和する、しばらくすると緩和するという視点を大切にご自身の症状を観察してみてください。
■もうひとつお伝えしたい点としましては精神的な点です。
他のひとに理解してほしいと思うと思いますが、それはなかなか難しいという点です。
電磁波は目に見えません。においがあるものでもございません。
そして大切な点は「ほとんどの方は理解してくれない」という視点です。
これは前提としてお考えになられた方がよろしいかと思います。
理由ですが、
私が健康住宅のお手伝いをするようになりました2006年当時。北里大学の宮田先生から「過敏症は1%程度。あなたたちがやろうとしていることは1%産業」というお言葉をいただいておりましたので、当時のあくまで先生の感触ベースのお話と思いますが、1%、つまり100名いましたらひとりだけが過敏症、ひとりだけは同じ感覚を共有できる、ということです。残り99%の方は過敏症ではなく、過敏症の方の症状や精神的な状況を理解できない、わからない、ということです。
9年後の2015年『平成27 年度環境中の微量な化学物質による健康影響に関する調査研究業務報告書 平成28 年3 月学校法人 東海大学(総括研究者:坂部 貢)』という論文があります。
この論文によりますと
「本邦では、人口の約7.5%がいわゆる化学物質過敏症対象者であるとする大規模な疫学調査が近年報告されている」
という文言があります。元になる疫学調査が閲覧できませんでしたので坂部先生の論文の文言(二次資料)で恐縮ですが、9年で過敏症の方が7.5倍になった計算です。
とは申せ100名中、7名から8名に増えたな過ぎません。つまり93名は過敏症ではありませんので理解していただくことは難しい状況ということです。
もちろん過敏症とまではいわなくてもある程度感じる方、苦手な方もおられますので一概には言えませんが、他のひとに「わかってほしい」、「理解してほしい」という思いはなかなか難しいということです。
私も体験して思いましたが、確かにこの症状、この精神的な状況は「わかってほしい!」と心から思うほどつらい症状でした。頭に圧迫感を覚え、思考も低下し正常な判断ができないような状態でした。
加えて、「わかってもらいたいひと」がご自身の近くの方の場合、その精神的な苦痛はより大きなものになることは想像に難くありません。
例えば奥様がその症状を発症された場合、ご主人やご両親の理解が得られない、わかってくれない、という状況はとても精神的には追いつめられる状況と思います。私もつらかったですし、いまも理解していただけないことをとても残念に思います。
近しい人にこそ「わかってほしい」と思うのは当たり前の話ですが、それがなかなか難しいということは頭の片隅に置いておかれることをお勧めします。
今回の私も体験も親身になってお話は聞いてくれましたが、そもそも電磁波についての知識がなく、その症状などをご存じない方がほとんどでした。そのような方に私の話をしても理解することは難しいだろうなぁ、とつくづく思いました。
ですので、繰り返しとなりますが、
まずはあれ?おかしいぞ、と思われましたら場所を変えてみるなどご自身のお身体で体験していただき凡その方向性を検証してみるという点をおススメします。
そして多くの方は理解できない課題という点も意識する必要があると思います。
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今日は長くなってしまいましたが、あとふたつお伝えしたいと思います。
私は技術者ですので、自身で自信をもってお話しできることのみをお伝えするようにしています。
つまり測定器できちんと測定できたり改善できたりする課題をきちんとお伝えするというスタンスです。
そのような私が「着地点を見いだせないな」と感じる方がおられます(少々毒舌になりますことお許しください)。
それは自称過敏な方とお話をする際に感じることです。
そのような方の多くは電磁波の知識はあまり持ち合わせておりませんが、体験・体感として感じることを真実のようにお話ししてしまう傾向があります。
例えば
「私自身、電磁波に過敏ですがコンセントは強い電磁波を感じ不快に思うけれど(電気式の)床暖房は不快に感じたことはない」
など電磁波の特徴からはなかなか理解が難しいお話をご自身の「体験(体感)」としてお話しされる場合です。
例えば、電気式の床暖房は磁場が強い傾向があります。コンセントからは電場の影響が大きいです(磁場と電場は特徴、特性が異なります。それらは別々に対応策を考える必要があります)。
きちんと測定した上で数値で話をしたり、磁場の症状の可能性や電場の症状の傾向などをきちんと整理した上で、お話しいただきますとありがたいのですが、そのような話にはあまり関心がなく、あくまでご自身の体感・体験だけがよりどころでお話をされているように思います。
「電磁波対策グッズ」につきましては、私は否定も肯定もしません。
測定器で測定できないグッズが多いですので否定も肯定もできません。
技術者としてはそのようなスタンスとなります。
しかし一方、いまの技術では測定できない、または理解できない(証明できない)効果がある可能性もあります。
ですので、私はグッズの効果につきましてはもちろん測定をした上で、数値に変化がみられない場合は「わかりません」と回答することとしております。
加えましてそれらの「グッズ」で楽になるのでしたらそれはそれで「よかったですね」とおこたえするようにしております。
プラシーボ効果という視点もとても重要です。心がそれで安心できるのであれば、それは否定する必要はないでしょう。ただ効果はわかりません、とお伝えします。
なかには効果はわからないのだけど使っている、という方もおられます。そのような方の場合は、あくまで私の測定器で測定したところ、〇〇ですね、と結果をお伝えするようにしております。
加えて、いまの技術でいう上記のお話もお伝えするようにしております。
ただし、それらは技術的な話ではありません。技術的な話は聞く耳を持たず、ご自身の感覚だけでお話をされる方は電磁波の性質の話をしましてもご理解頂けることは少なく、ご自身の感覚を信じておられるためになかなか着地点を見出すことは難しい場合があります。
現代の生活では、お家の中の化学物質、食べ物の農薬や添加物の影響、暮らしの中の柔軟剤や洗剤、殺虫剤や防虫剤などに使われている化学物質、お家の中の電磁波、日々のストレスなどなど様々な影響が考えられます。福島第一原発の事故以降は放射線の課題も増えてしまいましたね。
そのような課題を全部もしくはひとつひとつ少なくしていくことが大切と思うのですが、その中でも電磁波環境の改善は比較的容易にそして費用もそれほど必要とせずに対応することが可能です。
その特徴を知っていれば、ということです。
不定愁訴を感じておられる方はまずは電磁波環境を改善してみて様子をみてみる、そして状況を確認してみることは有効ではないかなと思います。
ひと・すまい・くらし 一級建築設計事務所 新井 伸宏
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