市川稔の米(マイ)情報

米、世界の生産、消費、貿易

TPPに日本が交渉参加するか加盟するか。

自民党は「例外なき関税ゼロ前提なら交渉参加しない」と主張して総選挙の公約にしました。

現状の自民党では約200人の国会議員が反対の立場を取っているとか。

小生に云わせればばっかじゃないの。

農産物、保険、医療とかが問題視されています。

TPPは環太平洋を軸として自由と民主主義国家が中心。

世界のパワーバランスの中で中国という存在がどうなるか、どう向き合うかが大きなカギを握ることは分かっています。

中国という国は中国共産党が国の上に位置しています。

そして、中国の軍隊とは国の軍隊ではなく、中国共産党の軍隊です。

このあたりが他の国々と大きく異なります。

従って貿易のルールも為替のルールも独自の価値観で動いています

このあたりを前提にして日本はどちらの陣営に軸足を置くかという選択でもあります。

答えは明白ですね。


米問題を整理してみたいと思います。

今回の研修会でも講師に取り上げて 戴きました。

私もこのブログでも何度も書いています。


米という農産物は国産比率が極めて高いという現実。

世界の主流は長粒種であること。

中、短粒種は極めて少ないこと。


ところが、

一般的には米を自由化したら安い外米が大量に入ってきて国産の米は壊滅的な打撃を受けるだろう。

そう思い込まされている。

農水省の試算では米生産が十分の一になるという。

(ある日突然世界中の国と自由貿易にして関税ゼロにしたという前提。)
(この前提条件もメチャクチャですが、そんなものを発表する神経が理解出来ない。)

世界の米生産の大半は長粒種です。

水分量10%~12%程度の米。

日本人の普通の食べ方にはまったく合いません。


世界の米生産と消費貿易量がどうなっているか?

ざっくりの数字です。



生産量   4億5千万トン


貿易量   3,200万トン


貿易量は生産量の7%程度しかない。

そのうち中短粒種はたったの200万トン程度しかありません。

TPP参加国は?


シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国から始まり、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが加わり、カナダとメキシコが2012年11月から加わった。

これらの国のどこにジャポニカの米があるのでしょうか?

米栽培は大量の水を使います。

オーストラリアでは大干ばつがあり一時は生産がほぼゼロ近くまで行きました。

もっとも儲かる作物に水を使うので当然です。

アメリカ?

アメリカで中短粒種を生産できるのはカリフォルニアです。

ここは遠くフーバーダムから水路で水を運んで来ます。

生産費の一番は水代金です。

生産拡大は出来ない。

日本向けの米は品質が厳しいので生産コストが上がってしまう。

あくまで販売商品としての農産物生産。

コストと売上のバランスで作る作物、品種を選びます。

ミシシッピ沿いのアーカンソーでは生産余力ありますが中短粒種生産はやりません。

小生もアメリカ側の招きでアーカンソーにも行ったことありますが、日本式の米作りとはまったく違います。

米は米でも別物です。


TPPに参加したら国内の米は壊滅するなどあり得ません。


ただ、日本の米作りは言ってみれば「盆栽」みたいなもの。

手間を掛け趣味的に生産している。(数の上では多い兼業農家)

商品としての米ではなく、農地の多面的機能などという別の価値観の話しになります。

そして、国や自治体も農業に対して優しすぎる。

農家を甘やかし過ぎる。

コストという概念が無さすぎる。

面積あたりの収量では日本はひどく遅れました。


収量上げることをこの40年やってこなかった。


以前にも紹介していますが伊東教授の「世界のコメ統計」をよくよく見てください。


世界の生産面積と単収


アメリカの生産面積と単収


全世界の消費量と生産量

ずっと右肩上がりのことがよく分かりますね。

消費量が減っている(減って行く)日本市場は魅力的なマーケットではありません。(ずっと右肩下がり)


発想を変えて、

日本で生産量を増やしてコストを下げたら輸出先のマーケットはあります。
(国内でも輸出でも売り先決まっていない生産はあり得ませんが)

中短粒種マーケットは小さいがコストはそんなに変わりません。


TPPを論ずる前にやるべきことがたくさんあります。


そちらの方が問題です。





※TPP交渉参加するでしょう。
その場合、米は例外と主張するでしょう。
関税100%とか200%とかにして解放した方がよっぽど良い。
現状は要らないコメを70万トンくらい輸入しているし、
SBSなどとんでもないやり方で役所と商社が儲かっているだけ。

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