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老人パワー・・・三文太郎の戯曲(4)

2012-07-26 15:38:59 | 三文太郎の戯曲
7月27日(金)

今日は、「老人パワー」を完成させます。
前に書いた物ですが、改めてここへ書いていくとずいぶん訂正をすることになり、それだけ時間もかかりました。
それでも、どうにか今日は、完成させます。
ご期待下さい。


               「老人パワー」

            四場

       田中さんの部屋、明夫、正男、忠志、義男、春子、明美がいる。

春子    (明美に近づいて)ご機嫌は、如何ですか?

明美    礼ちゃん、助けて・・・

春子    どうしたの?

明美    明美、ここ痛いの。(腹を押さえたいる)

春子    痛いの痛いの飛んでけ・・・ほら、治ったでしょう。

明美    うん、明美治った。

春子    さあ、あちらで遊びましょう。

       春子、明美を何時もの場所へ連れて行き、お手玉を渡して皆の所へ行く。

正男    昨夜の山田さんの手口は、大したもんでしたよ。
      あの金庫が開くまで三分、掛からないんですから・・・

義男    そらあ、俺も見たかったな。

明夫    いやあ、大したことでは、ありませんよ。

正男    また、また、ご謙遜を・・・でも、山田さんが金庫を開ける瞬間は、私も見れなかったんですが・・・

忠志    それにしても大成功でしたね・・・つい、興奮してしまいました。

義男    そうですよ・・・斉藤さん、ガッツポーズですからね。

忠志    いや、面目ない。

春子    朝、金庫を開けた時のあの社長の間抜け顔が見たかったわ。

正男    そうですな・・・そろそろ夕刊が来ている頃ですから、取ってきます。

       正男、玄関の郵便受けに新聞を取りに行く。

義男    それにしても、あっけなかったですね。

正男    有りました。昨夜の件、出ているかな?

明夫    私に貸してください。

       明夫、新聞を正男から受け取り、三面記事の欄を開く。

明夫    載っていますよ。

       全員、明夫の周りに集まる。

正男    山田さん、読んでください。

明夫    町金襲われる・・・サンライズ金融の社長、銭取男氏が、朝九時に出社して金庫の鍵を開けると、
      今日一番で、取引に使うために用意しておいた二千万円の現金が無くなっていた。

義男    えっ、五百万円でしたよね。

明夫    そうですよ。

忠志    サバ読みやがったな。

義男    どう言う事ですか?俺にもわかるように説明して下さいよ。

正男    実際よりも、多く被害届を出して、保険金をだまし取ろうという事ですよ。

春子    まあ、ひどい・・・

義男    じゃあ、町金は被害にあってもそれ以上に儲かるという事ですか?

正男    まあ、そういう事になりますね。

義男    俺らは、懲らしめるどころか、彼に儲けさせたって事ですよね。

正男    不本意だけどね。

忠志    山田さん、新聞の続きどうなっています。

明夫    あ、続き、続きはと・・・読みます。金庫の中には、金の代わりに「姥捨て山から参上」という
      書き置きが見つかった。すぐ、警察が現場検証を行ったが、現場には指紋もそれに靴跡など、
      手掛かりになる様な物は、一切見つからなかった。警察では、内部犯行説も取りざたされている。
      それにしても「姥捨て山から参上」とは、どういう事なんでしょう。
      犯人のメッセイジでしょうか?警察も頭を抱えている模様です。
      以上ですね。

正男    やりましたね。

義男    ちょっと、納得行かないところは有りますが、それでも最高です。

忠志    警察も、面食らったようですね。

義男    元警官としては、複雑なんじゃありませんか?

忠志    まあ、そうですが、世間をあっと言わせることができたのは、大成功ですよ。

正男    所で、これからどうしますか?

明夫    そうですね・・・

義男    この金は、どうします?

明夫    二通り考えられます。
      まず、一つ目は、当初考えたように、あくまでも金目当てではなく、世間をあっと言わせる事が目的
      だったのですから、この金は、どこかしかるべき所へ寄付をする。

忠志    もう一つは?

明夫    五百万円ですから、明美さんには悪いんだが、明美さんを除いて百万円づつ分ける。

明美    お金、お金、明美お金欲しい。お金頂戴!お金頂戴!

       一同驚いて明美を見る。

春子    明美さん、皆の話、わかっているのね。

正男    解っているかどうか。金と食べ物には今だに執着心が強いようです。

忠志    (独り言のように)百万円あると、博美ちゃんが欲しがっていた着物が買ってやれるな!・・・
      いや、いや、駄目だ、駄目だ、自分は、元警官なんだ。

義男    いいじゃないですか。皆で分けましょうよ!

忠志    いや、やっぱり駄目だ・・・この強盗は、世間をあっと言わせるのが目的で始めたんだから、
      やっぱり、当初の計画通りどこかに寄付すべきだよ。

義男    もったいないですよ。それなりに苦労したんだから、皆で分けましょうよ。

春子    川上さんのセキュウリティの解除は、見事でしたたものね。

義男    いやあ、それほどでもありませんでしたが・・・

明夫    お二人の意見はよくわかりました・・・所で、田中さんはどうですか?

正男    私も金は、喉から手が出るほど欲しい。でも、この金を自分の物にすると、これから先、自分は犯罪に
      手を染めたとの後悔で苦しむような気がします・・・(きっぱりと)やっぱり一案の方でお願いします。

明美    お金、お金、お金頂戴・・・

       明美の言葉は無視して

明夫    春子は?

春子    毎日、借金取りに追い回されていますから、お金は欲しい・・・でも、ここは貴方の意見に従います。

明夫    確かに我が家は、妻の言う通りお金は欲しい。
      でも、この計画はあくまでも世間をあっと言わせる正義の為・・・正義と言えるかどうか解りませんが?
      (義男へ)川上さん、ここは当初の計画通り、寄付という事に致しましょう。

義男    解りました。皆さんがそうおっしゃるなら、俺には異存は有りません・・・でも、もったいないなあ・・・

明夫    では、決まりました。早速手続きをとらせていただきます。

忠志    宜しくお願いいたします。

       残りの人達もうなずく。

春子    それにしても「姥捨て山から参上」と言う書置きは、素晴らしかったわ。

明美    礼ちゃん、礼ちゃん、お金、お金頂戴・・・

       照明、少しずつ落ちる。

                                               幕

   エプローグ

       幕の外、明夫と春子にスポットライトが当たる。

春子    ねえ、上手くいった。

明夫    五百万円以外に一千五百万円、ちゃんとここにあるよ。

春子    やった~・・・(改まって)それにしても、お主は悪よの~

明夫    わあ、はあ、はあ、はあ・・・
       
       明夫大笑い、春子もつられて大笑い。スポットライト消える。

                                         暗転
 

                                                完

ようやく、「老人パワー」完成しました。
70歳の手習いで、(数え年70歳の時)書いたものですから、自信は有りません。
でも、ようやく人様へ読んで頂く事が出来ました。
是非、ご感想などをお寄せいただければ、幸です。
では、三文太郎の戯曲は、ひとまずお別れといたします。
次回も戯曲で「御嬢さんは、茨木弁」を記載いたします。
どうか、ご期待下さい。               (三文太郎)