作業ってなあに?

作業療法士のこと、作業のことなどについて知ってもらいたいと思い書いてみます

「食事」という作業

2021-12-26 11:53:00 | 日記
同じ作業でも「いつ」「誰が」「どのように」行うかで意味が変わってきます。

例えば、食事という作業。
出勤前に慌ただしく食べる食事。
休みの日に1人で好きな音楽を聴きながらゆっくり食べる食事。
家族で一日にあったことを話しながら食べる食事。
栄養がつくように補助食品を食べさせてもらう人。
体の調子が悪いので軟らかくしてもらって食べる食事。

施設や病院では、必要な栄養をしっかり摂ること、ムセないよう安全に食べること、時間内に食べることに意識が向きすぎていませんか?もちろん、それも大事です。

しかし、
その方にとって「食事」がどんな意味を持つのか。どんな場所で、誰と食べたいのか。何が好きで、何が嫌いなのか。どんなこだわりがあるのか。
食事が楽しみなものか、義務的なものなのか。そんな視点も大事ですね。

作業療法では、「食事」という作業をそんなことも考えながら行っています。

皆さんにとって食事はどんな作業でしょうか?




作業の多様性

2021-12-19 21:41:00 | 日記
皆さんは日々どんな作業をしていますか?

同じ作業でも、やり方やこだわり、作業をする意味や満足感は人によって違います。また今日と明日、体調の良い時と悪い時、どこでやるか、誰とやるかによっても変わることがあります。

講習会では、作業の多様性を体感してもらうため、朝起きてから出勤までの作業についてグループワークをしてもらうことがあります。

着替え、朝食、身支度とやる作業は少ないですが着替えてから朝食を食べる人、歯磨きをしてから着替える人、前日に着る洋服を準備しておく人など順番は人によって様々です。
また、会社のある日と休みの日では違うかもしれません。

朝食を義務で食べる人、栄養を考えて食べる人、家族と食べる物を合わせる人など意味合いも違います。

テレビを見ながら食べたり、通勤の車で食べたり、休みの日は喫茶店に行く人もいるかもしれません。

二日酔いの翌日はあまり食べたくないかもしれないし、風邪気味の時はいつもと違う物を食べるかもしれません。

作業療法では、その人が作業をどのようにやりたいのか、その作業にどのようなこだわりがあるのか、どんなところにやりにくさを感じているのかなどを聞いて、少しでもその人が満足のいくやり方や意味合いでできることを大切にします。

作業を知ることは、その人を知ることになると言っても過言ではないと思います。

次回も、もう少し別の視点から作業の多様性について書きたいと思います。楽しみにしていてください。

作業ってなんだろう

2021-12-16 20:39:08 | 日記
皆さん作業療法士ってご存じですか?
作業療法士は作業を専門とするリハビリ職の一つです。

作業には内職や手芸、何かを作ったり事務作業などがあると思いますが、作業療法士が専門とする作業とは「人々が生活するうえで目的や価値を持つ生活行為」「生きていくうえで空気や水と同じようになくてはならないもの」などと定義されています。
作業とは「自分がしたい」「する必要がある」「人からすることを期待されている」ことで「感情が伴う」ものです。

以前は、作業療法の対象は病気や高齢になったことで「出来なくなった作業をできるようにする」ことに重点が置かれていました。しかし少しずつ変わってきています。
作業が上手くできていない全ての人が対象になってきています。専門用語では「作業機能障害」といいます。例えば「やるべき作業が多すぎる人」「意味のない作業をやらされている人」
「やることがない人」などです。

自分がやりたいことを、やりたいタイミングで、やりたい方法でやれるようにするには、どうしたらいいか?それを一緒に考え実現していくことが作業療法士の専門性です。
作業とは、環境やその人の価値観、過去の経験、体の状態など多くの要素が複雑に関係し合って行われています。なので多角的な視点で考えていく必要があります。
そんな理由からIT化が進んでもなくならない職業に作業療法士は選ばれています。

このブログでは作業について少しずつお話できたらな、と思っています。
次回は「作業の多様性」についてお話したいと思いますので楽しみにしていてください。