沖縄・台湾友の会

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HNA集団、ついに本丸「海南航空」も分割売却へ   全資産を売り払っても、巨額の借財は残るが、どうするの?

2020-02-21 21:55:26 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)2月21日(金曜日)
          通巻6375号
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(休刊のお知らせ) 明日(22日)から25日まで小誌は休刊です。
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 HNA集団、ついに本丸「海南航空」も分割売却へ
  全資産を売り払っても、巨額の借財は残るが、どうするの?
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 2018年7月だった。フランスを旅行中だったHNA集団の王健会長は、山岳風景を撮影中に崖から転落して死亡した。「事故死」? HNA集団内では経営方針を巡る対立があった。

 もともと海南島のローカルな飛行便運行だった海南航空の創設は1989年で、将来性に目を付けたジョージ・ソロスが株主になったと喧伝されたこともあった。コングロマリットとしての大飛躍は2000年からで、HNA集団が形成された。

 王岐山との深い関係がいわれるのは、主として金融畑を歩んだ経歴や国際的に金融人脈を誇り、且つ広東CITICの倒産劇では辣腕を発揮し、「消防隊長」として勇名を馳せた背景があり、2002年11月に王岐山が海南島経済立て直しのため、唐突に海南省書記兼務全人代常務委員という任務を与えられたからだった。
しかし、海南省党書記の在任は僅か数ヶ月、すぐに北京臨時市長として、首都のスキャンダル処理に追われた。

 つまり王岐山には地縁はないが、国際的な金融マンという評価が、HNA集団にとっても利用価値があったのだろう。事実、海南島のローカル色濃い産業でしかなかったHNA集団は王岐山系企業といわれたために昇龍の勢いで台頭し、陝西航空、長安航空、新華航空などローカルの路線を飛ぶ企業を次々と買収し、いまでは世界を含めて85路線、保有する航空機は233機。

 買収作戦は、その後も続き、空港運営、航空機リース、旅行代理店進出。果てはドイツ銀行の筆頭株主。ラディソン・ホテル集団、ヒルトンホテル・チェーン、パークホテルの買収と世界のビジネス界の話題をさらった。


 ▼NYの優良物件も買収していた

トランプタワーに近いマッハッタンの高層ビルも買収し、借金につぐ借金を重ねながらも強気強気のM&A作戦で肥り、香港子会社は啓徳空港跡地の入札で四つの区画のうち、三つを買い占め、香港のデベロッパーは悔し涙を呑んだ。
 中国一の「借金王」として、ピークは860億ドルの借入金があった。

転落が始まるや、ドイツ銀行株、ヒルトンホテル・チェーン、ラディソン、パークホテル株を急ぎ売却し、啓徳空港跡地も二つの区画を香港最大のデベロッパー「ヘンダーソンランド」に、残り一区画をウィーロック社に売却して手元資金をかき集め、ようやくにして債務残高を750億ドルから40億ドルにまで減らしたという。
後者香港の土地は売却益が102万ドル。子会社を整理して、株主に還元した。

 HNA集団の残った本丸が海南航空である。
 中国民航、中国南方航空、中国東欧航空の三社に利権を分割して売却する方向で、最後の詰めの交渉が行われており、ちかく買収先が決まる。

とはいえ、コロナウィルス災禍で、乗客は65%減。航空機ビジネスは落剥の有様、航空機リースも借り手がいないという惨状。あまりにもタイミングが悪すぎる。