巡る季節によって旅人は風情が変わる
春まだ浅い季節の旅人なら
彼方に希望を抱いて さも、はつらつと見える
夏の季節の旅人は
帰り着くところを持っていそうだ
しかし秋深い季節の旅人は
これから訪れて来るだろう冬を
どう思っているのか
風に逆らいつつ君は歩いている
いや、後ろから来る風に追いかけられて歩いてゆく
いつか風に吹かれっぱなしで
君はどこかでくたばっているのだろうか
そんな気がしてくる
もくもくと足元を見つめ
振り返り振り返り歩いている
後ろに何が見えるのか?
本当は
歩くほどに歩いてきた道がかすんじまってるんだ
道標のない旅は
行くあてだってないが
それでも
凍てつく冬の季節を目指して君は歩いている
(徳島県、鳴門大橋の手前にて)