影が無くなって久しい
私にまとわりついて離れないので
私は影を捨てた
影はしばらく私の後を
見え隠れしながらついてきたが
いつかどこかへ行ってしまった
その影が今何処で何をしているか知らないが
帰ってきてほしいと今頃思う
お前が私を支えてきてくれていたなんて
知らなかった
今私は一人で私と影の二役をしている
いそがしくて切なくて
誰もいないところで
声を殺して泣いてばかりだ
泣き疲れると寝てしまう
現実より夢の世界のほうがいいなんて
時として思ってしまうが
現実は影がいなければどうにもならないと
今更悔やんでもしかたがないけど
夢の世界はてんででたらめで
影なんか無くてもやってゆけるが
目覚めると夢そのものが泡のようにはじけて
再び還らない
寝るたびに夢を見て
明日は明日の夢を見る
どんな夢にめぐり合えるかわからないのが
困り者だ
いい夢ばかり見られるなら
現実なんか捨てられるが
嫌な夢ばかりでてくる
たぶん影を捨ててしまったつけがきてるんだ