『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』を読みました。
これも村上春樹再読かな?
6冊目に入れときます。
河合隼雄さんが1994年春にプリンストン大学に2ヶ月行かれた時に、村上さんはプリンストンからボストンに移っていた所だったけれど、会いにきてくれた。
その時は『ねじまき鳥のクロニクル』について話し合うという新潮社のアレンジだったけれど、お二人はすごく「馬があって」2日間喋り続けたそうな。
お仕事柄普段は聞き役となる河合さんがいつになく二人で喋ったとのこと。
その後にこの本の企画があったので、河合隼雄が村上春樹に会いに行きたいという感じで賛成してこの本ができたそうです。
私は子育ての時期だったか、河合隼雄さんが本を結構読みました。
子育ては私には結構大変だったので、色々な本を参考にしたい時期だったのかな。
なので、好きなお二人の対談ということで読んだ記憶はあります。
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この本は村上さんが『ねじまき鳥のクロニクル』を書き終えた後の時期の対談。
1996年に出版されています。
お二人の対談と下段にはお二人からのさらに詳細な説明が書かれていて、とても深い内容です。
物語とは何か、日本と西洋の違い、夫婦とは、などの総論的なものも面白い。
河合さんのユング心理学やカウンセリングについてのお話も興味深い。
でもやはり一番気になる村上さんがご自分の小説(物語)をどのように書いてきたのかという点を村上さんの言葉で語られているのが凄く良かったです。
『風の歌を聴け』から『ねじまき鳥のクロニクル』までの変化やその過程も丁寧に語ってくれているので、村上春樹の本を読んでいる人はこの本は絶対読んだ方がいいとまで言えると思う。
他の本でも言ってたように思うけれど、物語が始まるとどの方向に行くのかは自分の意思ではなく、物語がスポンテイニアスに(自発的に)動いていく。
計画的に作るわけではないし見取り図もない、でも最後には結末が来るのだそうな。
だから、どうしてこういう風に書いたのかとか、どうしてこうなったのかとかは自分でもはっきりしないのだそうな。
ううむと思ったけど、河合さん曰く、芸術作品とはそういうもので作者の意図を超えていくものだと。
そんな本を読んで、私がわかるわけないな〜なんてちょっと諦めた(笑)
でも、その超えた先の物語を自分なりに落とし込めばいいのかもしれません。
「井戸を掘る」ということについても色々とお二人で話しています。
なんと夫婦も井戸を掘らなくちゃ本物にならないらしい?
とにかく、内容がめちゃくちゃ濃い本です。
河合さんはもう亡くなってしまいましたが、お二人の対談を今も読むことができるのは幸せだなと思いました。
河合隼雄さんの本も再読したくなってきてしまった。。