[ 青山北町アパート ]
東京都港区北青山…という「地域」を意識した事は、今までに、たぶん、一度もないです。
「南青山」は勤めていた事務所があったので身近に感じますが、「北青山」は「地名をはじめて知った」くらいのレベルです。
「北青山」は青山通りに沿った北側の地域で、地下鉄の「表参道」から「青山一丁目」までのあたりで、。
南側の青山通りも、北側の通りも、何度も何度も何度も歩いているのに…
ぜんぜん知らなかった。。いや、よく考えれば、知らなかったわけではない。
しかし、知らなかったも同然・・・「はじめての地名」のごとく思った事に驚きです。
そして、手前のこの2棟を見て、驚きとともにある種感動をしました。
「これこそ本当のメタボリズムだ」と思いました。
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メタボリズムとは今は亡き菊竹清訓さんや黒川紀章さん達のグループが若き時打ち立てた建築運動。
ざっくり言えば、「細胞の新陳代謝」(メタボリズム)のように、「増殖更新を繰り返す」建築や都市をつくるという事。
暴言かもしれないけれど、「ユニット」によるプレファブ的な考え方だと思います。
分かりやすいのが、黒川さんの「中銀カプセルタワー」
ただ、「ユニット」というのが、理想とは裏腹に、とても難しい。なぜなら、そのユニットを作る技術はもちろん、必要とされる機能と意味・・つまり、『ハードとソフト』はどんどん進化していくので、「ユニット」そのものが変わっていき、元々あるものは、もはや「遺跡」となってしまうからです。
しかし・・・
上の写真を見てもらえばわかるように、1960年代頃につくられたこのRC造の集合住宅は、みごとに『増殖と更新』をし続けてきました。これこそが本当の「メタボリズム」じゃないでしょうか。
もう今後『更新』はされないだろうけれど、私にむしろ「未来的」にすら思えるのです。
しかし、一歩団地内に入れば、昔からの暮らしが続いてるようで、ハイセンスで流行の先端をいく青山の街とは無縁の『時間』がありました。そお遠くない先に、ここも再開発(=リセット)されて『更新』される予定のようです。
この「青山北町アパート」のすぐ裏にあったのが、これ。
ブルーの外壁のタイルがとても気に入りました。
1階ピロティーはパーキングですが、階高が低く、建物全体が浮いているように見える効果が、モダンのような、未来的なような・・・。なんだか気に入ってしまいました。建物の正面に回ると・・・
リノベーションされていたんですね。とてもいいと思います。
マンションから 店舗・事務所用の賃貸に変わったそうです。
工事前の建物の写真は検索で見る事ができます。どちらがいいかはわかりませんが、私は今の姿のほうがいいと思います。人を呼び込む力を感じます。
そこから、青山通りのほうに戻ります。そこにあったのが・・・
これ・・新築だったら、ちょっと腹立ちますが、これも、1棟リノベーションだと思います。
このファサードのデザインは、個人的にはキライですが、でも、まあ好意的に見る事はできます。
1階は店舗か車庫だったのだろうと推測しますが、上階とつなげてオフィスなのかシェアハウスなのか、宿泊施設なのかわかりませんが、街とつながる建築に変わったのでしょうね。
この二つの建築のように 表層の『更新』であっても、建築の「新陳代謝」と言ってもいいのではないかと思います。
メタボリズムという思想は、形が変わり、今、リノベーションという方法で建築を生かす事につながっているように思えてきました。