米澤穂信先生の黒牢城を読み終えました。「満願」や「王とサーカス」読んでいて作風はわかっているつもりではいたのですが、時代設定が戦国時代織田信長・豊臣秀吉の頃ということで、まあ、固っ苦しい感じな文体になってしまってはいました。読めない漢字、意味不明な漢字もチョロチョロとあって、「満願」や「王とサーカス」が難しい言い回しもなく淡々と進行するイメージだっただけに最初にそういう部分が驚かされましたです。
主人公は荒木村重という人物、豊臣秀吉、明智光秀と同列で織田信長から重用されたふうに書かれているんですが...はっきり言って初耳です。ググるとちゃんと記載されてますね実在の人物、ついでこの物語の要、「織田信長に叛旗を翻して有岡城に籠城した荒木村重のもとに織田信長の使者として黒田官兵衛が派遣される。謀反を思いとどまるよう説得するも、失敗し投獄されてしまう」が史実として記載されていました。黒田官兵衛は豊臣秀吉を支えた名軍師として有名ですが、この荒木村重は上記籠城部分だけがかろうじて語るに値する物語のようです、そりゃ中学・高校でも習わないはずですな。
この小説はジャンル的には推理物であり4つの事件が起こり、解決行為は主人公である荒木村重が行いますが、トリックを見破り村重に助言を行うのが牢にとらわれた黒田官兵衛という設定になっています。推理小説においては安楽椅子探偵というカテゴリーになりますかな「隅の老人」という探偵さんが最古で有名ですね読んだことはないんですが。ただ、この「牢に囚われている黒田官兵衛が探偵役として荒木村重を助ける」という部分は史実にないようなので、この部分こそがこの小説の肝であり米澤先生が作り出した仮想世界の中、ある種の密室といえる籠城中の城内で科学捜査や文明機器とは無縁の空間で謎を紐解いていく面白さがなんだか楽しいと思える物語になっていますかな。
トリックに関してはアガサクリスティーのような派手なものはないですが、「満願」で見せたような人間心理や行動を丁寧に読み解いていく、最後にああなるほど~と唸らせる”おち”がなかなか渋くていいんですよね。
4つの事件だけを取り出しても推理小説としては成立するんでしょうが、あえて史実を舞台にしたことで、結局籠城は成功したのか?荒木村重はどうなったのか?荒木村重を支えた側近たちはどうなったのか?は決まっているわけで、その部分も最終章で記載があります。このあたりはむしろ歴史ドキュメンタリーとしての読み物となっておりこの小説を全体として重厚な読み物に押し上げているような気がします。直木賞受賞作品ですしね。
主人公は荒木村重という人物、豊臣秀吉、明智光秀と同列で織田信長から重用されたふうに書かれているんですが...はっきり言って初耳です。ググるとちゃんと記載されてますね実在の人物、ついでこの物語の要、「織田信長に叛旗を翻して有岡城に籠城した荒木村重のもとに織田信長の使者として黒田官兵衛が派遣される。謀反を思いとどまるよう説得するも、失敗し投獄されてしまう」が史実として記載されていました。黒田官兵衛は豊臣秀吉を支えた名軍師として有名ですが、この荒木村重は上記籠城部分だけがかろうじて語るに値する物語のようです、そりゃ中学・高校でも習わないはずですな。
この小説はジャンル的には推理物であり4つの事件が起こり、解決行為は主人公である荒木村重が行いますが、トリックを見破り村重に助言を行うのが牢にとらわれた黒田官兵衛という設定になっています。推理小説においては安楽椅子探偵というカテゴリーになりますかな「隅の老人」という探偵さんが最古で有名ですね読んだことはないんですが。ただ、この「牢に囚われている黒田官兵衛が探偵役として荒木村重を助ける」という部分は史実にないようなので、この部分こそがこの小説の肝であり米澤先生が作り出した仮想世界の中、ある種の密室といえる籠城中の城内で科学捜査や文明機器とは無縁の空間で謎を紐解いていく面白さがなんだか楽しいと思える物語になっていますかな。
トリックに関してはアガサクリスティーのような派手なものはないですが、「満願」で見せたような人間心理や行動を丁寧に読み解いていく、最後にああなるほど~と唸らせる”おち”がなかなか渋くていいんですよね。
4つの事件だけを取り出しても推理小説としては成立するんでしょうが、あえて史実を舞台にしたことで、結局籠城は成功したのか?荒木村重はどうなったのか?荒木村重を支えた側近たちはどうなったのか?は決まっているわけで、その部分も最終章で記載があります。このあたりはむしろ歴史ドキュメンタリーとしての読み物となっておりこの小説を全体として重厚な読み物に押し上げているような気がします。直木賞受賞作品ですしね。