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老人パワー・・・三文太郎(3)

2012-07-25 16:05:10 | 三文太郎の戯曲
7月26日(木)

昨日は、二場の途中で終わりましたので、今日は、残りの二場と三場を完成させます。


                「老人パワー」

       春子皆の話に加わる。

春子    (夫に)何のお話?

明夫    例の話を皆にしていたとこ・・・皆さん賛成して下さったよ。

春子    良かった・・・所で、この話面白いでしょう。

正男    ええ、まあ、所で何処を狙うんですか?

明夫    それをこれから皆で決めましょう。

義男    やっぱり銀行ですかね・・・銀行には何時も金が唸っていますからね。

忠志    銀行は、セキュウリティーがしっかりしていて、相当準備と時間が掛かるんではないかな。

正男    そうですね。私が知ってる銀行の金庫は、素人の我々に開けるのは無理だと思いますね。

義男    銀行がダメなら、我々が狙えるところはどこですかね!

忠志    パチンコ屋が、強盗に入られたというニュースを良く聞きますね。

義男    パチンコ屋かあ、俺の仕事場だけど、そりゃあいいや。

正男    パチンコ屋は、儲かっていると聞きますから、いいじゃあないですか。

明夫    パチンコ屋は、閉店後には、店には現金を置いていません。

正男    えっ、そうなんですか・・・

明夫    まあ・・・そこで私は、町金融を狙うのがいいと思うんですが、皆さん如何ですか?

春子    (小声で)私たちをいじめている金貸しに仕返しをしてやるのよ。

忠志    町金融なら何時も金庫に金を置いているでしょうから、いいと思いますね。

明夫    町金にターゲットを絞りたいと思いますが、よろしいですか?

正男    ええ、賛成です。町金を狙うのは弱い者いじめを懲らしめると言う点でも一挙両得ですよ。

忠志    我々は、金を取るのが目的ではなく世間をあっと言わせるのが目的ですから、ここは一つ高利貸しを
      懲らしめてやりましょう。

明夫    では、皆さんの意見が一致しましたので、町金の「サンライズ金融」をターゲットといたします。

義男    えっ、なあんだ、山田さんは初めから決めてたんだ。

正男    まあ、いいじゃないですか?

義男    ええ、俺には異存はありません。

春子    サンライズの社長の泣きっ面が目に浮かぶは・・・

義男    奥さん、サンライズに恨みでも・・・

春子    ええ、いっぱい・・・

       春子は、天を仰いで沈黙した。

明夫    それじゃあ、金庫破りの手順と役割分担について検討しましょう。

義男    金庫は、誰が、どうして明けるんですか?

明夫    それは、私にお任せ下さい。

義男    えっ、山田さん、金庫破りの経験があるんですか?

春子    金庫破りの経験なんてありませんが、家の人は、鍵と金庫を作って来たその道のプロなんですのよ。
      この人なら、どんな金庫でも開けられますわ。

三人    それは凄い・・・

明夫    車が要りますが、誰か車を調達できますか?

忠志    車なら、自分に任せてください。なんならパトカーを用意しましょうか?

正男    パトカーが用意できるんですか?

忠志    まあ、任せてください・・・制服も用意しますか?

明夫    凄い!完璧です。

忠志    了解しました。

明夫    セキュリティー関係はどうしますか?

義男    はいっ・・・それは俺の担当。以前警備の仕事をやったことがありますから・・・お手のものです。

正男    私以外は、それぞれ特技が生かせますね。

明夫    田中さんにもちゃんと役割はありますから・・・

正男    ええ、解っています。

明夫    では、当日の手順を確認します。当日は、夜中の十二時にここを出ます。
      そうすると現場には十二時半には到着します。
      車は、すぐ出せるようにキイはそのまま付けておいてください。
      川上さんは、セキュリティーについて、我々の安全を確保してください。
      斉藤さんは、警官の制服姿で、仕事が終わるまで警備員を引きつけておいてください。
      私と田中さんが、中に入り私が金庫を開けます。作業は、五~六分で終わります・・・
      宜しいですか?

三人    解りました。

春子    私は、何をすればいいの?

明夫    君には、明美さんと留守番を頼みたいんだが。

春子    留守番はいや!仲間外れにしないで!

明美    明美も行く・・・行く・・・明美、行く・・・

明夫    どうします。

義男    ここにいる者は、一覧托生ですから、この際皆でやりましょう。

明夫    皆さんが、それでよろしいなら、私は構いませんが・・・

正男    明美を一人で置いて行くのは心配ですから、明美も一緒に連れて行って下さい。

明夫    よし、みんなで行こう・・・明美さんのことは、春子に任せるが、いいか?

春子    ええ、明美さんのことは任せて・・・

明夫    何か他に忘れていることは有りませんか?

忠志    ないと思います。(正男、義男に)ねえ?・・・

正男、義男 OKです。

明夫    では、決行は、明日という事でいいでしょうか?

四人    異議なし。

正男    (明夫に)お主も悪よのー

       一同大笑い。

明夫    では、健闘を祈ります。

明美    礼ちゃん、礼ちゃん、あたいも行くの・・・

                                            幕


          三場

       サンライズ金融の前、明夫を先頭に正男、義男、忠志、春子、明美が一列に並んで入ってくる。
       忠志は、警察官の制服を着ている。
       軽快な音楽、明夫は、その音楽に合わせて踊リながら行進している。
       正男たちも明夫に合わせて、踊りながら後に続く。
       明美だけは、何か物ブツブツ言いながら、みんなから少しづつ遅れている。
       二周半した後、音楽が止むと明夫が立ち止り皆を振り返る。そして、それぞれに指示を出す。

明夫    斉藤さん、向こうの警備員を引きつけておいてください。

忠志    了解・・・

       忠志、下手に入っていく。

明夫    川上さんは、セキュウリティーの解除をお願いします。

義男    解りました。

       義男、上手に去っていく。

明夫    春子、明美さんを頼む。

春子    解りました・・・明美さん、さあこちらにいらっしゃい。

明美    礼ちゃん、遊ぼ・・・

       明美は、春子に手を取られて舞台の上手袖に移動する。

春子    さあ、お手玉しましょうね。

       春子は、持ってきたお手玉を取り出し、明美と遊ぶ。

正男    川上さん、大丈夫でしょうか?

明夫    大丈夫ですよ。待ちましょう・・・

明美    礼ちゃん、お腹すいたよ・・・めし、めし・・・

       明美、お手玉をほーリ投げて、大声で・・・

春子    しい、静かにして頂戴。 

正男    し、静かに・・・奥さん、このパンをあげてください。

       正男、バックからパンを取り出し春子に渡す。

春子    解りました。

       その時、義男上手から出てくる。

義男    山田さん、終わりました。完璧です。 

明夫    ご苦労さん・・・義男さんは、引き続きここで見張りをお願いします。
      さあ、田中さん、一緒に来て下さい。

正男    OKです。

       明夫は、舞台奥の扉を開けて中に入る。正男も明夫に続いて部屋に入る。

明夫    正男さん、どうも気が散って集中できません。向こうの部屋で待っていて頂けませんか?

正男    解りました。向こうで待っています。

       正男、明夫のそばを離れる。

明美    礼ちゃん、来たの・・・来たよ。

春子    明美さん、静かにしていましょうね。

明美    礼ちゃん、おんぶ、おんぶして・・・

春子    はい、はい、わかりました・・・さあ、おんぶしましょうね。

明夫    皆さん、終わりました。この通りです。

       明夫、金のはいった袋を高々と開けて、みんなの方へやってくる。

明夫    では、ここを早く立ち去りましょう。斉藤さんを呼んできてください。

義男    俺が、呼んできます。

明美    礼ちゃん、礼ちゃん、やった・・・

       義男、下手へ去る。
       後の明夫たちは、上手へ去っていく。
       義男と忠志が、下手より出てくる。

義男    斉藤さん、うまくいきましたよ。

忠志    うおー

       忠志、両手を突き出しガッツポーズをしながら、義男とともに下手へ去る。
  
                                             幕

         









       


老人パワー…三文太郎の戯曲(2)

2012-07-25 10:54:16 | 三文太郎の戯曲
7月25日(水)

初めての戯曲、字数の調整に失敗して長い文章は、見ずらく成りました。
今日は、気をつけながら、編集していきます。
では、「老人パワー」の二場をお届けします。

              「老人パワー」

         二場

       田中正男の部屋、明夫夫妻、正男夫妻、忠志、義男が集まっている。
       春子が、明美に声をかける。

春子    如何ですか?

明美    礼ちゃん、おはよ・・・

春子    おはようございます・・・今日は、ご気分が宜しいようですね。

明美    礼ちゃん遊ぼ・・・

春子    お手玉しようか?

       春子、明美とお手玉を始める。

正男    奥さん、すみません。

春子    いいえ、私、しばらく明美さんを見ていますわ。

正男    宜しくお願いします。

明夫    さて、皆さん、今日集まってもらったのは、ほかでもありませんが・・・

忠志    何でしょうか?

明夫    皆さんは、この年までそれぞれの立場で、日本の高度成長を支えてこられました。

義男    俺が、日本の高度成長を支えた?・・・俺なんか・・・

明夫    川上さん、パチンコ産業の発展に貢献したんですから、十分資格がありますよ。

義男    確かに、そう言われれば、俺もパチンコで、高度成長を支えて来たんだ。

明夫    そうですよ・・・川上さん、自信を持ってください。

義男    山田さん、そう言っていただいて、自信が持てました・・・ありがとう。

明夫    川上さんも含めて、我々団塊の世代が、戦後の日本を世界の経済大国に押し上げたんですからね。

正男    その結果が、このありさまですから・・・

明夫    ・・・皆さんのお話を総合すると、我々は何時死んでも良いということでしたよね。

正男    まあ、そうでしたね!

       忠志、義男がうなずく。

明夫    死ぬことは、いつでもできます。
      そこで、皆さん、死ぬ気になって世間をあっと言わせてやりませんか。

忠志    世間をあっと言わせる・・・どうやって。

明夫    金庫破りですよ・・・金庫破り!

三人    金庫破り・・・

明夫    そうです。金庫破りです・・・
      但し、金を盗むのが目的ではなく、あくまでも世間をあっと言わせるだけですから、金はどこかへ寄付
      します。

       三人、沈黙。沈黙を破って。

忠志    ちょっと待って下さい。金庫破りは立派な犯罪ですよ。
      元警察官としては賛成できませんな。

明夫    斉藤さんのおっしゃることは、よくわかります。
      だから、これはあくまでも世間をあっと言わせるのが目的で、金を手に入れることではありません。

正男    やりましょう。日頃のうっぷんを晴らす絶好の機会です。

忠志    でも、やっぱりこれは犯罪ですから、自分は賛成できませんな・・・

義男    斉藤さん、もう警官では無いんですから、堅いことは言わないで・・・

忠志    そう言われても、自分にはやっぱり出来ませんな!

明夫    解りました・・・一人でも反対者がいるとこの計画は出来ませんから・・・この計画は聞かなかった事
      にしてください。

正男    斉藤さん、考え直してくださいよ。これは、ここにいる老人がパワーを結集して世間をあっと言わせる
      チャンスなんですよ。

忠志    そう言われても、犯罪に加担することは・・・

正男    ここまで言っても、斉藤さんは賛成できませんか?

忠志    いや、皆さんの気持ちもよくわかりますよ。でもね・・・

義男    そういえば、駅前のスナックの・・・

正男    美人の博美ちゃん・・・

明夫    斉藤さんが好きだって・・・

義男    そうですよ・・・斉藤さんの友達を大切にする、そんな所にひかれるって・・・

忠志    そ、そんな・・・博美ちゃんが・・・そんなことを・・・

義男    嘘じゃあないですよ。ねえ、皆さんも聞いていますよね。

正男    間違いありません。我々の前だ確かに・・・

忠志    解りました。皆さんがあくまでもやるとおっしゃるなら、自分も乗らしていただきます。
      但し、金が目的でないという事を忘れないで下さい。

明夫    では、これで決まりですね。

明美    めし、めし、腹減ったよ・・・

正男    やれ、やれまた始まった。

       正男台所に立って、パンを持ってきて明美に与える。
       明美、パンをひったくり、むさぶり食う。
       春子、明美のそばを離れて皆の話の中へ入る。

                                          次回へ続く