市川稔の米(マイ)情報

日本の農業問題を考える

政府はTPP参加にらみ議論をスタートさせた。

横浜で開催されたAPECで総理は参加する意向を各国に伝えているので当然のことだろう。

しかし、国内では賛成反対がごちゃごちゃ状態。
農業団体は反対で財界は賛成みたいなことになっている。
議員の中でも与野党問わず賛成反対が入り交じっている。

正しい現状認識に欠けているというのが小生の見方。

2010/11/23に書きましたが、農業というのはその国の歴史と文化で大きく異なります。

日本とフランスのことを書きました。
フランスは日本流計算方式である食料自給率は110くらいか。

Wiki 日本式計算 食料自給率

フランスと日本の比較。

農地面積比較では日本はフランスの16%しかない。
算出金額では日本はフランスの1,4倍ある。

1,4÷0,16=8,75倍

単位面積あたりの売上はフランスの8,75倍ということになります。

このデータは農水省が出しているものです。

これは何を意味するか?

土地利用型農業ができる国は世界でも数えるほど。
そこが世界の穀物を担っているのです。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランスなど。
目一杯作っているかといえばそうではない。
作り過ぎたら相場が下がるので調整しているのです。

日本はエサにするとうもろこしを毎年1600万トンくらい輸入しています。

カロリーの高い「油」にする大豆もほぼ輸入です。

そして小麦も500万トン以上輸入。

これらがカロリーベース計算を押し下げます。

日本の畜産はかなり生産性高い。

国内需要をかなりまかなっています。

しかし、エサの大半が輸入なのでカロリー計算では一桁とかになってしまう。

日本の農産物産出額は、

1位 畜産
2位 野菜
3位 コメ

野菜などは関税ほとんど掛かっていないので輸入できます。
298円弁当や外食産業、冷凍食品の原料などに使われることが多い。
一般消費者はあまり買わない。

日本農業の強みは何か?

「日本では現在、世界5位、先進国2位の規模の農業をわずか40万戸の主業農家(農業所得が所得の50%以上)が担っている。
彼らが我々の食する国産の大半を出荷している。列挙すれば、酪農の95%、養豚の92%、養牛の92%、花卉の87%、工芸作物の85%、イモ類の83%、野菜の82%、麦の76%、豆の76%である。出荷額で換算すれば、売上1千万以上を超える14万軒の農家が日本の生産額の6割を稼ぎ出す。
(浅川芳裕氏論文より)

少ない土地で高い生産性を上げられるものをさらに強化するのだ。

高品質で安全性の高いもの。

それらを輸出することを国を挙げて推進する。

国内マーケットは高齢化と人口減で縮小するのは明らか。


農村の景観や環境を守る維持するという問題と農業問題を一緒にしては議論が進まないであろう。

そこで問題になるのがコメだ。

コメは日本の文化そのものだからだ。

コメは主業農家の生産割合が上記に比べて低い。
自給自足型というか、兼業農家の生産割合が高いのだ。

逆の見方をすれば「コメ」で生活している主業農家は少ない。

支えるべきはそこのところ。

国内玄米相場下落により国際価格にかなり近づいた。

関税778%などという馬鹿げた関税率でなくとも十分競争力ある。
100%あるいは50%でも十分戦える。

コメの鎖国を続けることが日本の農業を弱くしてしまうことに気が付かなければならない。


正常な議論を期待したい。

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