ミケマル的 本の虫な日々

『指輪物語』をまた読みたくなりました


『J .R .R .トールキン 世紀の作家』
 トム・シッピー
 沼田香穂里訳 伊藤盡監修



 県立図書館で借りました。
トールキンの伝記かな?と思って借りたのだけれど、そうではなくて、トールキンの著作についての本でした。
著者はトールキン研究の第一人者だそうで、『ホビットの冒険』『指輪物語』だけでなく、トールキンの壮大で緻密な世界についてを説明しています。

 トールキンファンにはとても嬉しい本でした。
反面、指輪物語などの著書を読んでない人には内容が詳しすぎるかもしれません。
映画『ロードオブザリング』を見て関心を持った方はちょっと覗いていただいたらいいかもと思います。

 まあ、私は楽しみました(笑)
『ホビットの冒険』が1937年、『指輪物語』が1954ー55年に出版された時には、トールキン自身も周囲もこれほどの世界的ロングセラーになるとは思っていなかった。というのも、当時としてはこういう小説は類を見なかったのと、やたらと長くて入り組んだお話!
トールキンはオックスフォードの文献学、言語学の教授として研究・教育を行なっていた人で、その世界観は北欧神話などの影響も受けているけれど、独自の言語を作るということまでしています。ある意味とてもマニアックなお話とも言えるでしょう。

 したがって、『指輪物語』は読みやすいファンタジーではありません。多くの登場人物が出てきて、それぞれの場と時系列で動くし、それぞれの特徴ある言葉を使うし、設定も中々難解で、後でそうだったのか!と思うような場面も多い。
長〜〜いお話で難解なところもあるのに、読むのがやめられなくなるのが不思議です。トールキンが一貫した世界観を予め全て自分で構築しているというのと、次に果たしてどうなるか?というのがわからなくてハラハラドキドキするから。
さらに、2回目以降は結果がわかっているのに、不思議なことにまたハラハラしちゃうんですよ。

 トールキンが意図してはいなかったと思うけれど、この『指輪物語』の世界がこの後のファンタジーの世界だけでなくRPGゲームの世界をも作ったと言われています。

 1996年にBBCの本の番組でが20世紀の5大小説は?というアンケートを行ったら、1位が『指輪物語』でした。アメリカでも圧倒的支持を受けています。
私が驚いたのは、この結果がイギリスの評論家には全く好意的ではなく、これはおかしいという評価が多かったということだったという事。指輪物語は文学的には価値がないとさえ言われていたらしい。
ファンタジーは文学として受け入れられていなかったという事なのかもしれませんが、今読んだら、こんな難解な本をたくさんの人が読んで評価しているイギリスやアメリカはやっぱりすごいなと思います。

 指輪物語は50年で3冊セットとして5千万部以上売れたそうです(この本の執筆時点で)1冊づつだったらその3倍。
ホビットの冒険60年近く絶版にならず4千万部売れてるそうな。

 まあ、そんなこんなでこの本の詳しい解説読んだら、また指輪物語読みたくなりました。いつも読み始めると、先がどんどん読みたくなって(もう知ってるのにね)、スピードアップしてしまうので詳細をじっくり読んではいないなと。
一回じっくり読んでみないといけないな、なんて思ったのです。
三部作の上にそれぞれが結構な長さだから、時間がかかるけど。

 今はもはや時間を気にする必要なくなったのだから、じっくり読んでみようかな。
映画ロードオブザリングもとても良くできていて、小説のファンも抵抗なく入り込めたし、何回見ても飽きないけど、さすがに本のエピソードを割愛しているところもあります。そういうところももう一度読もうと思ったのでした。

 トールキンの考えた壮大な世界は『ホビットの冒険』『指輪物語』だけではなく、そこまで続く長い歴史や言語までも構築されていて、それらの本もまだまだありますが、私はそこまではまだ行っていません。
トールキンの生涯については映画も作られています。
それについては、以前ブログに書きましたが、とてもいい映画でした。



 
 
 

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