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ミケマル的 本の虫な日々

『木挽町のあだ討ち』


『木挽町のあだ討ち』 永井沙耶子


 直木賞を取った2冊のうち『木挽町のあだ討ち』を読みました。
江戸の芝居小屋の前で起こったあだ討ちについて聞きに来た若い武士に、それを見たという芝居小屋の関係者がそれぞれ説明するという形でお話が進みます。
見事あだ討ちを果たした様子をそれぞれの人が語りつつ、その語り手の人生も一緒に聞き出すというスタイル。

 芝居小屋は江戸時代には吉原と同様の悪所と言われていた所で、色々な事情を抱えた人が流れ着く所でもあったので、それぞれの語り手にはなかなか大変な人生があったわけで。
しかし、それだからこその人情もあり、それぞれ拾われたという人生でもあるところが、またいいのですが。
そして、その肝心のあだ討ちの様子は凄く劇的であり、語り継がれるような物であったのです。

 読んでいるうちに、それがただのあだ討ちの物語ではないってことがわかってくるのですが、それは読んでのお楽しみです。
とても良く出来たお話で、それぞれの人生が立ち上がってくるし、江戸の人情話もあり、武士の定めもあり、芝居の巧みさあり、最後にそうか〜〜〜!と思う。
結末に気持ちよく裏切られる感じ(笑)
読後感がとても良いお話でした。


 この永井さんは1977年生まれの作家さん。
2010年に作家デビューされて、『女人入眼』を書いた方でした。
『女人入眼』は昨年の大河で描かれた北条政子とその娘の大姫を描いたものということで、昨年話題になっていました。
歴史物を中心に描いている方のようです。
この前読んだ吉川トリコさんも1977年生まれだったな〜と思い出して、このくらいの歳の作家さんが今多く活躍中なのかなと思いました。




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