シャープの
GALAPAGOSは言うまでもなく発売前なわけですが、どうも現段階であまり普及しなさそうな気がするのです。まずはこちらをご覧ください。
GALAPAGOSのDRMをめぐるwindhole氏とrokuzouhonda氏の会話
これからの話は、これが全て事実だと仮定して進めます。
ポイントは、
「
GALAPAGOSストアで販売するものは、閲覧がGALAPAGOSに限定されます(1人2台まで)。DRMだけでなく、GALAPAGOSストアに接続できる環境も特定のもの(本体、専用ソフト)だけだし。」
です。
前も書いたとおり、現行のPC用のXMDFはコピー制限はありませんが、これを2台までに限定するというのは、大幅な改悪に見えます。とはいえ、DRMの強さは必ずしも商売上の失敗を意味するものではありませんけど、電子書籍ではどうなんでしょうか。
アメリカでの成功例を挙げてみましょう。
Amazon Kindleは
この端末が有名ですが、実はWindowsやAndroidやiPhoneなどさまざまなデバイス用にリーダが用意されています。デバイスが変わっても、しおりを挟んだところから読むことができるという特徴があることもご存じの方も多いでしょう。逆に言えば、リーダとなりうる環境がたくさんあるということです。これがポイントです。
では、Appleはどうなのでしょうか。iOS 4になってiBookが使えるようになり、iOS 4がインストールできる/されているiPhone/iPod touchに、もともとインストールされているiPadを加えれば、こちらもかなりの数のリーダが普及していることがわかります。DRMはFairPlayで、5台分までコピーすることができ、まぁそれだけあれば充分でしょう。
翻ってGALAPAGOSはどうでしょうか。
今のところ専用端末が2モデルしかなく、Windowsや他のプラットフォームでは読むことができません。もし読めるようになったとしても、2台までしかコピーできません。
シャープがGALAPAGOSストアをどのように展開するのかはまだわかりませんけど、現行のXMDFではかなり多くの
リーダや
ハードウェアが存在します。AQUOSですら対応していますよ!
とにかく、GALAPAGOSではリーダというか読める環境が大幅に絞られるわけです。今後GALAPAGOSストアがいろいろなところで使えるようになったと仮定して、シャープが好きな人は、GALAPAGOS 2機種に携帯電話にAQUOSに……と購入しても、2台までにしかコピーできません。
あっちのあれはあれで読んだけど、こっちのこれはこれで読んだ……というのを、いちいち管理しないといけません。そんな面倒くさく馬鹿馬鹿しいことやってられるでしょうか? 私なら読まなくなりますね。
ゲーム機にしろBlu-ray vs HD DVDにしろ、結局はコンテンツ提供者が勝敗を握っているので、おそらく電子書籍も同じだとは思うのですが、どうせ提供するなら、潜在的に使用できるリーダが多いほうがいい、と思うんじゃないでしょうか。シャープの端末と一蓮托生はリスキーではないでしょうか?
現段階で想定できる改善点は、2つあります。
1: DRMは現行のXMDFと同じにし、さまざまなハードウェアに対応したリーダを開発する。とはいえ、リソース的に厳しいと思われるので、Adobe AIRで動くものにする。これでiOS以外はおおむねカバーできる(理論上)
2: 専用端末での展開を諦め、スマートフォンを主軸にする。日本では携帯電話で電子書籍を読む人が多く、シャープ以外から出すスマートフォンにも載せれば、かなりの台数になる。ディスプレイサイズが小さいのはネックだが、解像度の向上とリーダの改善で、ある程度はカバーできると思われる
1はアメリカでの成功事例の踏襲、2は日本でのそれです。
日本人はちっちゃくて付加価値が多いものが好きなので、電子書籍端末が普及するかは未知数です。スマートフォンとノートPCを持ち歩けば、かなりの重さになりますし。なので、スマートフォンで展開というのはそれなりに現実味があると思いますし、現状きついDRMでもみんな購入しています。
シャープが出すスマートフォンのブランド名は、もちろん「GALAPAGOSケータイ」です。
……おあとがよろしいようで。
追記:
電子書籍端末としてのGALAPAGOSとGALAPAGOSストアがごっちゃになっていて少々読みにくいですね。すみません。