かーらーす、何故鳴くの、からすの勝手でしょー、…
みな、起きて：何でからすなんや、これからアダムとイブの話やろ、
わし：あんたらがほんとに寝てるか、たぬき寝入りしてるか、見分けたった
みな、ふとんかぶり：けっ！しょうもなイ！ なんでこんなやつに関わったんや、
て言うか、なんでこいつの家に泊まらンならン、あしたの朝食、どうするんや、
わたい：寝てる間に帰したるがな、今あンたらは、幽体離脱して、幽体でここにいるんや、
特別配慮やな、
みな、驚いて起き、：な、なにーー！ わ、わたいの、違った、俺の、あたしの身体はどこに？！
わし：ちゃんとおのおのの家にある
さっき、あんたがたを呼び帰した時、「ようこそここへ、クッククックー」て、わしが言うたろ、あれがまじないの文句やッた、
あの瞬間、あんた方は特別に幽体離脱して、ここに居るわけや
みな、絶句：そ、そんな……、
わし：得がたい経験や、楽しみなされ、身、軽いやろ、
みな：頼りないわあー、この薄い透き通ったのが、自分の幽体かよ、何もないに等しいやんか、
わし：そりゃ、気は微細なもんじゃきに
そうでなかッたら、天へも上がれんがな、
サタン達なんかは、ひねくれて幽体の中身が偏っておるから重くて、中は真っ暗で、光も通さんのじゃ、かわいそうやろ、
みな (ぼうぜんとして)：はあ…… (どうしたラ、このお爺から逃げられるか、考えている、)
わし：さっきの言葉、桜田淳子さんの歌やったな、「わたしの青い鳥」
もう、しばらくかごの鳥やで、あンたら、ニッヒッヒ、(気持ち悪いな、)
みな：おい、やっぱりこいつ、ヘンゼルとグレーテルのばばあみたいに悪党なんちゃうか？！
あの、しおたれたような顔の、男が？ 弱そうやで、
わい：ちょっと！ わいの顔も見ずに、勝手に描写せんといて、ほんとは、常若の美形なんやから、 女性にも、間違われる位やから、
みんな：ほんとかよ、信じられンなあ~
わい：これから、葛の葉寿三郎のよもやま話を語るのやから、イメージ壊さんといてほしいワ、
みな：くず？それ誰？
わし：人形師の辻村寿三郎ちゃうで、
みんな：ここでのペンネームかいな…
もうちょっとええ名前にしいな、美形や言うのやったラ、
加茂のなす兵衛とかな、ははっ
わし：むかしむかし……、おじいさんとおばあさんがいました
みな：日本昔話かよ！ どっち向いて、しゃべってんのや！西か！
わし：「エデンの東」て、言うやろう
つまり、エデンは西にあったということや
みな：そんなもん、空想やろ、あるわけないやろ、ほんとうに
わし、仰向いて：パーパー、パーパーパーパー………
みんな：何の歌や
わし：「エデンの東」の主題歌や ドレミで歌うわ、
ソードードーミードーラー ラシドシドレソー 3拍子やな
みな：音楽聞きに来たんやないわ！ なんでそないに音はずれみたいに、話はずすんや！
わし：これは、わたしの趣味
これから、みなさんを常識から揺すり落とすのやから、先に準備体操してもうてるのや
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