市川稔の米(マイ)情報

在庫を考える

異常な高値でスタートしたH24年産米の投げ売りが止まらない。

もう新米が出てきましたからね。

日本のコメの悲しい運命。


収穫後は新米といってもてはやされるが翌年の秋を過ぎると古米として区別されてしまう。

玄米専用の低温倉庫で保管されていたコメは品質、食味共に何も問題ない。


おにぎりや弁当などに使うコメは新米より味も良いし使い勝手もよい。


だけど、


一般的には新米が出れば古米の肩身は狭くなるのでありまして。

その新米も短い命。

新米と表示出来るのはその年の12月31日までと決まっている。

年を超えると「新米表示」はいけないことになっています。


アベノミクスではありませんが、ゆるいインフレで推移すればなんの問題もありません。

需要とは別の要因で価格が下がったり上がったりするのでやりにくいのであります。

新しいコメ、新米が前年産より少しだけ価格が上昇するといううまい具合にはいかないのでありまして・・・。

「官」が余計なことするから更にややこしくなる。


どの水準が適正なのかということもあります。


日本国内の事情で「米価」と呼ばれた時代からコメの価格は上げ続けて来ました。

平成の初め頃がピークでしょうか。

米価の変遷 wiki

この20年は下げ続けてきました。

3年前から農家への「戸別所得補償制度」が始まった。

導入の考え方は良かった。

価格はマーケットに任せ、生産農家の所得を補償するというもの。

ここで「農家」の定義が問題になり、いわゆるバラマキになってしまいました。

これは残念です。


さて、コメの需給はコントロール不能になっています。


なぜか?


JA全農に販売委託するコメは(主食用)全体の八分の三以下です。

なのに、あたかも全体を掌握しているような錯覚に当事者も周辺も陥っているのではないでしょうか?


24年産米の大量持越しが表面化してきました。

契約しているコメでも引取り出来ないものが大量にある。


高いコメの在庫、それも古米。


目も当てられません。



企業経営の視点で見ると。




在庫



というのは怖いものでありまして。



いわゆる「不良在庫」ということになってしまいます。



企業のバランスシートに資産計上される「在庫」や「売掛金」


在庫品の価値が下がれば損失になります。

売掛金が回収出来なければ損失になります。


在庫品が増える、不良在庫が増えると運転資金が回らなくなります。

売掛金が回収出来なければ損失になり資金ショートする。


会社が潰れる、あるいは倒産するとはどういうことでしょうか?


ようするに「資金ショート」して支払いが出来ない状態のことを指します。


給与、家賃、税金、買掛金など。


在庫というものは怖いものです。



持っていて価値が上がるものなら在庫する意味もある。


穀物は需給で価格がぶれるのが普通。

24年産は豊作基調なのに値を上げた。


そのツケが今来ているのではないでしょうか。



あ、そうそう、


忘れていることがあります。


JA全農に販売委託したコメの精算は2年くらいかけて行う。

あくまで出荷であって販売したのではありません。

売れ残ったコメを安くたたき売りした場合の精算は出荷した生産者が負担というか最終支払価格に反映されます。


委託を受けた方が損して売るのではありません。



今朝は「在庫リスク」の話しでした。





追伸
農水省のデータによると(HPから見つけられなかった)
2012年7月~2013年6月のコメの年間需要実績が778万5000トンと前年同期に比べて4,3%減少したと公表した。
初めて800万トン割り込んだ。
生産者や流通業者の在庫量などから算出している(弊社にも毎年在庫問い合わせある)
2013年6月末の総在庫量は226万トンと前年比26%増えた。
2013年7月~2014年6月の需要は786万トンと消費の伸び見込めず、2014年6月在庫は231万トンと過去最高を見込んでいる。
(2013年7月27日日経朝刊より)




これは出口が詰まっていることを意味している。


ただ、変なウルトラCが出てきたりするので要注意。

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