マグロ16o本
しばの花(ウツギ)が満開の時、大棒網(定置網)は大漁に!
山藤の紫が若葉にからむ頃から続いた河豚の大漁、それも今日は一段落、マグロの大漁だ、荷捌き場では20k~60k台の大魚のマグロを前に仕分け作業にも力が入る。
しばの花が満開となり岩ゆりが咲く頃、島の海は年間通して一番の豊漁期、海も山も活力に溢れ自然の力を感じる時……..そして海から育ててもらった事を思い出す時でもある。
大棒網の思い出
ばばが若かった昭和30年頃、ほとんどの世帯の長男が乗組員で130人もいた、朝早くからかり出されて、三艘の船にぞく積みされた大漁の鯛と一緒に鼠ヶ関まで行き、一日がかりで箱つめをして夕方その船で島に戻った事、さくら色に染まった船底を今でも忘れない。
「500本のマグロと一緒に泳いだ……」
キンベイがおねーさんだった頃、テロ沖にあった大棒網に入った500本のマグロ、そのマグロがバッシャバッシャとあばれ泳ぐ網に飛び込んだ若い乗組員達、マグロに洗われるように一緒に泳ぎながら、網から逃さないようマグロを追ったその勇姿…………..
売店キンベイ、懐かしい遠い思い出に目がおよぐ。
「箱打ち」
中学生だった頃、授業の一環で大棒網の魚を詰める箱作りをした、二人一組で木板と金槌と釘で箱を作った、子供も十分な戦力だった。
山にしばの花が満開に咲き、海岸の岩肌は岩ゆりの橙に被われ、大漁旗をひらめかせ波をきって走る船、その船に乗り込んだ若い乗組員……
大棒網一色だったあの頃、島が元気だったあの時