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ミケマル的 本の虫な日々

『ことり』


3月に読んだ本です

『ことり』 小川洋子

  

 小川洋子さんの本は時々読みます。
この『ことり』は誰かからおすすめされた本。

 静かに暮らす兄弟のお話です。
兄が子供の時に急にことりの言葉を話すようになって、それを理解できるのは弟である主人公だけという設定。
小川さんの本は不思議な感じだけど、あるかもしれないなと思う範囲で語られるので、その境界の曖昧な感じがなんとも言えない味わいがあります。

 ご両親が亡くなった後も兄弟は二人で暮らします。
主人公は仕事をしているけれど、世間からは距離のある生活をしています。
そんな中で、職場のお屋敷や自宅の庭の季節の移り変わりや暮らしていることりが二人にとってとても大切な物として描かれています。

 客観的にみたら世間から切り離されたような生活は孤独で不幸に見えるかもしれないけれど、読んでいるうちにこれは幸せを描いてもいるのかもと思えてきました。
何が不幸で何が幸せかなんて、誰も決められない。
最後にことりが飛び立っていくところで涙が出てしまいました。
しみじみとした読後感でした。



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