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トランプは「ルビコン河」を渡った   香港自治法に署名。米中金融戦争、ついに本格化

2020-07-19 08:34:49 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)7月16日(木曜日)弐
       通巻第6590号
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 7月14日、連邦議会で可決された香港自治法(中国制裁法案)にトランプ大統領が署名した。資産凍結、融資禁止、貿易決済の禁止。そして香港への優遇措置撤廃などを基軸に、中国の金融活動にトドメを刺す強烈な武器となりうる。

 制裁対象は、香港の自由の侵害に関与した個人(林鄭月蛾・行政長官や香港担当トップの韓正ら)と取引関係のある米国外の金融機関(つまり中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行など)。だが「米国外」という意味は、中国と取引している日本の三菱UFJ、みずほ、三井住友なども制裁対象に当然、含まれる。

 施行後90日以内に国務省が個人、団体を特定する。実際の制裁発動には一年間の猶予を与える。

  実際に適用されるとなると、予測される結果は、
(1)米国金融機関からの融資が禁止される。中国の四大銀行が米銀などから借り入れているドルは3兆ドルを超える。
(2)米国債券を優先入札できるプライマリーディーラーから排除する
(3)米国が管轄する外為取引、資金の移動を禁止する
(4)対象となる金融期間への商品、ソフトウェア、技術などの輸出禁止もしくは制限。

 これにより、一年後、中国の國際金融取引は大幅に制限されることになる。
 究極的には中国のドル調達を封じ込める狙いがあるが、香港優遇措置は撤廃するとしながらも、香港ドルの米ドル・ペッグ制に関してはなんらの言及もない。

 中国にとって香港市場は資本調達の命綱である。
 人民元を米ドルと交換できる為替機能ばかりか、ここで中国企業はドル建ての社債を起債し、世界から資金を集め、あるいはマネロンで不法な収入の海外への送金移転、香港株式市場への上場など、ありとあらゆる資本主義の取引が出来るからだ。これまでにもアリババや「JDドットコム(京東集団)」や、「ネットイース(網易)」など有力企業が香港に重複上場してきた。

 ▼懸念される香港の株式市場暴落

 米国の制裁法が一年後に発動されると、まず予測されるのは香港株の暴落である。
 すでに中国が7月1日に施行した「香港国家安全法」に対して、西側の猛反発と制裁の連発に遭遇した中国は、香港の市場安定、為替レートの堅持、投資家の懸念を払拭する目的で、さかんに中国企業の香港上場を奨励している。
とりわけ半導体大手の「中芯國際集成電路製造」(SMIC)の上場に期待している。香港株の暴落を防ぐためである。

「中芯國際集成電路製造」は、これまでファーウェイに半導体を供給してきた台湾のTSMCや韓国のサムスンに代替することになり、発展が望まれるので、個人投資家に応募を呼びかけた。

 香港株式市場に中国企業の重複上場は、中国政府主導の「株高」を演じさせている。つまり官製相場である。
香港市場の安定維持が目的だ。表向きはウォール街から中国企業が排除されつつあり、香港への回帰と解説されている。

だが、これまでの措置は、米国の中国制裁の一環ではなく、以前から指摘されていた不明瞭な会計報告、会計監査の介入妨害と虚偽申告によるもので、典型はラッキー珈琲の上場廃止だった。
 たとえば、或る貴金属会社(湖北省の金属加工「武漢金凰珠宝」)は担保に差し出していた金塊が偽物だった。ネット金融「微貸網」は貸し倒れ、焦げ付きで経営難に陥っていた。
 ほかに2020年にウォール街の上場をやめるとされる中国企業は「聚美優品」、「58同城」、「貿易車」。MBOによる非公開を検討しているのが「新浪」など、新興企業である。

 ともかくトランプは「ルビコン河」を渡った。
米中金融戦争はついに最終局面に入る。

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