保坂和志氏のエッセイ風な短編『生きる歓び』と『小実昌さんのこと』の2編が入っている文庫です。保坂氏の本は『カンバセーション・ピース』を読んで以来、見かけると買って読んでいるのですが、4月に『猫に時間の流れる』という短編集も読みました。これも猫を中心にした短編でした。この『生きる歓び』も猫に関する話なのだけれども、よりエッセイに近い感じ。弱った子猫を拾った話なのだけれど、何処にでもあるような話から、「生と死」、「生きているとは」、そして「生きている歓び」にまで行ってしまうところが、興味深かった。
そして、最後に当時10歳だった、今話題のピアニスト・辻井伸行さんの話が出てきて、なんかびっくりしてしまいました。実名は出ていないけれども、保坂氏は辻井さんの話を偶然テレビで見て、辻井さんのお父さんが同級生で友人だったということを知り、電話して詳しく聞いたということです。そして、盲目だけれどもピアノを弾いている辻井さんからは「生きる歓び」が感じられると書いているのです。
この『生きる歓び』の中には、自分が思っているけれども言葉にならなかったような事を、「あっそうか!」と思い当たらせてくれる文章が3箇所くらいありました。これはなかなか無いことだと思う。
私は今は
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