ミケマル的 本の虫な日々

『生きる歓び』

  『生きる歓び』   保坂和志

 保坂和志氏のエッセイ風な短編『生きる歓び』と『小実昌さんのこと』の2編が入っている文庫です。保坂氏の本は『カンバセーション・ピース』を読んで以来、見かけると買って読んでいるのですが、4月に『猫に時間の流れる』という短編集も読みました。これも猫を中心にした短編でした。この『生きる歓び』も猫に関する話なのだけれども、よりエッセイに近い感じ。弱った子猫を拾った話なのだけれど、何処にでもあるような話から、「生と死」、「生きているとは」、そして「生きている歓び」にまで行ってしまうところが、興味深かった。
 
 そして、最後に当時10歳だった、今話題のピアニスト・辻井伸行さんの話が出てきて、なんかびっくりしてしまいました。実名は出ていないけれども、保坂氏は辻井さんの話を偶然テレビで見て、辻井さんのお父さんが同級生で友人だったということを知り、電話して詳しく聞いたということです。そして、盲目だけれどもピアノを弾いている辻井さんからは「生きる歓び」が感じられると書いているのです。
 
 この『生きる歓び』の中には、自分が思っているけれども言葉にならなかったような事を、「あっそうか!」と思い当たらせてくれる文章が3箇所くらいありました。これはなかなか無いことだと思う。
 
 私は今はを飼っているけれども、以前は猫を飼っていて、どちらもそれぞれ良いですが、たぶん猫の方が好きなのだと思う。うちの犬は、そんな雰囲気を察したのかどうか判らないけれども、クールな猫的性格になって、飼い主に依存していない感じをかもし出しています

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

みけまる
生きているということが
 死にそうだった子猫がどんどん回復していって、その存在自体が生きている歓びを感じさせたというような話(簡単に言ってしまえば)なので、生きること自体が歓びなんだよと感じられるかどうかという自分にかかっているわけです。

 だから、この本を読んでも判らないと思う。でも、せっかく生きているのだし、先も知れてきた歳になったので、内面の充実を図って、心楽しく生きたいものですね。

 『天使と悪魔』のバチカンのコンクラーベの様子がリアルだったよね。前法王が亡くなった時の様子とそっくりで、もしかしてあの時の映像を使ったのかしらなどと思ったほどです(まさかそんな事はできないと思うけど)

 本を読んでなかった旦那は、話の展開が速くて(どんどん次の教会に行かなくちゃ!)付いていけなかったよと言っていました。
koo
歓んで生きたい!
せっかく生まれたからには歓んで生きたいと思うけど、あまりに主観的なことだから、歓んで生きているのかどうか判断が難しい…。
『生きる歓び』を読めばわかるでしょうか

ところでミケマルさんの評を見て『天使と悪魔』を見に行きました。
原作を読んだ時は話が今ひとつと思ったのですが、ローマやバチカンが上手に撮られていて楽しかったです
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「本」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事