説教でたどるパウロの生涯

 「使徒行伝」などの説教を通して、パウロの生涯を学び、信仰生活の道しるべとします。

初陣での勝利

2025-01-26 09:15:00 | パウロの生涯に学ぶ
パウロの生涯(07)

初陣での勝利(キプロス宣教)


※聖書は特記しない限り、新改訳2017(新日本聖書刊行会)を用いています。

※聖書内でサウロと表記されている場合でも、説教内では便宜上パウロと表記しています。


(新改訳2017の地図より)


「二人は聖霊によって送り出され、セレウキアに下り、そこからキプロスに向けて船出し」(使徒 13章4節)

セレウキア港からキプロスまでは100キロ弱の距離です。
海外宣教の初陣の地にキプロスを選んだのは、キプロスがバルナバの出身地であったからでしょう。

地理的な知識(土地勘)もあり、人脈などもあったと思いますので、バルナバはそれを宣教に利用しようとしたのかもしれません。

しかし、この伝道旅行が人間的な計画やプロジェクトではなく、聖霊なる神様の一方的なプロジェクトであったということは、まもなく分かります



ユダヤ人伝道

「サラミスに着くとユダヤ人の諸会堂で神のことばを宣べ伝えた。彼らはヨハネも助手として連れていた。」(使徒の働き 13章5節)

キプロスは大部分がギリシア人なのですが、パウロたち一行は、ユダヤ人の会堂で伝道をしました。

パウロたちは、旧約聖書(当時は聖書と言えば今の旧約だけしか無かった)の知識がある人たち――全知全能の唯一まことの神様を知り、メシアを待ち望んでいる人たち――を伝道の対象として、
彼らに「ナザレのイエスこそが待ち望んでいたメシアである」と宣べ伝えていたようです。



聖霊主導の宣教

「島全体を巡回してパポスまで行ったところ、ある魔術師に出会った。バルイエスという名のユダヤ人で、偽預言者であった。
この男は、地方総督セルギウス・パウルスのもとにいた。この総督は賢明な人で、バルナバとサウロを招いて神のことばを聞きたいと願った。
ところが、その魔術師エリマ(その名を訳すと魔術師)は、二人に反対して総督を信仰から遠ざけようとした。」(使徒の働き 13章 6〜8節)

パウロたちはユダヤ教の会堂で、ユダヤ教の知識がある人たちを対象にして伝道していましたが、
聖霊は彼らの思いをはるかに越えて働かれました

まさに「天が地よりも高いように、わたしの道は、あなたがたの道よりも高く、わたしの思いは、あなたがたの思いよりも高い。」(イザヤ 55:9)のです。


ローマ帝国からキプロス総督として派遣されていたローマ人のセルギウス・パウルスという人(以下、総督と言います)が、バルナバとサウロを招いて神のことばを聞きたいと願ったというのです。(7節)

これは、まさに聖霊がパウロたちより先回りをして働かれたと言ってよいでしょう。


しかし、宣教の業が祝福されようとすると、悪魔(サタン)も、それを妨害しようと仕掛けてきます。

実は総督には、バルイエス、またの名をエリマという、お抱えの魔術師がいたのです。昔の日本でも政治家が陰陽師を抱えていたのと似ているかもしれません。

魔術師エリマは、もしご主人のセルギウス・パウルスが正しいまっすぐな道に行ってしまったら、自分はクビになってしまうと思いました。

そこで、エリマは、総督を正しい信仰から遠ざけて、総督の心が再び自分に向くようにしました。

「ところが、その魔術師エリマ(その名を訳すと、魔術師)は、二人に反対して総督を信仰から遠ざけようとした。」(使徒の働き 13章 8節)

しかし、ここで神様が介入され、神様が総督の入信を妨げようとするサタンの働きをやっつけてくださいます。

本当に映画でも観ているような、手に汗握るハラハラする展開です。
9節から11節に、パウロと魔術師の対決が記されています。
(ここから唐突にサウロの名前はパウロに変わります。)


「すると、サウロ、別名パウロは、聖霊に満たされ、彼をにらみつけて、
こう言った。「ああ、あらゆる偽りとあらゆる悪事に満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵、おまえは、主のまっすぐな道を曲げることをやめないのか。
見よ、主の御手が今、おまえの上にある。おまえは盲目になって、しばらくの間、日の光を見ることができなくなる。」するとたちまち、かすみと闇が彼をおおったため、彼は手を引いてくれる人を探し回った。」

総督の入信を妨げようとするサタンの働きを、神様が打ち破ってくださいました。
サタンがいかに妨害を仕掛けて来ようとも、聖霊なる神様は、パウロたちの働きを助けられたのです



現代への適用

私たちが聖霊なる神様主導で伝道や奉仕の業を始めていくなら、
聖霊なる神様が先頭に立って働かれ、聖霊が私たちを助けてくださいます。
 
旧約聖書のサムエル記第一の17章には有名な少年ダビデと巨人ゴリアテとの対決がありました。
そこでは、ダビデは「この戦いは主の戦いだ(Ⅰサムエル17:47)」と言って、いつも使い慣れている石投げ一つで、ゴリアテをやっつけました。
神様が働かれたのです。


私たちも福音宣教の働きの中で、あるいは教会の奉仕などで、サタンの妨害に遭うことがあります。
日常生活や仕事でも、障害物や壁が立ちはだかって、うまく進まないということがあります。
病気になってしまうこともあります。

そのような時には、自分の知恵や力で何とかしようとするのではなく、
まず神様が働いてくださるように、神様に祈りましょう。
牧師や教会で祈ってもらえるなら、祈ってもらいましょう。

主イエス様も、
「あなたがたのうちの二人が、どんなことでも地上で心を一つにして祈るなら、天におられるわたしの父はそれをかなえてくださいます。」(マタイ 18章 19節)
とおっしゃっておられます。


信仰の勝利

さて、神様が魔術師エリマをやっつけてくださいました。
そして
「総督はこの出来事を見て、主の教えに驚嘆し、信仰に入った。」(使徒13:12)
と書いてあります。

パウロたちの初陣は神様が助けてくださって、見事勝利を獲得することができました。

しかし、思いがけない出来事も起こりました。それはまた次回に。


 
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