いたち日記

今治 来島海峡

「生存者ゼロ」読みました。

2014-09-25 20:37:20 | 映画・本・アニメ
 6時間ほどで一気に読み終えました。実のところストーリー展開で魅せる小説って感じでキャラはそんなに立ってないかなーというのが個人的感想なんですが、マイクル・クライトンの小説が好きというか肌に合ってる方だったらお薦めです。
 ものすごく発想が似ているなあ、確かダニが犯人だった小説があったよなーと思ってググってみたら「ダスト」という小説でした。「ダスト」が犯人をわりと最初から明かしている(1ページ目で動物が黒い闇に飲み込まれて絶命するシーンから入ったような…。)のに対して、犯人を特定するのは3分の2を過ぎたあたり。この小説の醍醐味は最初の3分の2が犯人は何なのかという知的捜索で、残りの3分の1は実際に人間を襲ってくるこの犯人にどう対処していくかとアクションシーンになってますです。
 で、あらすじはというと、北海道の海に浮かぶ石油採掘プラント(つまりは完全密室状態ですな)で連絡がとだえたので自衛隊の特殊部隊がテロも想定して乗り込むと20数人全員が死亡しており、しかももはや人間の形をとどめていないという凄惨さ。この物語の主人公である廻田(かいだ)三佐は当然ながらウィルスあるいは細菌感染による死亡と判断し、廻田三佐を含む特殊部隊の面々は即座に隔離、政府・感染研究所が動きだす。といったところが導入部。
 その後は細菌感染ものの王道で細菌解析をしーの、宿主は?とか煮詰めに入っていくわけですわな。で感染症研究の第一人者の富樫博士という方を招聘するんですが、この方は研究の方は超一流なんですが権力闘争でライバルにはめられて第一線から追い落とされ精神を病んでいる方。この富樫博士がまともな方で、かつ、政府筋が全権委任していれば被害は北海道のとある町一つだけで済んでいたのでは?というのが”みそ”ですな、それでは物語にならないのでジャン・バル・ジャンよろしく富樫博士は干されてしまっちゃうわけですな。
 また、政府・感染研究所がこういう未曽有の災害では無能で役立たずという点を徹底的に描いているのも、また、その対比として普通に行動している自衛隊がいやがうえにも優秀な集団に見えてしまうという点にも特徴というかリアリティがありますね。東日本大震災における政府の対応そのまんまといった感じですもん。
 えーとネタバレはしないでおきます。ネタが解明されるまでがとってもおもしろい小説なんで読んでみて。この作家さん(安生正 先生)、この「生存者ゼロ」(2012)がデビュー作なんですね賞もとっているしすごいですね。2作目「ゼロの迎撃」も発売中ですし読んでみようかなと思わせる作家さんですね。

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