いよいよ、宴も、、、いや“演もたけなわ”です。
お!キタキター!
圧倒的な火力を持つ、1両7億2500万円の90式戦車、一個小隊29億円分が会場に進入、行進間射撃を行います。観客の興奮を効果的に盛り上げるべく、アナウンスも声を張り上げます。
「大きな音がします。ご注意ください!」
草地より現れる90式一個小隊。砲身はすでに目標を捉えている
一列縦隊で行進射!
・・・全弾命中! やはり魔法を標準装備か?
いっせいに左へ進路を変え、横隊に。
後方では74式戦車一個小隊も射撃体勢にある
またもや行進射
発砲炎を中心に、衝撃波による大気のゆがみが見える
(飛び出した砲弾の撮影に成功!)
最後は、急停止直後に一斉射
90式戦車は自動装填装置の採用で、約4秒おきに発砲できる
90式戦車は40km/hの速度から2mで停止できます。この強力なブレーキで乗員が胸部を打撲したこともあり、配備当初はこの制動力を「殺人ブレーキ」と呼んでいたようです。
数度の射撃の後、一斉に後進して陣地変換
車体が向きを変えてもいくら揺れても、砲身は目標を指向したまま微動だにしない
わずか2、3分の間に20発以上の演習徹甲弾を発砲し、90式戦車は整然と後退していきます。
停止して発射した砲弾はもちろん、行進射も全弾命中。。。これは各国の軍関係者からとってもタチの悪い冗談にしか思えない命中精度らしく、実際にアメリカのヤキマ演習場での90式戦車の演習では、その性能を一目見ようと米軍関係者が押しかけるそうです。また、自らが走行している場合だけでなく、ターゲットが移動している場合でも高い命中率を誇ります。
一連の統制された動きと圧倒的な破壊力に、観客の(というか、いたっきいの)顔も半笑いにひきつったままです。
そしていよいよ突撃最終段階。
敵陣地までの地雷原を誘爆させ、戦車用の通路を確保するため、地雷原処理車が爆薬ロケットを投射します。
92式地雷原処理車による、爆薬ロケットの投射
クライマックスです。
富士教導団の総力をあげた突撃に向け、戦車、装甲車、榴弾砲や迫撃砲が矢継ぎ早に射撃を行います。会場後方では突撃に参加する地上部隊と航空部隊が整列し、待機します。
・・・って、あ!あれは!?
見慣れない機体・・・
攻撃ヘリにしてはやや太い胴体。
ローターマスト上に載るミリ波レーダー。
太く長いスタブ・ウィングと、搭載されたヘルファイア・ミサイル。
間違いありません!
正式採用されたばかりで運用試験中の、AH-64D アパッチ・ロングボウです!
しかも、2機も。日本にまだ5機ほどしか存在しない機体ですが、何とかやりくりして持ってきたようです。
さて、ここで問題が起こりました。
「次に行う発煙弾一斉投射と、それにタイミングを合わせて進入する航空部隊(というより、アパッチ)のどっちを撮るか!?」です。
というわけで、コンパクトカメラも準備して二兎を追うことにしますw
戦車小隊と装甲車小隊が発煙弾を投射 (IXYで撮影)
かろうじて両方おさえることに成功。。。あ、シャッター速度が速いままだった。。。
ここで「状況終了」を告げるアナウンス。
突撃に参加していた車両が一斉に急停止します。
観客からは拍手が起こります。
熱かった(いや、暑かった)今年の火力演習も終わりです。
場内アナウンス 「これより、小池防衛大臣が退場されます」
「・・・政治の舞台からな」
隣にいたU氏が絶妙のタイミングでボソッとそう言ったため、一同大笑い。
K氏 「また『私、辞めますから』って言ったりしてw」
I氏 「となると、防衛相には石破さんに返り咲いてほしいですねえ」
M氏 「てか、今日来てるんじゃないの?」
I氏 「いても不思議じゃないですねぇ・・・」
・・・・・・
ちょうどそのとき、来賓を乗せたバスが目の前を横切っていきます。
その窓から、にこやかに手を振る見覚えのある人物・・・
「いた!」
やっぱり来ていた石破元防衛庁長官に向かって、全員で大きく手を振りました。
火力演習終了後は、演習に参加した戦車や装甲車、航空機などが地上に展示され、近くで見ることができます。今年の目玉は、なんといっても初登場のアパッチ・ロングボウでしょう。しかしその前に、会場前に停止している車両群をいったん会場から出さなければなりません。戦車、装甲車は小隊ごとに会場を出て行きます。
ただし、観客へそれぞれにアピールしながら・・・
戦車教導第2中隊の90式戦車
戦車教導第2中隊の90式戦車4両は、一斉に超心地旋回(その場で向きを変える)して観客に挨拶。
第5旅団第5戦車隊第1中隊
北海道から参加していた第5旅団第5戦車隊第1中隊は、どこにしまってあったのかいつの間にかのぼりを立てて・・・
普通科教導連隊第1中隊
おなじく普通科教導連隊第1中隊
普通科教導連隊第1中隊は89式装甲戦闘車の車上で旗を振ったりのぼりを立てたり・・・
前部扉の焼け跡が生々しい92式地雷原処理車
地雷原処理車の操縦手も手を振りながら・・・
観客も、顔にドーランを塗って戦車に乗る隊員たちに手を振ります。
どうせなら手に日章旗と旭日旗を持って打ち振るべきです。
こうして会場から車両が出て行き、ついで展示車両、航空機が入ってきます。
観客の最大の注目は、もちろんこれ!
コブラの細い機体を見慣れている人には、無骨でふてぶてしい機体に見えるでしょう。いたっきいも、はじめて肉眼で見るAH-64Dの印象は、「太い、そしてデカい」でした。
スタブウィングにはAGM-114ヘルファイア対戦車ミサイルとハイドラ70ロケット弾ポッド、そしてAIM-92ATAS(Air to Air Stinger)が搭載されています。
AGM114ヘルファイア対戦車ミサイルは、セミアクティブレーザー誘導のほか各種誘導方式の派生型があり、射程距離は約10kmと、自衛隊の主力攻撃ヘリAH-1Sコブラよりも格段に攻撃能力が高まりました。加えて、世界最高の命中率を誇るスティンガー(ギネスブックにも載っている)またはサイドワインダーといった空対空ミサイルを搭載できるため、空対空戦闘能力が飛躍的に向上しています。そのため防衛省での分類も、AH-1Sは「対戦車ヘリコプター」だったのに対し、AH-64Dでは「戦闘ヘリコプター」とされています。
アパッチは湾岸戦争に280機が参加し、イラク軍地上施設などのほか、戦車・装甲車などを約800両破壊する大戦果を挙げています。そのほかアパッチにはいくつかの逸話がありますが、この機体の頑丈さを示すものとしては、イラク軍の防空網に不用意に飛び込んだ33機のアパッチのうち、実に30機が被弾する大損害を受けたにもかかわらず墜落は1機のみだったという記録があります。
このように攻撃力、防御力に優れるアパッチですが、そのぶん価格も飛びぬけて高いのが欠点。日本での調達価格は1機約52億円と、数を揃えようにもなかなか進まないだろうというのが一般的な見方です。いずれは安価な攻撃ヘリとハイ・ロー・ミックスを組むことになるかもしれません。
大型の機体のため、機首下の30mmチェイン・ガンが小さく見える
この自衛隊向けアパッチ・ロングボウの2号機は、2006年1月に米国からやってきたボーイング製の機体です。3号機以降は富士重工がライセンス生産しています。
機首に全天候型のセンサー、ローター上にロングボウ・レーダー
展示時間いっぱいいっぱいまで、細部を舐めるように観察してしまいました。
もうおなかいっぱいです。
最後に、今回の参加者全員で記念撮影。
前列左から
N氏:某テレビ局技術部長
U氏:会社役員。いたっきいのライティングの師匠
K氏:元航空自衛官。現在は防衛省のシステムの試験に関わる
M氏:Y市消防局航空隊でご活躍中
I氏:てかいたっきい
後列
H夫妻:某出版社編集長とその奥様。空自の追っかけが人生の生き甲斐?
今年は例年よりも遥かに楽しめた納涼花火大会でした。
みなさま、本当にありがとうございました!
最後に言いたかったことをひとつ。
いたっきいは前からずっと思っていたんですが。
観測ヘリOH-1って、なんだかとても愛嬌のある、、、
たとえばそう、○ーミンのような顔をしていませんか?
OH-1の機首部分
見えませんかそうですか。
以下、記録用
0200 自宅出発
0230 さいたま市
0300 川越市
0330 坂戸市
0510 御殿場市
0540 畑岡射場
0550 高塚駐車場
0550 シャトルバス運行開始
0605 バス乗車
0615 畑岡射場到着
0630 点検射開始
0830 点検射終了
1010 説明開始
1030 前段演習開始
1110 前段演習終了
1130 後段演習開始
1205 後段演習終了
1245 装備品展示開始
1345 装備品展示終了
1400 シャトルバス待ち
1435 バス乗車
1445 高塚駐車場着
1530 河口湖着
1640 河口湖発
2000 八王子駅
2050 坂戸市
2140 さいたま市
2215 川口市
眼前でアパッチ見たかったッス!
OH-1は友達のような感じ。
最近、こんな体型になりつつあるんで親しみが…
今年は総火演も最高だったし、いたっきいさんの仲間の方達とご一緒できて、楽しさが倍増しました!皆さん、本当にありがとうございました!
写真、よく撮れていますね~☆
ふいに感じたのですが、私達の並んだ形はちょっと富士山みたいに見えませんか?(笑)
遅ればせながら、本当にお疲れ様でした!!
まだ続きがあったのですw
PCの大戦略は、いたっきいもよくやったよ。あれほど長時間楽しめる、コストパフォーマンスの高いゲームを他に知らないw
>しっかし、アパッチも結構息が長いよね!
そうそう。採用が決まったときに、エ!アパッチ!?って思ったくらい。でもまあ、初期のアパッチとは形は似ていても能力は全く違うわけだし、「実績のある機体に最新の技術を盛り込んだ新世代の機体」とも言えるね。アパッチの持つ能力を生かしきるためには、地上部隊や観測ヘリ側の通信・情報処理能力を高める必要があって、そういう意味でアパッチは陸自の戦術を大きく進歩させる存在になるかもね。
■ウンクミちゃん
いたっきいにとって火力演習とは、すなわち納涼花火大会にほかならないです。
毎年火力演習で日焼けして「富士から帰ってきた」というと、いろいろ誤解されるよ。まあ、富士登山も毎年やってるから完全な誤解ってわけでもないか。
>アトの飲みのお誘いがなかったゾ(笑)
おお、こりゃ失敬。
今年はあちこちで乗客を拾って行って、送って帰ったから静岡まで足を伸ばす余裕がなかったですよ。チケットを頂いたお礼をオヤジさんにしなければいけないので、またそのときにでも。。。
>しかし、迫力ある写真達ですな☆
さすがに何年も通ってると慣れてきたw
次に何が起こるかわかっているもんで、待ち構えて撮ることができるんよ。
アトの飲みのお誘いがなかったゾ(笑)
一年前から楽しみにしてたのに…なんてね、ハハッ
しかし、迫力ある写真達ですな☆
しっかし、おいらはこういう戦闘タイプの機体を見る事はほぼないのですが、唯一見る機会があったのは『大戦略』
PCでも結構やってました。
DSでもやってたけど、今一…(爆)
それに出てくるアパッチの使い勝手の良さが未だに頭に残ってますね!
しっかし、アパッチも結構息が長いよね!
ドンドン派生していってるから、名前だけが踏襲されてる状態かも知れないけど…(^-^;A