西尾維新さんの新作「おきてがみきょうこの備忘録」読み終えました。たぶん7時間ぐらいで読み終えてるんだけど、5日ごしで読了。おもしろくなかったのか?と言われるとそんなこともなく1250円はなかなか高額だけど、まあ、楽しめました。むしろ、気楽によめる日本人作家さんのミステリーって感じ。古くは赤川次郎の「三姉妹探偵団」とか筒井康隆の「富豪刑事」とか、洋物だとマイケル・ボンドの「パンプルムース氏」シリーズとかが好きな方にはうってつけの作品かと。
実は西尾維新さんの書籍を読むのはこれが初めて。アニメ「化物語」「刀語」がすばらしい作品だったのでその原作者の新作ということで手に取ってみたしだい。そういう人多いんじゃないかな、「物語」シリーズは全部アニメ化するって言ってるから、じゃ本は買わずに待ってよっと思っちゃうしで…。
で、お話はというと探偵物ですから、「事件が起きて、呼ばれて、解決する」これは通常運行、ワトソン役はいるのか?というとこれもいる、隠館厄介(かくしだて・やくすけ)っていうフリーター独身25才。この物語の語り部ではあるが、この青年が犯罪現場にいて濡れ衣を着せられちゃうので探偵である掟上今日子やはり25才未婚女性が呼ばれて真犯人を突き止めちゃうってのがパターンのよう。
西尾維新さんの作品の登場人物の名前はかなりこりこりというかルビ無しでは読めないというのも通常運行なんすがそこは置いておいて、今回の探偵さんは何が特徴なの?というと「前向性健忘」という病気持ちなんで寝ちゃうと記憶が飛んじゃう、つまりはいくら捜査し事情聴取しても徹夜でもしない限りは翌日にはそれがすべて無に帰すというおよそ探偵というか生きていくうえでかなりきつい。いつからなぜその病気になったのかはこの1巻ではあきらかにされませんでした、それらしきエピソードはあったんですが2巻あるいはシリーズ化されればその中でのお楽しみということですかね。
ひとつ「なるほど」と思ったのは「こういう病気だからこそ探偵業に向いてる、むしろ探偵業しかできない」って語るシーンがあって、たしかに普通のOLサラリーマンは無理だろうし、「すばらしい洞察力があるなら探偵こそが唯一就ける職業」っていうのも妙に説得力があったりして…。
さしあたり1巻目は短編形式になっていて、第一話は、「隠館」くんが働いている大学研究室で研究内容が記録されたSDカードが紛失した、その時研究室内にいたのは5人でだれも出入りしてないといういわば密室状態。で雇われたばっかりの「隠館」くんが疑われたので、いつもお世話になっている探偵「おきてがみきょうこ」さんを呼ぶ許しを得て、「おきてがみきょうこ」さんが到着し、「隠館」くんへの最初の挨拶が「初めまして、おきてがみきょうこです。」一同悶絶。みたいな出だし。この第一話でのオチというかトリックは私のようなパソコン好きは「なるほど~とうとうトリックもそういう時代に入ったか!」というほどではないにしても、たぶん推理小説の犯罪で利用されるのは初めての試みだと思いますが、コンピュータの構造に全く興味ないうちの相方だと「ねえ、これどういう意味?なんでこれで犯罪になるの?」って聞いてきて、教えると「つまんねぇ。もっと万人が納得できるトリックにしろよ西尾!」って言うと思います。まあ、第5話まであってコンピュータ知識が必要なのは第1話だけなんでご勘弁を…。
第2話以降は内容はふれないでおこうと思います。あいすいません。でと、西尾維新さんの特徴的な文体というか触れておきたいかなと…。元々アニメ「化物語」を見て衝撃を受けたんですが、ともかくセリフ量が多くて、当然、物語の進行上必要でない会話のが多いわけなんですけど、それが単なる言葉遊びのせいで量が増しているという…、第2話では被害者が億単位の収入がある売れっ子漫画家なんですが、「隠館」くんが売れっ子漫画家にとって100万円なんて"はした金"というくだりでこんな会話があります。
隠館:「漫画家っていうのは、そんなに儲かるのかい」
編集長:「儲かるどころじゃないな。当たれば。」
隠館:「外せば」
編集長:「儲からないどころじゃない。」
これって、普通の推理小説だと"隠館:「漫画家って儲かるんだな。」"で終わってるシーンじゃないかなと。ただし、アニメと違って違和感はまったくないです。アニメや映画はしゃべりまくるかわりに表情や動作で物事を伝えるのに対して、小説はたとえしゃべっていなくても頭の中で考えていることも文章化するので結局は文字数は多いのは同じだからかもしれません…。とりとめのない考えで失礼。
話は飛んで、短期的な記憶欠如というと「メメント」っていう映画がものすごく印象に残ってます、超有名な作品ですし。この映画の主人公は何と10分しか記憶が持たない…すごすぎ!興味あるかたはぜひ…。で、この映画と「おきてがみきょうこ」さんの共通事項というか記憶をなくす人の共通事項が「手、足といった自分の体にメモ書きをする」っていう点で、映画でも小説でもキーとなってますです。私たち健常者は「そりゃそうだろ忘れちゃうんだからメモ残すだろ!」と簡単に思っちゃいますよね、「メメント」では特に鮮明に描写されてますが、”自分の手に「消費者金融に行ってすぐに100万円借りること」と信じがたいことが書いてあったとして、それを自分が本当に書いたことさえ覚えていない”つまりは「メモを残すことが必ずしも安心というわけではない」ということがいつも根底に描かれています。この「おきてがみきょうこの備忘録」は明るくとっつきやすい小説ですが、「記憶できない」体質である主人公の悲哀が常に感じられる、何かこう、はかなげな物語です。でもまあ、この第1巻は最後の最後はハッピーエンドでまとめてあって「終わり良ければすべて…」でうれしい限りです。
実は西尾維新さんの書籍を読むのはこれが初めて。アニメ「化物語」「刀語」がすばらしい作品だったのでその原作者の新作ということで手に取ってみたしだい。そういう人多いんじゃないかな、「物語」シリーズは全部アニメ化するって言ってるから、じゃ本は買わずに待ってよっと思っちゃうしで…。
で、お話はというと探偵物ですから、「事件が起きて、呼ばれて、解決する」これは通常運行、ワトソン役はいるのか?というとこれもいる、隠館厄介(かくしだて・やくすけ)っていうフリーター独身25才。この物語の語り部ではあるが、この青年が犯罪現場にいて濡れ衣を着せられちゃうので探偵である掟上今日子やはり25才未婚女性が呼ばれて真犯人を突き止めちゃうってのがパターンのよう。
西尾維新さんの作品の登場人物の名前はかなりこりこりというかルビ無しでは読めないというのも通常運行なんすがそこは置いておいて、今回の探偵さんは何が特徴なの?というと「前向性健忘」という病気持ちなんで寝ちゃうと記憶が飛んじゃう、つまりはいくら捜査し事情聴取しても徹夜でもしない限りは翌日にはそれがすべて無に帰すというおよそ探偵というか生きていくうえでかなりきつい。いつからなぜその病気になったのかはこの1巻ではあきらかにされませんでした、それらしきエピソードはあったんですが2巻あるいはシリーズ化されればその中でのお楽しみということですかね。
ひとつ「なるほど」と思ったのは「こういう病気だからこそ探偵業に向いてる、むしろ探偵業しかできない」って語るシーンがあって、たしかに普通のOLサラリーマンは無理だろうし、「すばらしい洞察力があるなら探偵こそが唯一就ける職業」っていうのも妙に説得力があったりして…。
さしあたり1巻目は短編形式になっていて、第一話は、「隠館」くんが働いている大学研究室で研究内容が記録されたSDカードが紛失した、その時研究室内にいたのは5人でだれも出入りしてないといういわば密室状態。で雇われたばっかりの「隠館」くんが疑われたので、いつもお世話になっている探偵「おきてがみきょうこ」さんを呼ぶ許しを得て、「おきてがみきょうこ」さんが到着し、「隠館」くんへの最初の挨拶が「初めまして、おきてがみきょうこです。」一同悶絶。みたいな出だし。この第一話でのオチというかトリックは私のようなパソコン好きは「なるほど~とうとうトリックもそういう時代に入ったか!」というほどではないにしても、たぶん推理小説の犯罪で利用されるのは初めての試みだと思いますが、コンピュータの構造に全く興味ないうちの相方だと「ねえ、これどういう意味?なんでこれで犯罪になるの?」って聞いてきて、教えると「つまんねぇ。もっと万人が納得できるトリックにしろよ西尾!」って言うと思います。まあ、第5話まであってコンピュータ知識が必要なのは第1話だけなんでご勘弁を…。
第2話以降は内容はふれないでおこうと思います。あいすいません。でと、西尾維新さんの特徴的な文体というか触れておきたいかなと…。元々アニメ「化物語」を見て衝撃を受けたんですが、ともかくセリフ量が多くて、当然、物語の進行上必要でない会話のが多いわけなんですけど、それが単なる言葉遊びのせいで量が増しているという…、第2話では被害者が億単位の収入がある売れっ子漫画家なんですが、「隠館」くんが売れっ子漫画家にとって100万円なんて"はした金"というくだりでこんな会話があります。
隠館:「漫画家っていうのは、そんなに儲かるのかい」
編集長:「儲かるどころじゃないな。当たれば。」
隠館:「外せば」
編集長:「儲からないどころじゃない。」
これって、普通の推理小説だと"隠館:「漫画家って儲かるんだな。」"で終わってるシーンじゃないかなと。ただし、アニメと違って違和感はまったくないです。アニメや映画はしゃべりまくるかわりに表情や動作で物事を伝えるのに対して、小説はたとえしゃべっていなくても頭の中で考えていることも文章化するので結局は文字数は多いのは同じだからかもしれません…。とりとめのない考えで失礼。
話は飛んで、短期的な記憶欠如というと「メメント」っていう映画がものすごく印象に残ってます、超有名な作品ですし。この映画の主人公は何と10分しか記憶が持たない…すごすぎ!興味あるかたはぜひ…。で、この映画と「おきてがみきょうこ」さんの共通事項というか記憶をなくす人の共通事項が「手、足といった自分の体にメモ書きをする」っていう点で、映画でも小説でもキーとなってますです。私たち健常者は「そりゃそうだろ忘れちゃうんだからメモ残すだろ!」と簡単に思っちゃいますよね、「メメント」では特に鮮明に描写されてますが、”自分の手に「消費者金融に行ってすぐに100万円借りること」と信じがたいことが書いてあったとして、それを自分が本当に書いたことさえ覚えていない”つまりは「メモを残すことが必ずしも安心というわけではない」ということがいつも根底に描かれています。この「おきてがみきょうこの備忘録」は明るくとっつきやすい小説ですが、「記憶できない」体質である主人公の悲哀が常に感じられる、何かこう、はかなげな物語です。でもまあ、この第1巻は最後の最後はハッピーエンドでまとめてあって「終わり良ければすべて…」でうれしい限りです。
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