Home Room ・シンプルな暮らしと家

ポジティブもネガティブも受け入れる器(前)

ふと、思う事があって、古い雑誌を引っ張り出し、読んでいた。。

***

堀部安嗣という建築家がいる。若くして洗練された住宅を多く設計している。

「高齢者の住まい」というテーマでの取材で、彼が語っている中で・・・

今の建築は、どちらかというと元気なときはいいけれど、つらいときは跳ね返されちゃうようなデザインが多い・・・・

(TOTO通信 2001年冬号 より)

とあった。

***

あぁ、これなんだな。。

昨今の建築に感じる違和感って・・・

白やグレーのモノトーンで、大きな開口があり、明るく、、、

「これが空間です!」 ・・・という建築。。

***

人生全てうまくいってる時はそれでもいい。高層マンションに住み、東京を上空からひとりじめするのもいいだろう。。

でも、、そんな時ばかりではない。

悩み、苦しみ続ける時、、、そんな場は、、、つらすぎる。

ポジティブな状態では、薄暗い部屋でさえ 明るく感じる事ができる。そうでなければ、そこを飛び出していけばいい。調整する力がある。

ネガティブな状態では、あっけらかんとした部屋にいる事が辛い。一般的に「薄暗い部屋」にいる。それが「いい状態」なのかどうかはわからない。でも少なくても、そんな時の心理状態には合っている。常に「頑張れ!」という状態を受け入れる心の力がないから。。むしろ、ほのかに差し込む光に救われる。

***

陰のある建築をつくりたい と考え出している。

ただただ まっ白い 空間とは違う。。

圧倒的な光による強い影とも違う。。

ほのかに入る明かりにより生み出されるほのかな陰。。

「頑張れ」と言わない建築。。

黙っ見守ってくれる建築。。

静かに寄り添ってくれる建築。。

(つづく)

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